オールウェイズ

●617 オールウェイズ 1989

 森林の消防飛行士パイロットのピートは、自らの命も顧みずに消防活動を行うことで仲間の信頼を得ていたが、恋人であるドリンダはそんな彼のことが心配でならなかった。ドリンダの誕生日にも燃料切れまで飛行を続け彼女をハラハラさせる。怒るドリンダにピートはドレスと靴のプレゼントを用意しており、やっと彼女は機嫌を直す。

 その夜、飛行士を辞めて訓練学校の講師になって欲しいと頼むドリンダにピートは今の仕事が生き甲斐だと話すが、彼女の頼みを受け入れることに。しかし緊急連絡がありピートは友人アルとともに火災現場へ急行、アルの飛行機が火災に見舞われたのを助けるために無茶な飛行をしアルを助けるが、自身の飛行機も火災に遭い死んでしまう。

 気がついたピートは森の中を歩いており、ハップという女性に会う。彼女はピートに、あなたは既に死んでいると伝え、あなたも助けられたように、消防飛行士のために助言をする役割を担って欲しいと頼む。

 既に気がつけばピートが死んで数ヶ月が経過していた。ピートは訓練学校へ行く。そこでテッドを知ることに。彼は配達業者だったが、ドリンダに一目惚れをしており、訓練学校へ入っていた。ピートは訓練をするテッドに付き添い、アドバイスを送る。

 その頃訓練学校の講師となっていたアルはドリンダと再会、学校に来るように話す。学校へ行ったドリンダはテッドと会う。テッドはドリンダと接触、二人はお互いを意識するようになって行く。それを見ていたピートは悲しむが、ドリンダがピートとの思い出の曲を聞き、彼のことを思い出すのを見て安心する。

 ピートはハップに再会、彼女から自分は死んでいるので、自分のためには何もできないことを再度告げられ、ドリンダのために別れを告げるように言われる。

 テッドは無事パイロットとなる。ある日森の中で消火作業中の消防員たちから助けて欲しいと連絡が入る。テッドが救助に向かおうとするが、それを知ったドリンダは一人先に飛行機に乗り込み現場へ向かう。ピートはドリンダに付き添い、不慣れな彼女のためにアドバイスをし、見事消防員たちを救い出すことに成功する。基地への帰還中にピートは全てを話しドリンダに別れを告げる。しかし飛行機がトラブルに見舞われ川に不時着。基地に戻ったドリンダはアルやテッドたちに迎えられ、それを見たピートは一人去って行く。

 

 ヘップバーンの遺作であることは知っていたが、内容も知らず今回が初見。

 ストーリーは、この翌年に製作された「ゴースト」でブームとなる、死んだ人間が生きている人のために奮闘するファンタジー。「ゴースト」はコメディ色が強かったが、本作は死んでしまった主人公が、苦悩する恋人を見守る様子が描かれるシリアス色が強い。

 どうしても「ゴースト」との対比となるが、あちらでは死者の言葉を伝える役割を持つ人(ゴールドバーグ)が登場、それがコメディにもキーポイントにもなっており面白かったが、本作は死者である主人公の言葉が生きている人間たちにどのように伝わっているのかは、明確には描かれていない。確かに主人公の言葉で、生きている人間たちが色々な動作をする場面はあるので、言葉は伝わっているのだろうが、それが「誰」の言葉なのかはわかっていない前提なのだろう。ラスト前、消防員たちを救助したドリンダに主人公が語りかけるが、そこでやっとその言葉が主人公のものであったとドリンダが気づく、というのがもう少し強調されていれば、もっと感動作になっただろうに。

 

 見終わってネットで調べて、これも一種のリメイクだと知り、そのオリジナルが1943年の作だと知り、もっと驚いた。死者を主人公とするストーリーがこんな昔から作られていたなんて、さすがハリウッド。これもキリスト教の影響なのかしら。