理由なき反抗

●595 理由なき反抗 1955

 深夜、警察で3人の若者が取り調べを受ける。ジムは酔っ払いとして補導されるが、迎えにきた両親と祖母の態度に反抗的な態度をとる。少年課のレイに不満を述べ落ち着きを取り戻す。ジュディは父親の態度に腹を立て家出をしていた。プラトンは子犬を撃ち殺したとして補導されたが、やはり親との関係が上手くいっていなかった。

 翌朝新しい学校へ転校したジムは近所のジュディと知り合う。しかし彼女は不良仲間のバズたちと一緒に学校へ。ジムはプラネタリウムの課外授業に出席、その場での態度でバズたちに目をつけられ、授業後ケンカを売られるが、やり返す。バズはジムにチキンレースでの闘いを挑む。

 夜、皆は崖に集まり、ジムとバズのチキンレースが行われる。ジムは崖寸前で車から飛び降りるが、バズは服が引っかかり車ごと崖から転落してしまう。家に帰ったジムは自分がしたことを正直に告げるために警察へ。警察では現場にいたバズの仲間たちが取り調べを受けていた。しかしレイがいなかったため家に戻る。家の外で待っていたジュディとともに、プラトンに教えてもらったプラネタリウムの側の空き家の屋敷へ。

 バズの仲間たちは、ジムが全てを告白したのではないかと疑い、彼を探し始める。そしてジムと一緒にいたプラトンを締め上げ、ジムの住所を探り出し、ジムの家へ行くが不在だと言われる。バズの仲間たちに襲われたプラトンは怒り、家に隠し持っていた拳銃を持ってジムの家へ行くがやはり不在。屋敷の件を思い出し空き家へ。

 空き家に集まったジム、ジュディ、プラトンの3人。3人はそれぞれの想いをぶつけ合い仲良くなる。一人先に寝てしまったプラトンをその場に残し、ジムとジュディは屋敷内へ。そこへバズの仲間たちがやってくる。彼らはプラトンを見つけジムの居場所を聞こうとする。逃げ出すプラトンは拳銃で彼らを撃ってしまう。警察も現場に駆けつける。プラトンは警官からも逃亡、プラネタリウムへ逃げ込む。ジムとジュディも後を追う。警察に取り囲まれる中、ジムはプラトンを心配しプラネタリウムへ忍び込む。プラトンを説得し一緒に外へ出ようとするが、警察が待ち構えていたことに驚いたプラトンは拳銃を撃とうとし警察に射殺されてしまう。

 ジムはプラトンに駆け寄る。ジムの父はそんなジムを見て、自分も一緒に立ち、強くなるからと話す。

 

 若い頃に観ているはずだが、何の記憶もなかった。この歳になって改めて観たからか、この映画が名作と言われる理由が初めてわかった気がする。

 冒頭警察に補導されている3人の若者が皆両親との問題で悩んでいるが、それぞれ理由は異なる。干渉過多な母と気弱な父を持つジム、年頃の娘への対応がわからない父を持つジュディ、両親と離れて孤独なプラトン。共通しているのは、親への不満が爆発しているということ。自分が若い時には逆に気づかなかった主人公たちの苛立ちが今ならわかる。なぜだ(笑

 この映画で有名になったという「チキンレース」が映画中盤のクライマックス。ここまでの緊張感が素晴らしい。プラネタリウム外でのナイフによるケンカ、そして誰も止めようとしないチキンレース。最高潮に盛り上がったレースは、レース直前ジムのことを認めたバズの転落死によって幕を閉じる。

 後半は、自らの罪に悩むジムの葛藤を描くのかと思っていたら、意外な展開。警察へ行ったジムは頼りにしていた少年課のレイが不在のため、家に帰ってしまう。だから冒頭で「いつでも良いから警察に来い」とか言うんじゃないよ、レイさん(笑

 ここで伏線となっていた空き家の屋敷へ3人が集まる。しばしの幸せな時が流れた後、ラストシーンへ。プラトンの死は残酷な結末だと感じたが、ここまでしないとジムの両親、特に父親の変化は嘘くさくなってしまうからか。

 

 映画中盤、警察でレイに会えず家に戻ったジムがジュディと会話する場面。その日の朝、ジュディを見た時の感想をジムが話す。

 「いい日になるぞ 楽しもう だって明日はどうなるか 分からない」

 ジェームズディーンの最期を知っているだけに、このセリフは刺さる。