アルゴ

●666 アルゴ 2012

 1979年イランで革命が起こり、パーレビ前国王はアメリカに亡命する。それに怒ったイランの人々はイランにあるアメリカ大使館に押し寄せ、パーレビの引き渡しを求める。11月ついにアメリカ大使館が占拠され、職員が人質となってしまう。しかし占拠される直前に6人の職員が大使館から逃亡、カナダ大使の私邸に匿われる。

 状況が膠着する中、6人の逃亡にイラン側は気づいておらず、もし発覚すれば処刑される危機にあった。アメリカは6人を国外脱出させる手段を検討し始めるが、良いアイデアは浮かばなかった。

 CIAのメンデスが呼ばれ6人の国外脱出の担当となる。彼は6人を映画のロケハンクルーとして国外脱出させる案を思いつく。彼はイラン側に怪しまれないために、実際に映画製作に着手、ハリウッドのチェンバースに相談する。そして偽映画「アルゴ」を製作することとし、実際に脚本を作り、俳優陣たちの本読みまでし、マスコミにも映画製作を宣伝する。

 準備を整えてメンデスはイランへ飛ぶ。そしてカナダ大使の協力を得て、6人と接触。彼らに事情を説明し、偽名で脱出するための準備を始める。しかし明日に国外脱出が迫った時、アメリカ本土から連絡が入り、軍による人質奪還作戦をすることになったので、メンデスの作戦は中止、即時帰国するように命令される。

 しかしメンデスは6人をロケハンのため街中に出してしまっていることを鑑み、偽映画クルーとして国外脱出する計画を継続させる。アメリカにもそれを伝え、アメリカは一旦キャンセルした航空券などの再手配を行う。イラン側は大使館でシュレッダーにかけられた書類を復元し、6人が大使館員であったことを突き止め、空港へ向かう。メンデスと6人は登場直前に怪しまれるが、映画製作のための書類などを見せ搭乗を許可される。イラン側が空港へ追ってくる中、6人は無事に飛行機に搭乗、飛行機は離陸しイラン領空から脱することに成功する。

 計画に協力したハリウッドのチェンバースはCIAから表彰され、メンデスもCIA最高のスター勲章を受けるが、それは秘密裏にされた。しかし1997年クリントン大統領により事実が公開され、メンデスは勲章を受けることに。

 

 アメリカ大使館人質事件を取り扱ったものであるが、この事件発生当時まだ子供だったのでよく覚えてはいなかった。映画はイラン側の怒りの理由を冒頭で説明しており、勉強になった。

 ただ映画は政治的なものを取り扱ったわけではなく、6人の国外逃亡までの計画を描いたもの。アメリカ国内での映画製作の準備過程など、CIAが本気を出すとここまでやるのだと驚かされた。アメリカ側での準備の過程が丁寧に描かれる一方で、6人が映画クルーになりすます過程などがあまり描かれていなかったのが少し不満か。それでも最後の空港のシーンは迫力満点。本当に飛行機離陸までイラン側が6人を追っかけたのだろうかという疑問はあるが、映画としては最大の見せ場となっている。

 

 しかしハリウッドは事実に基づいた映画を製作するのが本当に上手い。