博士の異常な愛情 1964

●717 博士の異常な愛情

 西側諸国高官の間で1年前からソ連で最終兵器絶滅装置が作られているとの噂があった。

 アメリカ空軍基地のマンドレイク大佐は上官であるリッパー将軍からR作戦実施を命じられる。その作戦は滞空警戒中のB52部隊によるソ連への核兵器攻撃だった。作戦と同時にマクドレイクは私物のラジオを回収、基地の封鎖も命じられる。

 命令を受けたB52のコング少佐は命令を信じられず基地へ確認を取るがやはり命令は間違っていなかった。そのため妨害を受けないように作戦通り通信を切断する。その頃ダージドソン将軍はR作戦命令が出たことを知らされペンタゴンへ急行する。

 マンドレイクは基地内で偶然ラジオを聞き、国内に危機が迫っていないことを確認。それをリッパーに伝え命令の中止を訴えるが、リッパーは命令は自分の考えで出したことを伝える。

 ペンタゴンではダージドソンが大統領に事情を説明、命令解除のための暗号も不明だと伝える。大統領は駐米ソ連大使をペンタゴンに呼び、ソ連首相に電話をし事情を説明、B52を追撃するように依頼する。しかし大使は攻撃された場合、絶滅装置が発動すると話す。

 その頃軍の指示で基地は攻撃されるが、封鎖状態にあった基地側の兵士も応戦していた。マンドレイクはリッパーから話を聞き、軍への反撃に加担することに。

 ペンタゴンでは大統領がストレンジラブ博士に絶滅装置について話を聞いていた。

 基地では攻撃が激しくなり、兵士たちが投降、それを見たリッパーは絶望し自殺してしまう。

 その頃コング少佐のB52はソ連軍の攻撃を受け、通信機器が故障、燃料タンクからも燃料漏れが発生する事態に陥っていた。

 軍の兵士たちが基地内へ入ってきてマンドレイクを発見、連行しようとするが、話を聞いたマンドレイクは大統領に事情を説明するため電話をしようとする。マンドレイクはリッパーだけが知る攻撃命令解除の暗号を突き止めていたのだった。

  マンドレイクの電話で、攻撃命令が解除される。安心したペンタゴンソ連へ連絡。全34機のB52中、30機が帰還、4機が撃墜されたと考えていたが、撃墜されたのは3機だけだった。コング少佐のB52だけが通信を受けることができず、攻撃を続行していた。大統領はソ連首相にB52の攻撃目標を伝え、撃墜を依頼する。しかしコング少佐のB52は燃料不足から攻撃目標を近場の基地へ変更していた。

 コング少佐のB52攻撃目標に到達するが、爆弾投下のためのハッチが故障で開かなかった。少佐は手動でハッチを開くが、爆弾とともに投下され、爆弾が炸裂する。

 ペンタゴンでは絶滅装置が作動したことを受け、ストレンジラブ博士が人類が生き延びるための手段を説明していた。それに対しダージドソンも熱弁をふるい始める。

 核爆発の映像とともにWe'll meet againが流れ映画は終わる。

 

  これも子供の頃からタイトルだけは知っていたが初見。

 核抑止力の元の冷戦状態の米ソを描いた作品だが、コメディとして描かれている。登場する政治家や軍のトップは皆どこかおかしい。事件の引き金を引く将軍は、今で言う陰謀論者だし、一見真面目そうな大統領はソ連首相を子供のような言い合いをするし、軍のトップの将軍は女好きの激情型だし。

 トップ下の人間がまともなのもある意味皮肉なのだろう。マンドレイクはいち早くリッパーの異常さに気づき攻撃命令を止めようとするし、B52パオロットの少佐も命令が間違いではないかと基地に確認を取ろうとするし。ただこの少佐、最後は爆弾にまたがって西部劇のカウボーイみたいになってしまっていたが(笑 ラストのペンタゴンでの言い合いも全く現状を理解していないトップらしさが出ていてブラックコメディのラストにふさわしい。

 

 アメリカ映画のスゴさはこのような作品を冷戦時代にコメディとして作ることができることだと思う。それともキューブリックがスゴイのか。彼の監督作品を観たいなぁ。