ミラクル・ニール

●652 ミラクル・ニール 2015

 ニールは教師でありながら小説家になることも夢見ているが、どちらも上手くいっていなかった。彼はアパートで愛犬デニスと暮らし、同じアパートに住むキャサリンに恋していたが、何も言えずにいた。

 宇宙で地球から1972年に発射されたロケットが宇宙人により回収され地球の存在が発覚、彼らは宇宙に住む種が優等か否かでその種を絶滅させる権限を得ており、地球人が優等かどうかをテストで判断することに。内容は地球人の一人に全能の力を与えその力を悪用すれば全滅させるというもので、選ばれたのはニールだった。

 力を与えられたニールはそれに気づかず、自分の担当のクラスを全滅させてしまう。家に帰ったニールは自分の力に気づく。そしてクラスが全滅する前に時間を戻す。その後、与えられた力を楽しむニール。同僚のレイが惚れている女性ドロシーに力を使い、レイを崇拝するように命じる。ドロシーが崇拝し始めたのを知ったレイは、ニールの力の使い方について助言する。

 その頃キャサリンはパーティで会ったグラントに付きまとわれて困っていた。そのことを酒を飲みながら友人女性に話すと、同じアパートに住むニールをベッドに誘えばと言われる。その時、宇宙人たちの持つ機械の故障でニールに与えた力が使えなくなってしまう。それを知らないニールはキャサリンが自分に惚れるように願う。すると酒に酔ったキャサリンがニールを訪ねてきて、二人は一夜を共にする。翌日キャサリンが昨夜のことを話すためにニールの元を訪れるが、愛犬デニスを喋れるようにしていたため、ニールをゲイだと勘違いし怒って帰って行く。

 しかし後日キャサリンの家にグラントが忍び込んでおり、困ったキャサリンをニールは自分の家に誘う。ニールは自分の力についてキャサリンに告白する。そこへグラントがやってきてケンカとなる。二人のやりとりに呆れたキャサリンは家を出てしまい、ニールは力を使ってグラントをねじ伏せるが、隙をついて気絶させられてしまう。

 キャサリンは出社した際、職場がニールの言葉通りになっていることに気づき、ニールに家へ。しかしニールはおらず、ドロシーに崇拝され困っているレイが隠れていた。ニールはグラントに拉致され、彼の欲望を満たすために力を使わされていた。キャサリンとレイは、グラントの住むマンションへ行きニールを助ける。助けられたニールは、レイとキャサリンに謝罪するが、キャサリンはニールの力を知り怒ってしまう。

 ニールは力を世界平和のために使うが、それも上手くいかなかった。絶望した彼は自殺をしようとするがそれも失敗。デニスはニールに力を自分に移すように話す。力を受けたデニスは、この力の源を破壊するように命じる。すると宇宙人たちの住む星が悉く破壊されてしまう。

 力を失ったニールはキャサリンに声をかけ夕食に誘う。

 

 ごく普通の一般人である主人公が全能の力を持つ、というまさにマンガ的なストーリー。細かいイタズラのようなものを除けば、主人公が終盤前までにやったことは自分と友人の恋を成就させたこと、危険が迫った時に力を使って相手を倒したこと、ぐらい。あぁ愛犬を喋れるようにしたのが一番大きいか(笑 

 日本のマンガや小説などの場合は、その力を使って悪い組織と戦う、などの展開になりがちだが、本作はラブコメの緩い展開が続く。そしてその恋愛も力の作用がなくなったところでハッピーエンド、ってあまりに予想通りの展開。ラスト近く、力を本当に平和のために使おうとしたのに何の解決にもならないというのが、「らしい」ブラックジョークなのだろうか。

 伝説のお笑い集団による映画ということだが、やはり時代が変われば笑いも変わる、ということだろうなぁ。昔のファンは大喜びかもしれないけど。