弁当屋さんのおもてなし 新米夫婦と羽ばたくお子様ランチ 喜多みどり

弁当屋さんのおもてなし 新米夫婦と羽ばたくお子様ランチ 喜多みどり

 札幌の弁当屋「くま弁」。従業員ユウと常連客千春が結婚をすることに。結婚に向けて準備をする二人にまたまた様々な事件が起こる。「弁当屋さんのおもてなし」シリーズ番外編。

 

両家顔合わせTERIYAKI弁当

 ユウと千春はお互いの両親を札幌に呼び顔合わせをすることに。しかしユウの母、明がアメリカでの飛行機の遅延で到着が遅れてしまう。千春の両親、晴信と亜紀子は気にしなかったが、ユウは母親のわがままを許せないでいた。千春の両親に誘われ明は札幌での観光をすることに。翌日帰国する明にユウは弁当を作る。


二匹と二人の猫まんま弁当

 くま弁にノラ猫が来るようになり困った千春は家で飼うことに。動物病院に連れて行くと医師が本当の飼い主、保志みのると波子夫妻を知っていた。しかし夫妻は別居中で猫の親猫も含め、どちらが面倒を見るかで揉めていた。ユウはみのるに依頼されて二人のための弁当を作ることに。


新婚旅行のまかない弁当

 ユウと千春は10月に婚姻届を出すことに。その日は記念日だからとユウに言われた千春だったが、何があった日か覚えていなかった。店に遊沢という客がやって来る。彼は20年前の常連だった。遊沢が黒川とともに観楓会の幹事をすることになり店に弁当の発注をする。婚姻届を出した当日、ユウと千春が弁当を届けに行くと二人のためのサプライズパーティが待っていた。


夫婦喧嘩と北海道コロッケ

 くま弁が札幌のデパートで開かれる「北海道の味覚展」に出店することに。ユウはいつものメニューとは異なる豪華な弁当を出そうとメニューを考えていたが、千春は何か違うと感じていた。千春はユウの知り合い将平に連絡、将平から二人は夫婦喧嘩はしたことあるのかと聞かれてしまう。千春はメニューを考えていたユウにおにぎりを作り、食べてホッとするものがくま弁らしいと話す。ユウも考えを改め、コロッケの実演販売をすることに。

 

 ドラマ化もされた「弁当屋さんのおもてなし」シリーズの最新作。ただし話の内容は、「千春編」6作とその後の「雪緒編」4作の間に当たる時期のもので、ユウと千春の結婚に関するドタバタ?を描いたものになっている。

 

 お互いの両親の顔合わせを描いた「両家顔合わせTERIYAKI弁当」、ノラ猫をきっかけに新婚でありながらお互いの思いをうまく伝えられず別居中の夫婦を描いた「二匹と二人の猫まんま弁当」、二人の婚姻届提出の日を描く「新婚旅行のまかない弁当」、初めてくま弁が味覚展に出店するドタバタを描いた「夫婦喧嘩と北海道コロッケ」。

 

 どの話も相変わらずの千春とユウで安心したが、その一方で一連のシリーズを読んだのが1年以上前であり、千春とユウが主役だった「千春編」の後に「雪緒編」も読んでいるので、二人の世界は懐かしい、という感じになってしまった。

 

 著者がこのタイミングで、シリーズで描いてこなかった二人の結婚について1冊にまとめたのはどうして何だろう?「雪緒編」も完結し、そのラストでは数年後のくま弁の姿を描いていたのだから、このシリーズは完全に完結したはずなのに。ドラマ化が好評で続編も決まったらしいから、著者から読者へのご褒美なのかなぁ(笑 でも二人の結婚についての話を飛ばして「雪緒編」に移行した理由はよく分からない。

 本作はもし「千春編」6作の後に本作が発刊されていても何も違和感がないぐらいの完成度だったし、むしろその方が「雪緒編」にもスムーズに移行できたと思うけど。うーん、ちょっとした謎だなぁ。