復讐の荒野

●604 復讐の荒野 1950

 1870年、ニューメキシコ州、牧場主TCジェフォーズは非道な手段で土地を手に入れたり、自主通貨で取引をする利己主義的な男だった。娘バンスも父親と同じような性格の持ち主で、ジェフォーズは息子ではなく、娘であるバンスに牧場を継がせるつもりでいた。

 ジェフォーズは自分の土地に不法居住する者たちを追い払おうとするが、メキシコ人エレラはバンスの幼馴染であり、バンスの口添えで土地に住み続けていた。

 バンスは結婚相手として、銀行家リップを選ぶ。しかしリップの父もジェフォーズによって土地を追われた一人だった。バンスはリップと結婚の約束をして家に招待、父に会わせることに。しかし父ジェフォーズはリップに、5万ドルを選ぶか、娘を選ぶかの選択を迫る。リップは5万ドルを選び、バンスを振る。バンスは落ち込むが、牧場の経営に精を出すことで失恋の悲しみを忘れようとする。

 ジェフォーズがバーネット夫人を連れて家に帰ってくる。二人の仲を怪しむバンスだったが、バーネット夫人は亡き母の部屋を使うなど御構いなしの態度を取り始める。しばらく後、バンスは二人が結婚を考えていることを知らされる。怒ったバンスはハサミを投げつけ、バーネット夫人に怪我を負わせてしまう。怒ったジェフォーズはバンスを追い出す。

 バンスはエレラの家へ行くが、エレラ一家を追い出そうとしていたジェフォーズはエレラの家に襲撃をかける。エレラはバンスの思いを知り抵抗をやめるが、ジェフォーズはエレラが自分の牧場の馬を盗んだことを知り、エレラを絞首刑にする。エレラは潔く刑を受け入れる一方、バンスにはプライドを持ち続けるように話す。

 バンスは父への復讐を誓う。リップの力も借り、ジェフォーズの自主通貨を買いまくり、価値を暴落させ、ジェフォーズを破産に追い込む。そしてバンスは父の牧場を手に入れ、協力してくれたリップには彼の父の土地を与えることに。全てを知った父ジェフォーズは潔く負けを認め、また一から出直すことを決める。バンス、リップ、ジェフォーズの3人で歩き出すが、エレラを殺された母親がジェフォーズを撃ち殺す。

 

 1950年の西部劇ということで、気楽に見始めたが、冒頭からその展開の意外さに驚かされた。ジェフォーズの息子が結婚のために家に戻ってくるところから話がスタートするが、息子は全くストーリーに関係なく話が進む。典型的な利己主義な父、それに同調する娘、この二人が中心となって話が展開。

 娘と仲の良い男が登場するので、この二人の恋愛物語かと思いきや、娘は別の男に惚れてしまう。しかし結婚の約束をあっさりと反故にされる。話の先が見えない状態だったが、父が再婚相手と思われる女性を連れてきて、話は急展開。

 亡き母を大切に思う娘は、再婚を考える父の相手を傷つけ、その結果家を追い出されてしまうハメに。で、最後は娘の復讐劇。しかも西部劇でありながら、自主通貨を使った経済戦という珍しい戦い。

 

 タイトルの意味がわかってくるのが後半なのでちょっと戸惑ったが、西部劇には珍しい展開や戦いがあり、なかなか面白い一本だった。