メンフィス・ベル

●598 メンフィス・ベル 1990

 1943年5月、第二次世界大戦中、イギリスにあるアメリカ空軍基地。ドイツへの爆撃が続くが、戻ってくる爆撃機の数が減ってきていた。そんな中、メンフィスベルと呼ばれる爆撃機は24回の帰還に成功、幸運とも奇跡とも言われていた。

 そんなメンフィスベルに25回目の出撃命令が出る。しかしこの出撃が終われば、デニスを機長とする乗員たち10名は帰国できることになっていた。軍の広報、デリンジャー大佐はメンフィスベルの乗員たちを戦意高揚のために利用しようと考える。

 出撃前夜、乗員たちはパーティをそれぞれ楽しむ。そして出撃当日、準備万端な状態だったにも関わらず、天候の影響で出撃が延期される。メンフィスベルの仲間たちはダニーの詩の朗読を聞き時間を過ごす。そして出撃。

 目標はブレーメンの工場。敵地に乗り込む危険な任務となった。ドイツ領空に差し掛かると、敵の戦闘機との空中戦となる。友軍の爆撃機が1機また1機と追撃され、メンフィスベルは先導機となり、ブレーメンを目指す。敵の高射砲を被弾しつつも目標地点へ行くが、地上の煙幕により目標確認ができず、デニスは旋回し目標上空を再度目指すことに。

 二度目のアタックでも目標が確認できず、デニスは再度旋回の決断を迫られるが、煙幕が晴れ無事爆弾投下を実行する。帰路につくメンフィスベルだったが、またも敵戦闘機に狙われ被弾。下部銃座がやられ、被弾によりダニーが重傷を負う。医師だった過去を持つヴァルが治療を指示されるが、実は彼は医学校に短期間通ったことしかなく、機内での治療を断念、ダニーをパラシュートで敵地へ落とし敵の捕虜として治療してもらうことを提案するが、他の乗員たちがそれを許さなかった。

 イギリスの基地へ帰ってきたメンフィスベルだったが、着陸のための車輪が片方出ず、手動で操作することに。手動操作がぎりぎり間に合い、メンフィスベルは無事基地へ着陸。基地の皆に大歓迎を受ける。

 

 戦争映画はあまり観ないのだが、これは面白かった。出撃までで40分、残りの1時間は出撃後の機内の様子が描かれ続ける。戦争映画をあまり観ないこともあり、爆撃機の内部の様子を興味深く観た。あんな狭い中で10名の乗員がそれぞれの役割を果たす。ただこの映画は戦闘シーンも面白かったが、メインは人間ドラマだろう。乗員同士のジョークを含めた会話の数々、それぞれがお守りとして持っている大切な品のエピソード、負傷した仲間を置き去りにすることなく基地へ戻ろうとする仲間たち。

 さすがに機体の損傷を皆でカバーし基地に無事着陸するラストはちょっとしたカタルシスか。映画冒頭で、片輪着陸をしようとした飛行機が爆発炎上したシーンが見事な伏線だった。

 映画で使われる「ダニーボーイ」。東日本大震災の後、TOYOTAのCMで使われていたのが印象的だったが、そんな意味の歌詞の歌だったのね。

 余談だが、この映画のwikiに、映画プロデューサーのパットナムが友人である日本人に向けたメッセージを映画のラストにクレジットした、とあったが、NHKBSで放送された中にはそんなシーンはなかったのだが。後日図書館でwikiに書かれていた本でも確かめたが、wikiの記載に間違いはない(本にその旨の記載があった)。NHKがカットしたのだろうか?