3人のゴースト

●552 3人のゴースト 1988

 テレビ局IBCの社長フランクは傲慢で独裁的な男だった。自分の企画したCMを批判した社員エリオットをクビにし、秘書グレイスが子供の病院に行きたいと言っても自分の都合で残業を命じる。実の弟ジェームズからのクリスマスへの誘いも断る。

 そんなフランクの元へ、7年前に死んだ前社長が幽霊となって現れ、行動を慎むようにと助言、そのために3人のゴーストが現れると予告する。驚くフランクだったが、そのおかげで別れた恋人クレアと久しぶりに電話で話すことに。クレアはフランクに会いに彼の会社へやってくるが、フランクは彼女に冷たい態度をとってしまう。

 そして1人目のゴーストがフランクの元へ。彼はフランクに過去のフランクの姿を見せる。クリスマスと無縁だった子供時代、クレアと知り合い幸せだった青年時代。昔の思いを取り戻したフランクはクレアに会いに行くが、彼女の仕事をバカにした態度をとってしまう。

 2人目のゴーストが現れる。彼女はフランクに、現在の秘書の家族の姿や弟の家庭を見せる。秘書グレイスの子供は父の死を目撃し失語症になってしまっていた。弟は兄フランクのことを思いクリスマスのパーティをしていた。

 3人目のゴーストが現れ、フランクに未来の姿を見せる。そこでフランクは死んでしまっていた。

 様々な世界を見てきたフランクは、人生をやり直そうと決意する。そんなフランクが現れたのは、TV局の生中継ドラマの現場だった。そこで彼はTVの視聴者に向けて、スピーチをする。それを聞いたクレアはTV局へ向かい、無事二人はやり直すことに。

 

 映画の紹介で、ディケンズクリスマス・キャロルを基にした、と書かれていたのでハートフルな映画だと思って見始めたが、見事に期待は裏切られる(笑 主人公があまりに冷酷無比な男性社長だったため。しかし3人のゴーストが登場するあたりから、ストーリーは別の展開を見せる。主人公とその周りの過去、現在、未来を見せ、主人公が改心していく、という定番の展開。

 ありきたりのストーリーだったが、ラストの主人公のスピーチにはちょっと感動。

 キリスト圏の人々にとってのクリスマスは、日本人にとってのクリスマスとは全く別の意味があることを再認識させられた。原作「クリスマス・キャロル」が何度も映画化されているのは、そういうことなんだろう。