ジェロニモ

●647 ジェロニモ 1993

 1885年、アパッチ族は最後までアメリカ軍と戦っていたが、投降することに。士官学校を卒業したばかりのデイビス少尉はゲイトウッド中尉とともにアパッチ族のリーダー、ジェロニモと対面、護送する役目に着く。

 護送途中、町の保安官が殺人容疑でジェロニモを引き渡すように言ってくるが中尉は拒否。すると保安官は仲間を連れ彼らを追ってくる。山で保安官たちを待ち伏せし撃退に成功した中尉とジェロニモは互いに信用し合うことに。一行は軍部に到着、指揮官であるクルック准将もジェロニモを敬意を持って迎える。准将はジェロニモ居留地へ護送し軍で監視すると話し、それを受け入れたジェロニモは監視役として中尉を希望する。しかしクルック准将はデイビスにその役割を命じる。

 アパッチ族居留地で農業を始めるがその暮らしに満足はしなかった。不満が募るアパッチ族は占い師の予言に従い偉大なる戦士を復活させる儀式を始める。その行動に危機感を覚えた兵たちは儀式を妨害、そこから暴動が起こりジェロニモは隙を見て仲間とともに逃亡してしまう。

 軍は追跡隊を編成しジェロニモを追うが、ジェロニモたちは白人たちを襲い武器や物資を盗み続ける。アパッチ族の長老がジェロニモの行動に異を唱え居留地へ帰ることを提案するがジェロニモは戦い続けることを決意する。ジェロニモたちの逃亡の責任を取りクルック准将は辞職、マイルズ准将が後任となる。マイルズ准将はアパッチ族を追跡隊から外しジェロニモたちを追うが手がかりは掴めなかった。

 マイルズ准将はゲイトウッドを呼び出し、好条件でジェロニモと交渉するように命じるが、その条件は嘘偽りのあるものだった。ゲイトウッドは、デイビス、シーバー、アパッチ族のチャトの4人でジェロニモを追う。道中、白人による原住民襲撃の現場を目撃し、その犯人と思われる白人たちと町の酒場で出会う。彼らはチャトに目をつけ、銃撃戦となり相手を倒すが、シーバーが射殺されてしまう。メキシコまでジェロニモを追ったゲイトウッドたちは交渉に成功、ジェロニモは投降することを決意する。

 ジェロニモと仲間たちを連れ居留地に戻ったが、ゲイトウッドは左遷される。ジェロニモたちとの約束も反故にされ、それを知ったデイビスも軍をやめる。護送されるジェロニモは仲間たちに本音を語る。

 

 ジェロニモを扱った映画は何本か観てきた。やはり1993年の作品ということもあり、ジェロニモを単なる悪者にもしておらず、ジェロニモや兵士など両方の立場から物語が描かれている。

 導入では、新卒の兵士デイビスの視点から話がスタートするが、ジェロニモとゲイトウッド中尉2人の信頼関係がまず描かれ、投降し居留地に入ったジェロニモがやはり馴染めないことに気づき、反乱。それによってアパッチへの理解を示していた軍司令官が辞職。新たな指揮官によるだまし討ちのような和解へと展開していく。

 映画を見ている限り、どの立場の言い分も理解できるように思えるのが、この映画の上手いところ。ジェロニモにどうして白人は自分たちの土地を奪うのかと問われ、答えられなかったクルック。約束を反故にしたことに怒るデイビスに、国家として必要なことだと答えるマイルズ。そしてラストのジェロニモの言葉。どの言葉にも説得力がある。今の時代ならばもちろん許されることではないことだが、あの時代だからこそ、なのだろう。これから新しい国家を作っていくんだ、というセリフが重く、その陰にあったことを忘れてはいけない。