Shall We Dance?

●659 Shall We Dance? 2004

 ジョンは遺言書作成を専門にしている弁護士。妻と二人の子供に恵まれ平和な生活を送っていたが、どこかに物足りなさを感じる毎日を送っていた。ジョンは通勤電車の中から見えるダンススクールの窓にいる女性のことが気になり始める。幾度かその女性を目にしたジョンは、そのスクールに通うことを決意、早速初心者コースにチック、ヴァーンとともに入ることになる。気になっていた女性はポリーナ、しかしジョンたちはオーナーである老婦人に教えてもらうことになる。

 ある日練習の帰り、同じスクールに通うボビーという女性と初心者3人で食事をすることに。ボビーはスクールに通い始めた理由を3人に尋ねる。チックは女性にモテるため、ヴァーンは婚約者がダンスを習っており痩せるためにダンスを勧められたためだった。ジョンも理由を聞かれるがごまかしていると、ボビーはポリーナ目当てであることを見抜き、彼女は昨年世界最高峰の大会に恋人と参加したが、そこでフラれスクールに戻ってきたと話す。

 その後、徐々にダンスが楽しくなってきたジョン。ある時スクールに見覚えがある男性がおり、近づいて見るとそれは会社の同僚リンクだった。彼はダンス好きであることを隠しており、それを知ったジョンはリンクと仲良くなり、会社でもダンスのことを話すようになる。

 帰りが遅くなることが多くなったジョンのことを妻ビヴァリーは心配する。彼女の勤め先の部下が夫の浮気を疑っている話を聞き、彼女は余計に心配になってきて、探偵に夫ジョンの素行調査を依頼する。

 ジョンはリンクに誘われスクールではない場所でダンスすることを誘われる。その場でリンクは若い女性に声をかけるが、気持ち悪いと言われ落ち込んでしまう。

 スクールで老婦人が休み、代わりにポリーナが3人を教えることに。ダンスの最中、誤ってボビーがポリーナのコートを汚してしまい彼女は落ち込んでしまう。帰り道、ジョンはポリーナを励まし、食事に誘うがポリーナは真剣にダンスをしているので私目当てならダンスをしないで欲しいと言われてしまう。ジョンはスクールに通いづらくなりスクールの目の前まで行っても引き返してしまう。そこで息子に会い、彼女を紹介するのでと店に連れて行かれる。そこでは若者たちが楽しく踊っており、それを見たジョンは踊りたくなりスクールへ戻る。

 探偵はジョンの素行調査の結果を妻ビヴァリーに報告する。浮気でないと知って安心する彼女だったが、夫が普段しないようなダンスをしている理由がわからず戸惑う。

 ジョンはスクールに通い続ける。ある時ボビーがヴァーンと踊っていて彼のことを侮辱する。落ち込むヴァーンに謝罪するボビーだったが、突然倒れてしまう。入院したボビーをスクールの皆で見舞った帰り、オーナーはジョンにボビーと新人の大会に出ることを勧める。

 ジョンはボビーと練習を始めるが、タンゴだけは苦手でその役割をリンクに勧める。女性に侮辱されて以来落ち込んでいたリンクだったが、ジョンの頼みを聞いてボビーと組むことに。大会に向けて皆が練習に励む。大会前日、ポリーナがジョンに声をかけ例の件を謝罪、二人は一緒に食事をする。そしてポリーナはジョンのために特別にレッスンを行う。

 大会当日、リンクはボビーと出場するが途中で別のペアの男性にカツラを外されダンスが中途半端になってしまう。ボビーに励まされたリンクはカツラを外し2曲目を完璧に踊り大歓声を受ける。いよいよジョンの出番、彼はそつなくこなしていくが、踊っている最中にボビーがジョンの家族が来ていると話すと、ジョンはそれが気になってしまい、誤ってボビーの衣装を踏んでしまう。ボビーはその場から去ってしまう。ジョンはビヴァリーを追いかけ話をするが、彼女は車で帰ってしまう。

 ジョンはダンススクールに通うことを止める。そこへリンクとボビーがやって来て、ポリーナがイギリスへダンス留学に行くことになり、皆でパーティを行うので参加して欲しいと話し、ポリーナからの手紙を渡す。手紙にはジョンへの感謝が書かれていた。それでもジョンはパーティには行かないと宣言する。しかしビヴァリーはジョンへダンス用の衣装と靴をプレゼントし、パーティに参加してと手紙を渡す。

 ジョンはその衣装に着替え、バラ1輪を持ってビヴァリーの職場へ行き彼女とともにダンスを踊る。そして二人でパーティに向かい、ジョンはポリーナとともに踊る。

 その後、スクールの皆は様々な場所でダンスを踊っているのだった。

 

 このアメリカ版か日本のオリジナル版か、少なくともどちらかは絶対に以前観ているはずなのだが、普通のサラリーマンがダンスにハマる、ということ以外全く内容を覚えていなかった。その分新鮮に観ることができたけど。

 

 物語の展開が実に見事。通勤電車で窓に立つ女性を見かける→スクールに通う→しかし女性とお近づきになれず→やっとダンスを教えてもらう→事件がきっかけで話す→夕食に誘う→はっきりと拒絶される→スクールに通うのを辞める。このあたりまでが前半かな。流れが自然で、対象がダンスでなくても全然OKな感じ。

 いい年をしたオヤジが若い女性に一目惚れして、普段はしない行動を起こす。同じコースの若者とも仲良くなり…なんてまるでオヤジの夢物語のよう。その若者やスクールに通う年増の女性のエピソードなども自然に織り込まれていて、展開を後押ししている。

 後半の展開も上手い。大会前日のエピソード、大会での失敗、妻との仲直り。ラスト、スクールの皆のその後のエピソードを簡潔にまとめたシーンも良い。あの探偵さんまでがスクールに通うとは(笑

 

 でもなぁ、これ設定はきっとちょっと疲れたサラリーマンが主役ということなんだろうけど、リチャードギアじゃダメだよなぁ(笑 ラスト近く、バラ一輪を持って奥さんの職場に現れるのが、あまりに様になっていてその設定がぶっ飛んじゃってるし。プリティウーマンでギアのファンになった人へのプレゼントのような一本、かな。