特攻大作戦

●646 特攻大作戦 1967

 ライズマン少佐は軍本部に呼ばれる。彼は規律違反をするなどして上官からは嫌われていた。特にブリード大佐とは犬猿の仲だった。彼に下された命令は、Dデイ前にドイツ軍将校たちが集う屋敷を襲撃し指揮系統を混乱させることだったが、その兵士として軍刑務所にいる囚人の中から12名を選ぶという条件だった。当初は囚人たちに報酬なしとされたが、ライズマンの提案により、作戦成功の場合は報酬、減刑が検討されることになる。

 ライズマンは囚人12名と面会、近々に行われる死刑から逃れるために作戦に同意することを求め12名は作戦に参加することに。彼らを訓練地へ連れて行き、自分たちで宿舎や訓練設備を作らせる。真面目に訓練しない囚人たちだったが、ライズマンは心理学的アプローチをしたり、彼らを厳しく訓練することで自らを敵とし囚人たちを団結させていく。

 訓練最終段階でパラシュート降下訓練をすることになり、ライズマンは偽の報告を上げ、ブリード大佐がいる軍設備へ向かう。そこで囚人の一人に将軍の役をさせることで無事訓練を実施する。しかし囚人の一人が大佐の部下から暴力を受け、囚人たちはそれがライズマンの仕業だと勘違いしてしまう。

 ライズマンは訓練終了を祝い、囚人たちの宿舎に娼婦を呼びパーティを行う。後日ブリード大佐は、ライズマンのやっていることが許可されていないという名目で訓練地を部隊と共に制圧する。しかしライズマンの機転によりこれを妨害。怒ったブリード大佐は軍に戻り、ライズマンの部隊の解散させ囚人たちを刑務所に戻すよう求める。ライズマンは自分の部隊はブリード大佐の部隊よりも優秀だと述べ、他の上官が軍事演習で二つの部隊を競わせることを提案、ライズマンはブリード大佐率いる赤軍本部を制圧してみせると宣言する。ライズマンの部隊は軍事演習で負傷兵を装い赤軍本部の制圧をすることに成功する。

 いよいよ本番の作戦が実行される。ドイツ領域にパラシュートで降下しドイツ将校たちが集う屋敷を襲撃する。パラシュート降下の時点で一人が死亡するが、計画は続行。しかし囚人の一人が屋敷内でドイツ人女性と接触した際、精神異常である彼はその女性を射殺、その音がきっかけとなり、計画は破綻する。それでも将校たち殺害を目論む彼らは奮闘。仲間の囚人たちが一人また一人と倒れる中、なんとか屋敷を爆破させることに成功する。

 生き残ったのは3人だけだったが、計画成功を受け、死んだ囚人たちの名誉も回復されることになった。

 

 タイトルも知らなかった一本だが、非常に面白かった。ダメな男たちを集めデカい仕事をやり遂げる、というある意味定番のパターンの映画だが、その訓練に当たる部分のシーンが見応えがある。

 まとまりのない集団が仮想敵の元に団結していく、というのは現実の世界でもよくあるパターンだが、本作ではライズマンが自分が仮想敵であることを知りながら上手く立ち回っている、というのが目新しい。そして最終段階のパラシュート訓練のシーン。現場でのトラブルに際しとっさに部下を信じ将軍役をやらせるライズマンの機転。その後ライズマンが誤解を受けるが、ブリード大佐のヘマでそれもあっさりと解決する。

 そして軍事訓練。実際に囚人たちがとる行動はチャチなものだが、それに乗っかる上官たちの様子が可笑しい。そしてライズマンによる娼婦たちのプレゼントで、囚人たちは完全に心を一つにする…はずだったが。

 ラスト45分は本番の計画が実行される。ここまでコメディシーンが織り交ぜられていたこともあり笑って見ていられたが、ここから突如緊迫する場面が続く。屋敷へ侵入するのに手間取ったり、屋根を踏み抜き足が抜けなかったり。ハラハラするシーンを連続で見せることで緊張感はマックス。そして一人の囚人の暴走により、計画は破綻。それでも冷静に行動したライズマンにより、なんとか目的は実行される。

 

 俳優陣も名前だけではピンと来なくとも、顔を見ればあぁどこかで見たことがある人だ、という俳優さんが多かった。冒頭12名の囚人、というのはちょっと多すぎでキャラを立たせるのが難しいと思ったが、ラストの計画実行で一人ずつ倒れていくためには、これぐらいの人数が必要だったかも。

 なかなか良い作品だと思ったら、監督がアルドリッチ。「ロンゲストヤード」の監督さんね。このブログではまだ取り上げていないが、子供の頃に見てスカッとした記憶がある。