家康(八) 秀吉との和睦 安部龍太郎

●家康(八) 秀吉との和睦 安部龍太郎

 前作に続き8巻目。章立ては、火薬庫、小田原征伐、江戸入城、奥州仕置、明国征服計画、家康の決意。

 

 前作終わりで家康との和睦を果たした秀吉は、朝廷にも地位を認められ日本統一に向けて最終段階に入る。一方家康は上洛しない北条家の対応に苦慮していた。最後まで秀吉の要請を断り続けた結果、小田原征伐となり、北条家をかばう家康は江戸への国替えを命じられることになる。江戸の街づくりを目指す家康。秀吉は奥州での一揆を逆手に取り統一を完全なものにし、さらに明国征伐に乗り出して行く。

 

 前作でも書いたが、いわゆる秀吉の時代に何が実際に起きていたのかよくわかっていなかったので、著者のこのシリーズは非常に勉強になる。家康の江戸への国替えの理由、秀吉が明国制服という野望を望んだ理由、などが著者独自の目線で語られる。そこではこれまで読んだ一般論とは異なる点が指摘され、(これも前作で書いたように)著者が当時の外国勢力が日本に及ぼした影響の大きさを改めて知ることができた気がする。

 

 ここまで8冊続いた本シリーズも一応これで前半終了ということらしい。秀吉の時代がまだ終わっておらず、ここで前半終了なのはちょっとピンとこない感じもするが、著者にとっては、家康の生涯を考えた場合、ここが中間地点なのだろう。

 シリーズがいつ再開されるかわからないが、楽しみにしておこう。