バグダッド・カフェ

●601 バグダッド・カフェ 1987/2008

 アメリカのハイウェイ。熟年夫婦がケンカをし、妻ジャスミンは車から荷物を持って降りてしまう。夫はコーヒーが入った魔法瓶を下ろし去って行くが、しばらくして戻ってきて妻を探す。あるGSもしているカフェにたどり着き、妻を探すがそこに妻はいなかった。ジャスミンは車を運転する男性に車に乗らないかと声をかけられるが、断る。その男性はあの魔法瓶を拾っており、カフェへ帰って行く。

 ジャスミンは歩き続けカフェにたどり着く。モーテルに泊まりたいと店の女主人ブレンダに話す。ブレンダは驚くがジャスミンを泊めることに。ブレンダは夫や子供達にいらついており、いつも怒鳴ってばかりいた。愛想を尽かした夫は出て行く。ジャスミンはあの魔法瓶から出されたコーヒーを飲むが何も言わなかった。

 ある日ブレンダはジャスミンの部屋を掃除する。しかし男物の洋服など怪しい荷物ばかり。ブレンダは保安官に連絡、ジャスミンを取り調べるように頼む。保安官がやってきてジャスミンに話を聞くが、身分証など何も怪しいところはなかった。ジャスミンはブレンダが部屋に忘れていった掃除道具で部屋を掃除する。

 ジャスミンはブレンダの留守にもテールの事務所を大掃除する。帰ってきたブレンダはそれを見て激怒。全てを元通りにしろと命じる。ジャスミンは捨てたものを元に戻そうとするが、ブレンダはもういいと断る。ジャスミンは部屋掃除にきたブレンダの娘やピアノを習うブレンダの息子とも仲良くなる。

 ある日、ジャスミンの部屋でくつろぐ娘息子にイラついたブレンダは、ジャスミンに出て行くように、遊ぶなら自分の子供と遊べと怒鳴る。しかしジャスミンは子供はいないと答え、それを聞いたブレンダはジャスミンに謝罪する。

 ジャスミンはカフェのそばのトレーラハウスで暮らすコックスの絵のモデルになり、空き地にテントを張って暮らすエリックとも仲良くなる。ジャスミンは手品を覚え、それをカフェで披露。それが客に受け、カフェは大人気なる。ある日保安官がやってきて、ジャスミンのビザが切れていると話し、ジャスミンは帰国することに。

 カフェの皆は元気をなくし、店も寂れて行くが、しばらく後ジャスミンが戻ってくる。ジャスミンはブレンダとともに店でショーをし、また店は大人気となり、ブレンダの夫も戻ってくる。ジャスミンはコックスにプロポーズをされる。

 

 なんとも不思議な雰囲気を持つ映画。決して若くも美しもない中年女性が、カフェにたどり着き、そこにいたいつも不機嫌な女主人と仲良くなっていく物語。

 大きな事件が起きるわけではなく、それでいて後半、ジャスミンの手品で店が人気店となって行く様は観ていて気持ちが良い。途中現れる男性がブーメランを扱うのは、去っていった人間がまた戻ってくるという象徴だったのだろう。

 Calling Youがこの映画のために作られた曲だとは知らなかった。道理で歌詞と映画の内容がぴったりのはず。

 唯一難点は、終盤の店でのショーの長さか。なぜあすこまで長く引っ張ったのだろうか。この部分がのちに追加された部分なのだろうか。一度国に戻ったジャスミンがカフェに戻ってきて、ブレンダと再会したところで終わりにする方が話がスッキリすると思うのだが。