ニューヨーク東8番街の奇跡

●569 ニューヨーク東8番街の奇跡 1987

 ニューヨークのイーストサイド。業者レイシーによる再開発が計画され、立ち退いたビルが次々と取り壊されていた。そんな中、古いアパートが1棟残る。1Fでカフェを営むリリー夫婦を始めとする住人たちは、立ち退きを迫る地上げ屋のチンピラ、カルロスたちの嫌がらせを受けていた。

 嫌がらせに負け、お金をもらってアパートを出て行く住人たちが出て、居残ったのは、ライリー夫婦、恋人に逃げられた画家、お腹の子の父親であるミュージシャンを待ち続ける妊婦、無口な元ボクサーだけになってしまう。

 ある日、カルロスがライリーの店をめちゃめちゃに破壊してしまう。店の主人で夫のフランクは、誰か助けてくれと呟く。その夜、小型UFO2機がライリー夫婦の家へ侵入。自らライリー家のコンセントで充電すると立ち去ってしまうが、壊された店を修復して屋上の鳥小屋に住み着き始める。

 他の住民もUFOのおかげで壊れたものが直っているのに気づく。住人たちはUFOが鳥小屋にいることに気づき、フランクの妻フェイはUFOたちを自分の子供だと思い世話を始める。フェイは認知症を患っていた。カルロスが店が修復されているのに驚き、またも住人たちに立ち退きを迫るが、そんなカルロスをUFOたちが撃退する。

 フランクたちはUFOを歓迎する。UFOたちは子供のUFO3機を産む。1機は産まれながらに死産してしまうが、元ボクサーハリーが修理、無事生き返ることに。

 フランクは直った店でフェイやUFOたちとともに店を始める。ビルの取り壊し業者たちも店を使い始める。カルロスは店に入り嫌がらせをしようとするが、カルロスを息子だと勘違いしているフェイは、彼に優しく対応する。

 レイシーはアパートから住人たちが立ち退かないことにイラつき始め、カルロスに檄を飛ばす。カルロスはアパートに忍び込み、配管や配線設備を壊す。それに気づき偵察に来たUFOも叩き壊してしまう。住人たちはカルロスを追い詰め、ハリーがアパートから叩き出す。しかしフェイは息子が追い出されたと勘違いし、フランクを責める。

 UFOが壊れたUFOを修復している間に、子供UFOたちがどこかへ行ってしまう。フランクたちは街に出て子供UFOを探す。ハリーの機転で子供UFOたちを見つけ、そこへ修復されたUFOもやって来て、どこかへ行ってしまう。

 レイシーは工事の期限が迫ったことで、カルロスに任せるのを諦め、別の男にアパート立ち退きを命じる。男はアパートに爆発物を仕掛けるが、そこへカルロスが現れ男に気づき、二人は言い争いになる。男はアパートが無人だと思い爆発物を仕掛けたと話すが、アパートにはフェイが残っていた。それに気づいたカルロスはフェイを助け出そうと息子のふりをするが、バレてしまい一緒に逃げることを拒否される。その時爆発が発生。火事の中カルロスはなんとかフェイを助け出す。アパートは爆発炎上してしまう。

 翌日焼け残ったアパートの玄関にハリーが座り込んでいた。現場に駆けつけたレイシーはハリーを退かせアパートを破壊するように業者に命じるが、業者たちはハリーがいなくならない限り、破壊はしないと宣言する。その夜、ハリーの前にUFOたちが戻ってくる。しかもたくさんの仲間たちを引き連れて。翌朝アパートは完全に元の姿を取り戻し、マスコミも駆けつけてくる。

 しばらく後、再開発で立った新しいビルの谷間に、あの古いアパートが建っていた。

 

 スピルバーグの作品だが、全く知らなかった。タイトルを見て、あの名作34丁目の奇跡かと勘違いしていたぐらい(笑

 本作はストーリーが単純で非常にわかりやすい。立ち退きを迫られている住人たち、特に認知症を患っている妻を持つ店主、が困っているのをなぜか現れた修復能力を持つUFOに助けられる、というお話。確かに「奇跡」がキーワードで、劇中でもそんな奇跡を信じるための言葉があるが、34丁目を彷彿とさせるタイトルはいかがなものか。ただ原題が、batteries not included、電池が入っていない、というのもちょっと違う気がするし。このタイトルで仕方なしか。

 地上げ屋のカルロスが単なる悪者に描かれていないことや、主人公の一人フランクの妻フェイが認知症であることなど、スピルバーグらしさも感じられるが、総じておとぎ話系であるのは間違いない。気軽に見ることができるSFファンタジーといったところ。