誇り高き男

●720 誇り高き男 1956

 西武のとある町。牛追いたちが多くの牛追い、売買しにやってくる。保安官のキャスは牛追いたちに町で騒ぎを起こすなと忠告する。そんな牛追いの中にキャスを見つめる一人の男がいた。

 町は金を持った牛追いたちを歓迎する。キャスの恋人でレストランを経営するサリーも大忙しだったが、キャスはそんな彼女に指輪を送りプロポーズをする。そこへ保安官助手のジムがやってきて、パレスが新たにオープンしカジノの道具などを運び込んでいる、オーナーはバレットだと告げる。キャスは店へ。

 店の外でキャスは牛飼いたちを見かける。その中にはキャスを見つめていた男がいた。彼はサッドと名乗り、キーストーンの町で丸腰だった父親がキャスに射殺されたと話す。キャスは反論するがサッドは聞く耳を持たなかった。

 店に入ったキャスはカードのディーラーが指輪を使ったイカサマをしているのを見抜く。キャスは支配人のディロンにオーナーに言ってディーラーを首にしろと話すが、ディロンは反論、ボスであるバレットと因縁があると聞いているぞとキャスをバカにする。キャスがディロンを殴るとカウンターにいた男がキャスを撃つ。その男をサッドが撃つがサッドも撃たれ負傷する。バレットが出てきてキャスの言う事を聞きディーラーをクビにする。

 事務所に戻ったキャスは酔っ払って牢屋に入れられていたビリーを釈放する。助手のジェイクはケガをしているキャスを心配し治療する。負傷したサッドはキャスの計らいでサリーのレストランで医者の治療を受けていた。そこへキャスがやってきて、牛追いの仲間はテキサスに帰って行ったと話し預かっていた給料を渡す。サッドはこの街に残ると話し、キャスは看守の仕事ならあると話すがサッドは断る。事務所に戻ったキャスは、落としたバッジを拾おうとした時に視界がぼやけるのを感じる。撃たれた後遺症だと思われたが、キャスは誰にもそれを告げなかった。

 サリーはバレットのもとを訪れ、キャスを挑発しないように忠告する。バレットは前の町からキャスが逃げたのは自分を恐れているからだと話すが、サリーはキャスを連れ出したのは自分で、キャスはバレットを恐れていない、だから挑発するなと話す。

 サッドは怪我が治る。キャスは事務所にサッドを連れてきて父親がバレットに雇われた殺し屋だった事を告げる。それを聞いたサッドはバレットに話を聞きに行く。その頃バレットは殺し屋であるパイクとチコを呼び寄せていた。二人と入れ替わりにサッドはバレットと会い父親のことを尋ねるが、追い返されてしまう。サッドはキャスに会いに行き、看守として雇ってもらうことに。

 街では牛追いのため景気が良くなり物の値段が上がる。

 バレットの店で賭博に勝った客が店の人間2人に襲われそうになる。それをキャスが助け、2人を牢に入れる。翌日、バレットの店でイカサマをされたと怒った客が撃ち殺される事件が起きる。キャスはディロンを捕まえ牢に入れる。バレットに雇われたパイクとチコが夜、巡回をするキャスを狙う。酔っ払いのビリーはそれを見ていて、酔ったフリをしてキャスに忠告する。キャスは二人と撃ち合いになるが、途中視界がぼやけてしまったため人家に逃げ込む。銃声を聞いた住民が騒ぎ出し、殺し屋二人は逃げて行く。

 キャスは医者に症状を訴え診てもらい、仕事を辞めカンザスシティで治療を受けるように言われる。しかしキャスはこの事を黙っているように医者にお願いする。

 事務所にジムがやってきて、子供が生まれるので妻に危ない仕事をやめるように言われたので、助手を辞めると話す。キャスは受け入れ、サッドに助手になるように命じる。そして夜、一緒に巡回に出る。酔ったチコと会うが、キャスはそれが演技だと見抜きチコを射殺する。チコが丸腰に見えたサッドはキャスを非難するが、キャスはチコが銃を構えていた事を告げる。翌日、真実気づいたチコはキャスに謝罪する。キャスはサッドを射撃訓練に連れて行く。その場でまだキャスのことを信じられないサッドだったが、彼に背中を見せるキャスを信じ始めていた。

 キャスが邪魔になってきたバレットは町議会のメンバーに働きかけ、キャスがチコを撃ったことを咎め保安官をやめさせようとする。議会のメンバーに辞任を迫られたキャスは明日牢にいる3人の裁判が行われれば辞めると答える。

 その夜、サリーは医者からキャスの症状の話を聞き、すぐにカンザスシティへ旅立とうとする。しかしキャスは明日まで待つように言う。その時街で騒ぎが起こる。パイクが牢にいた3人を脱獄させたのだった。事務所に駆けつけたキャスはジェイクが射殺されているのを発見。キャスはショットガンを取り出し、サッドとともに一味が隠れた納屋へ向かう。

 パイクを入れた4人を相手に二人は銃撃戦を行う。途中キャスは視界がぼやける状態になってしまうが、サッドの助けもあり、4人を射殺する。そこへサリーが馬車に乗ってやってくる。サッドはキャスを見送りつつ、まだ残された仕事があると言い、バレットの店へ。キャスはサリーにあとを追うように指示する。ジムもサッドに加勢する。バレットを逮捕しようとするサッド、バレットは隙を見て銃を抜くがサッドは彼を射殺する。それを見届けたキャスはサリーとともに馬車に乗って去って行く。サッドはそれを見送り、ビリーに50セントを与えるのだった。

 

 タイトルはよくあるフレーズのため、なんとなく知っているような知らないような映画だったが、初見。しかしこれがなかなか面白かった。

 ストーリーは町の保安官が因縁のある相手と対決する、というある意味定番のものだが、細かいものを含めてサブエピソードが良い味を出している。

 

 序盤で保安官を意味ありげに見つめる男は丸腰の父親を保安官に殺されたと思っているが、保安官の言葉やその後の態度で彼を信用するようになる。この一番のサブエピソードがちょっと弱い気もするが〜サッドが比較的あっさりとキャスを信用してしまう〜射撃訓練の場で何度もキャスを撃とうとする態度を見せるので良しとしよう(笑

 

 その他では、保安官が恋人サリーと結婚をしようとしている場面を冒頭で見せたこと。これが最後に効いてくる。

 保安官助手のジムが妻の初産を迎えて仕事を辞めてしまうのも良いエピソード。辞めるのが良いわけではなく、ラスト一人でバレットの元へ向かうサッドを「加勢する」と言いながら着いて行くのがちょっと痺れた。正義のための仕事を続けたいと思っていたが、妻の言葉でやめざるを得なくなった、というジムの心情をここで表している。

 一番気に入ったのは、酔っ払いビリー。序盤で牢に入れられていたが、キャスにあっさりと釈放してもらう。おそらく酔っ払って迷惑をかけただけなのだろうが、その際外へ出て行くビリーがキャスに50セントをねだるシーンがラストの伏線となっている。キャスが保安官を辞め後任となったサッドがラストシーンでキャスを見送りつつ、ビリーに渡す50セントにはそんな意味があったのだろう。

 

 1956年製作ということでまだまだ西部劇の黄金期の作品だと思う。ストーリーも含め若干作りが荒いと思うところがないわけではないが、90分強という尺を考えても、エピソード含めよく作られた一本だった。