鬼平犯科帳 第1シリーズ #10 一本眉

●第1シリーズ #10 一本眉

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 茶問屋亀屋が盗賊に襲われ店の者は皆殺し、780両が盗まれる。酒井は亀屋に定期的にきていたという按摩の茂の市に事情を聞くが、彼は当日店を訪れていなかったため何もわからなかった。

 佐嶋は店の者の中で死体となって発見されなかったおみつという下働きの女が引き込みだったのではないかと鬼平に報告するが、鬼平はおみつが2、3年前から働いていたと聞き、今回の急ぎ働の仕事とは無関係だろうと話す。そこへ酒井がやってきて亀屋の金蔵の錠前が真っ二つに切られているのを鬼平に見せる。それを見た鬼平は7年前の事件の調書を調べさせ、一本眉こと清洲の甚五郎の手口だと確信する。甚五郎はおまさの昔の親分だったため、鬼平はおまさを呼べと酒井に命じる。

 その頃街を流していたおまさは男に声をかけられる。その男こそ甚五郎だった。話があると言われたおまさは、甚五郎を船宿鶴やに連れていく。鶴やは粂八が店主をしている店だった。甚五郎はおまさに江戸で仕事をしたいので人手を集めて欲しいと頼む。おまさは甚五郎には佐喜蔵という子分がいたはずだがと話すが、甚五郎は佐喜蔵はもういないと答える。おまさは鬼平に報告、詳しい話は明日もう一度会って聞くことになっていると話す。

 酒井は茂の市に話をもう一度聞くため、彼の住む長屋へ行くが長屋の住人に留守だと言われ伝言を頼む。その長屋の住人は馬返しの与吉という盗賊で、甚五郎の隠れ家へ向かう。そこには亀屋で働いていたおみつも待っていた。与吉は茂の市のことを盗賊改が調べていることを甚五郎に報告、甚五郎は様子を見ると話しおみつには江戸を離れるように命じる。亀屋の一件は、佐喜蔵一味がやったことだった。

 翌日鶴やへ向かう甚五郎は佐喜蔵一味の者に見つかる。おまさは甚五郎に粂八を仲間として紹介する。粂八は明日仏具商を襲うと話す。粂八は驚くが、甚五郎は誰も傷つけずに仕事をすると話す。鶴やからの帰り道、甚五郎は佐喜蔵一味に襲われる。それを鬼平が助ける。役宅では帰ってこない鬼平のことを皆が心配していた。その頃鬼平は甚五郎の隠れ家で酒を飲み交わしており、甚五郎から盗人であること、岡部の宿にいる女とできてしまい子供がいることなどを聞く。そして朝まで飲み明かし、鬼平は甚五郎の仕事を手伝うと話す。

 茂の市が長屋に戻ってくる。与吉は茂の市が佐喜蔵一味のなめ役だったことを明かし、一味とのつなぎ役の伊助の名前を聞きだし、彼を刺し殺す。与吉は伊助を隠れ家におびき出す。その頃鬼平をはじめとする盗賊改めは甚五郎の隠れ家に。その時家の中から叫び声がしたため鬼平が中に入る。そこでは甚五郎が伊助を刺し殺していた。鬼平は甚五郎から伊助を殺した経緯を聞く。佐喜蔵を殺しに行くという甚五郎に鬼平は自分も一緒について行くと話す。

 甚五郎、鬼平、与吉の3人は船で佐喜蔵一味の盗人宿へ。しかし盗人宿に着いた時、甚五郎は発作を起こし死んでしまう。鬼平は同心たちを呼び寄せ、盗人宿へ。そして佐喜蔵を切り捨てる。

 役宅での与吉の取り調べが行われる。佐渡への島流しを言いつけるが、その前に一つ頼みがあると言い、甚五郎に金を借りたが返す相手がいないので、岡部の宿にいる甚五郎の子供に渡して欲しいと頼む。

 

 初見時の感想はこちら。あらすじを追加した修正版。

 盗賊の大親分が主役のパターン。皆殺しの強盗が発生するが、その手口から清洲の甚五郎だと鬼平が推理、しかし甚五郎はおまさの昔の親分で、3つの掟を守る盗賊だった、というお話。3つの掟は劇中では語られないが、鬼平でよく登場する憎めない盗賊が守る掟で、『犯さず殺さず貧乏人からは奪わず』が決まり文句。

 おまさからの情報で甚五郎をつけていた鬼平が彼を助け、朝まで一緒に酒を飲むシーンが一番の見せ場か。ここでは、手口からは皆殺しの一件が甚五郎一味の仕業だと考えている鬼平が、甚五郎の話すことを聞き(おそらく)皆殺しは甚五郎とは別の者の仕業だと考えつく。だからこそ、鬼平は捕まえるためではなく、甚五郎の仕事を手伝うと言い出したのだろう。甚五郎が伊助を殺す場面に出くわした後も、加勢すると話す鬼平がそれを証明していると思う。

 ラスト、討つべき相手を目の前に甚五郎があっけなく死んでしまうのはちょっと肩透かしだが、肩入れしているとはいえ、目の前で甚五郎に人を殺させるわけにもいかないので仕方なしか。その分、ラストの与吉への頼みごとがイカしていて、気持ちの良い結末になっている。

 

 久栄が鬼平の戻らない夜に心配する姿が一つ前の話「兇賊」と似ており、いかにも第1シリーズらしさを感じさせる。このシーンで同心村松鬼平の粥の好みを語るのも微笑ましい。

 初見時の感想にも書いたが、芦田伸介、尾藤イサオ藤岡重慶など懐かしい役者さんたちが揃っているのも第1シリーズならではかも。

 

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