氷菓 米澤穂信

氷菓 米澤穂信

 

 神山高校1年生の折木奉太郎は、姉の勧めもあり、同級生である千反田える福部里志伊原摩耶花たちとともに古典部に入部する。奉太郎は自身の身の回りで起こる不思議な事柄の謎を解いていくが、そんな奉太郎を見たえるが彼にある謎を解いてほしいと頼んでくる。それは古典部にも関わる話であり、文集を作る題材にもなるため、奉太郎は皆とともにその謎解きに挑むことに。

 

 9章からなる連作短編集。

 あらすじはwikiに詳しいため割愛。謎の部分だけを簡単に紹介。

 

2章 部室が一時的に密室となった謎

3章 同じ本を毎週金曜日に借りていく複数の女生徒の謎

4章 えるが昔伯父と会話した内容、その時えるが泣いた理由

5章 壁新聞部遠垣内がその部室である生物講義室を探されるのを拒む理由

6章 32年前の文集に記載された、33年前にえるの伯父関谷に起きた事柄の謎

7章 姉からの手紙で知らされた33年前の真相と奉太郎の推理の食い違い

8章 弓道場で発生した新たな謎 内容は明かされない

 

 

 Amazonのオススメにあった一冊。日常の謎系ということで読むことに。

 高校が舞台であり、入学したばかりの高校生奉太郎が主人公。省エネで動こうとする彼の周りで起きるちょっと不思議な事件。好奇心旺盛なえるがその謎を解いてほしいと奉太郎に頼み、彼は仕方なくその力を発揮するというパターン。

 

 謎がいかにも高校生らしい、本当にちょっとした謎なのがよかった。ただ2章の部室密室の謎はあまりに無理筋だと思い、その先を読むのに躊躇したが、これ以降の謎はなかなか面白かった。後半、謎はえるの伯父に33年前に起きたことに集中していき、それを過去の文集などを手掛かりに推理していく様は高校が舞台であることをうまく生かした設定だと思う。一番の謎に思われたこの謎を奉太郎が解いた後に、ちょっとしたどんでん返しがあるのも上手く、文集のタイトルの意味や文化祭の別の呼び名などが用意されていたのも見事だった。

 

 気軽に読み始めた小説だったが、なかなか凝った仕上がりで驚いたが、アニメ化や映画化もされているようでさもありなん、といったところか。

 本作はシリーズ化されているようで、続編もちょっと読んでみようと思う。