探偵はバーにいる 東直己

●探偵はバーにいる 東直己

 ススキノで探偵をしている俺は、北大の後輩原田誠から、いなくなってしまった恋人諏訪麗子の行方を調べて欲しいと依頼される。調査を始めた俺は麗子がラブホテルで起きた殺人事件に関心を持っていたことを知り、その事件の調査を始める。そして被害者工藤が素人ながらデートクラブを営業していたことを知る。さらに調査先で有名なデートクラブ嬢のモンローと出くわし、その彼氏であるハルに襲われることに。

 桐原組のアイダや新聞記者の松尾、おやじさんと慕う佐々木などから情報を得た俺はハルと対面し、殺人事件の真相を知ることになる。そしてモンローにそれを告げつつ、モンローのハルに対する想いを知る。全てが解決し麗子を原田のもとに返した俺だったが、最後に引っかかっていた部分を麗子に問いただす。

 

 

 映画「探偵はBarにいる3」の原作として一部を使用されており、また東直己によるススキノ探偵シリーズの第1作ということで読んでみた。

 原作と映画が同じなのは、探偵である俺が原田から麗子の行方を調べて欲しいと依頼されること、その麗子が風俗嬢として働いていたこと、の2点。もちろん俺に関わる桐原組、大学院生高田、新聞記者松尾、ケラーオオハタ、などは映画と同じ設定のようだ。

 大きく異なるのは、麗子が失踪した理由。風俗嬢として出向いたラブホテルで殺人が起こり、その場に居合わせた麗子が身を隠すというのが、本作での麗子失踪の理由。ここにモンローの彼氏であるハルが関わり、そのためモンローも関係してくるのだが、映画のハルやモンローとは人物設定が大きく異なっている。

 

 映画3本を見て、純粋なハードボイルドではなく、コミカルハードボイルドな点が少し不満だったが、それは原作がそうであるためなのがよくわかった。それでも、チャンドラーのハードボイルドが100%だとしたら、映画は60%、原作である本作は80%程度と言ったところか。

 

 原作が面白かったら、シリーズを続けて読もうと思ったが、最近軽いミステリの短編集しか読んでいない自分にとっては、ちょっとハードルが高かったように思うので、続編を読むのは少しさきにのばしたほうが良さそうだ。