シェフ 三ツ星フードトラック始めました

●654 シェフ 三ツ星フードトラック始めました 2014

 カールはレストランガロワーズのシェフ。離婚した妻イネズの元で暮らす息子パーシーと時々会えるのを楽しみにしているが、仕事も忙しく、たまに会うパーシーを連れて行くのは市場や食べ物屋ばかりだった。元妻はカールにフードトラックでの仕事を勧めるがシェフであることに誇りを持つカールは聞く耳を持たなかった。

 ある日料理評論家ラムジーが客として来ることがわかり、カールは気合を入れて新しい料理を出そうとする。しかし店のオーナーのリーバはいつものメニューを出すように指示、客はいつもの料理を期待しているのだとカールを言いくるめてしまう。結局定番料理を出すことにしたカールだったが、ラムジーはその料理を出したカールのことを酷評する。落ち込むカールを同僚や恋人でありソムリエのモリーは慰める。

 カールは新しい料理を創作、同僚たちに味見をしてもらい絶賛されるが、同僚たちはツイッターなど気にするなと話す。カールはツイッターのことをよくわかっていなかった。カールはパーシーと会った時にツイッターについて教えてもらう。そしてラムジーツイッターでカールの悪口を書いているのを見て反論する。しかしそれが元で炎上騒ぎとなり、カールは新しいメニューを食べに来いとラムジーに挑戦状を送る。

 炎上騒ぎを心配したイネズはカールに弁護士を紹介しようとするが彼は断る。炎上騒ぎが元で、ラムジー来店の日、店の予約は一杯となる。喜ぶカールだったが、状況を知ったリーバはまたも定番の料理を出すように命じる。カールは大反論をするが、嫌なら店を辞めろと言われ店を辞めてしまう。ラムジーは来店するが、カールの新しい料理が食べられないことでツイッターでつぶやく。それを見たカールは激怒、店に乗り込みラムジーを口汚く罵る。それを他の客に動画で撮影されネットで公開されてしまう。

 カールはイネズに紹介してもらった弁護士に相談するが、動画についてはどうすることもできず、それが原因で新しい職も見つからなかった。そんなカールにイネズはパーシーと3人でマイアミへ行くことを提案、イネズが仕事をする間、パーシーの子守として欲しいと頼み、カールも了承する。

 マイアミでイネズの父がいる店に行き、帰りに一緒にキューバサンドを食べる。その味に感激したカールはフードトラックを始めることを検討する。そしてイネズの元夫であるマービンと会い、フードトラックを手に入れる。手に入れたのはボロボロのトラックだっため、カールはパーシーと掃除を始める。そこへガロワーズで一緒だった同僚マーティンがやってきて手伝うことに。掃除の現場にいた現場の男たちにキューバサンドを食べさえたところ大好評。夏休みだったパーシーも一緒にトラックでロスまで旅をしながらキューバサンドを売り続ける。パーシーがSNSで宣伝したこともあり、どの地でもキューバサンドは飛ぶように売れ続ける。いつしかカールはパーシーとの時間を持つこともでき、父と子の絆も深くなって行く。

 ロスが近づき旅の終わりも迫ってきた時、カールはパーシーに家に帰ったらトラックの手伝いは終わりだと話す。イネズの家にパーシーを送ったカールは自分の家に戻る。そこでパーシーから送られてきた旅の途中で撮影された動画を見る。それを見たカールはパーシーに連絡をし、これからもフードトラックの手伝いをして欲しいと頼む。

 ロスでもフードトラックは大人気だった。パーシーだけでなくイネズも手伝っていたある夜、あのラムジーがフードトラックにやって来る。カールは身構えるが、ラムジーキューバサンドの味を絶賛、資本提供をするので、自分の思う通りの店をやらないかとカールに持ちかける。

 半年後、カールは店を開いていた。その日は貸切でカールとイネズの結婚パーティーが行われていた。

 

 これまた全く知らなかった一本だったが、久しぶりに気持ちの良い映画を観たという感じ。一流の腕を持つシェフが、店のオーナーと喧嘩をし、さらに料理評論家にも悪態をつき、ネットで炎上。全てを失ってしまい、フードトラックで再出発をするという話。動画が元で有名シェフが全てを失う、というある意味リアルな話であるが、それは前半まで。

 後半はよくあるやり直しの苦労物語かと思いきや、息子との絆の回復や本人がプライドから拒否していたフードトラックでの大成功、そこには元妻や元同僚の手助けもある、という「ど定番」の展開だったが、なぜかこれが心地良く感じられた。おそらく映画に出て来る人物たちが皆「良い人」ばかりだったからかもしれない。唯一そうでなかった店のオーナーは前半で出番終了だったし(笑

 ラストも良い。主人公から見れば自分を嫌っていたように思えていた評論家が資本提供を申し出て来るし、登場理由がよくわからなかった元妻の父もラスト店で演奏しており、あぁこのためだったかと思わせてくれたし。

 監督がアベンジャーズで有名な人らしいけど、そのシリーズは一本も観ていない(笑 これだけ気持ちの良い作品を作る人ならば、その人気シリーズちょっと観ても良いかな。