遺跡発掘師は笑わない 縄文のニケ 桑原水菜

●遺跡発掘師は笑わない 縄文のニケ 桑原水菜

(ネット紹介記事より抜粋)

 数多くの縄文遺跡がある長野県諏訪地方。若き天才発掘師・無量はその中の1つ、御座遺跡で発掘を行うことに。だがそこで、過去に祖父が起こした遺物捏造事件の関係者・理恵と再会してしまう。さらに、不気味な文様のついた土器片を発見するが、その文様を見た理恵は“呪いのカエルだ”と激しく動揺し……!?
一方、縄文フェスティバルの準備を手伝っていた萌絵は諏訪大社で、古代神を祀る新興宗教の一団と遭遇し、不穏なものを感じていた。その新興宗教には無量の幼なじみ・忍の、鳳雛学院時代の同級生も関わっているらしく──。

 

 諏訪旅行を考えているので、いろいろと探していて偶然見つけた一冊。「諏訪の神 封印された縄文の血祭り」のような解説本も良いが、ミステリーの舞台となっている本作のようなものを読むのもアリかなと考えた。普段、シリーズものを途中から読むことは絶対にしないのだが、本作はシリーズ9巻目であり、秋の旅行までに9冊読む自信がなかったので、仕方なくいきなり9巻目から読むことに。

 

 主人公たちの関係性もわからないまま読み始めたので、冒頭の萌絵の無量の対する気持ちがさっぱりわからず(笑 しかし話は縄文遺跡発掘の現場、過去の捏造事件の関係者、謎の土器、新興宗教の集団、主人公の一人の同級生、など様々な展開が次々と起こり飽きることがなかった。

 実際にある土偶の名前が登場しネットで検索をすることでこれまで興味がなかった縄文時代土偶が身近に感じられたり、新興宗教がらみの説明で諏訪の時代的な特徴がわかり、先に読んだ「諏訪の神 封印された縄文の血祭り」の知識が役立ったり。

 

 ミステリでありながら、諏訪の特徴をよく知ることができた一冊だった。ミステリとしては、シリーズ途中からいきなり読んだこともあり、よくわからない点も多々あったが、遺跡発掘者を主人公とするというのは新鮮。本作は縄文時代、諏訪、が舞台だったが、他の作品ではどんなことをテーマにしているのかが気になった。シリーズ最初から読んでみたいと思う。