ビューティフル・マインド

●581 ビューティフル・マインド 2001

 1947年ナッシュはプリンストン大学院へ入る。人付き合いが苦手なナッシュだったが、ルームメイトとなったハーマンとは仲良くなる。授業にも出ず、論文も提出しなかったナッシュは希望する研修所への推薦を受けられない状態だった。それを教授に指摘されたナッシュは落ち込むが、ハーマンの助言もあり、新たな理論を論文にし教授に認められ、無事希望するウィーラー研究所へ入ることに。

 ナッシュは、国防省に呼ばれソ連の暗号を一目見て解読。その能力を認められることに。ある日バーチャーと名乗る男が彼に接触、秘密基地へ連れて行かれたナッシュはそこでソ連が新聞や雑誌を使ってやりとりしている暗号の解読への協力を求められる。

 一方、ナッシュは講師をしている授業で知り合った女学生アリシアと知り合い付き合うことになる。人付き合いが苦手なナッシュだったが、アリシアは彼を受け止め、二人は結婚することに。幸せな生活を送り始めるが、バーチャーとの仕事で危険な目に会うことになってしまう。自分がソ連に狙われていると考えたナッシュは次第に精神的に病んでしまう。

 ナッシュは他大学での学会に出席、講義をするが、途中ソ連のスパイたちを見かけ、講義の途中で抜け出してしまう。しかし男たちに捕まってしまう。捕まえた男は精神科の医師だと名乗り、ナッシュは精神病院へ入院させられてしまう。事情を聞いたアリシアは大学に行き、ナッシュの研究仲間から事情を聞く。そしてナッシュが投函していたという暗号解読の封筒を発見する。アリシアはナッシュに会いに病院に。ナッシュはソ連の仕業だと訴えるが、アリシアはナッシュが話しているのは幻覚を見たものであると話す。ナッシュは統合失調症で、現実と幻覚の区別がつかない状態になっていた。

 ナッシュは病院で治療を受け、退院できることに。自宅に戻り服薬をしながら、子育てをする生活をし始めるが、薬のせいで頭が働かないナッシュは、内緒で薬を飲むのをやめる。やがてナッシュの前にバーチャーが現れ、暗号解読の仕事をまた手伝って欲しいと頼まれる。ナッシュは暗号解読の仕事を再開する。ある時異変に気付いたアリシアは庭裏にあった小屋へ。そこで大学で見たのと同じ、新聞や雑誌の切り抜きを見つけ、ナッシュの病状が戻ってしまったことに気づく。そのことをナッシュに告げようとするが、ナッシュはバーチャーに脅されアリシアに手を上げてしまう。彼女は家を出て行こうとするが、寸前でナッシュは自分が見ているものが幻覚であることに気づく。

 ナッシュは自分が病気であることを自覚、治療に専念することに。しばらく後、ナッシュは大学に戻りたいとかつての仲間で今は教授である友人に相談、聴講生として大学に戻ることに。50歳となったナッシュの元を学生が訪れ、自分の考えた理論が正しいかと問う。それをきっかけにナッシュは学生たちに数学について語り始める。

 1994年、ナッシュはノーベル賞を受賞することに。授賞式の壇上でナッシュは妻アリシアへの感謝を述べる。

 

 数学の天才、ジョン・ナッシュの物語。同じ数学の天才を扱った「イミテーション・ゲーム」を思い出したが、本作は似て非なる作品。天才と呼ばれた数学者が実は統合失調症を患っており、それに悩まされたという話。

 中盤、ナッシュの病状がハッキリとするまでは、途中ナッシュが入院するハメになったのはソ連の仕業だと思ってしまっていた(笑 その後も何が本当かわからず、思わずネットでナッシュのことを調べようとしてしまった。もちろん、結末を知ることになるのでしなかったが。

 この何が本当かわからない映画の展開にしたのは、ナッシュ自身が感じたものと同じ体験を観客にさせるためだったのだろう。それが大成功していると言える(ナッシュの人生を事前に知っていた観客はこの点不幸だ(笑 )。この一点だけで本作は観るのに値する。

 自分の病状を知った後も幻覚が見えることを本人はどう思っていたのだろう。ノーベル賞受賞を伝えに来た男性のことを、学生を捕まえ、「この人見える?」と聞いたのは学生にはユーモアに思えただろうが、本人にとっては当たり前のことだったと思うと切なくなる。

 ラスト、ノーベル賞受賞のスピーチも、その後のハンカチのエピソードもお見事。実際のスピーチでも同じことを言ったのかしら?