2019年 本

 

オペラ座の美女 鯨統一郎

 鯨統一郎の桜川東子シリーズ。今回はオペラがテーマ。オペラは全くの門外漢だが、心配は必要なし。いつも通りちゃんとあらすじを説明してくれる。話の構造はシリーズと全く同じ。さすがにヤクドシトリオの会話が鼻につくようになって来たが、とびきりの一発が。

 秀吉が話題になった時に「どっちの秀吉?」と聞くマスターに「豊臣秀吉に決まってるでしょ〜」と答えると、「あちきはまた都知事選にも出たことがある秀吉かと思った」の返しは腹を抱えて笑った。ってまぁどうでも良い話か。

 

●密室の鍵貸します 東川篤哉

 謎解きはディナーのあとで東川篤哉のデビュー作ということで読んだ。長編だがさらっと読めるのは作者のスタイルだと思う。トリックは大小含めこれまであったものを組み合わせたものだが、ちょっとした細かいことから真実がわかるというのは、まさに謎解きは〜の片鱗を示している。ピスタチオの殻の話がまさにそう。

 主人公の元カノが殺され、頼りにしている先輩も殺されてしまう、しかも密室それも自分がその室内にいる状態で、というスゴい冒頭から始まる。もちろん釘付けにされるが、最初にも書いたように、雰囲気が軽いのでサクサク読めてしまう。

 巻末にデビュー作について自分で語っている文章があり、ちょっと興味深かった。

 

謎解きはディナーのあとで3 東川篤哉 

 シリーズ3作品目。さすがにマンネリ化がひどいが、黒後家蜘蛛の会と同様、このシリーズはトリックなどを楽しむよりも、影山・麗子・風祭の3人の会話を楽しむのがメインということだろう。

 怪盗が出て来たり、とうとう風祭警部が転勤となったりするが、相変わらず言葉の使い方がうまい。「成れの果てと書いて、成果と読むのです」はやっぱりシビれた(笑

 

謎解きはディナーのあとで2 東川篤哉 

 シリーズの2作品目。相変わらずの設定でありながら、状況は色々と工夫がされている。影山が現場に行ったり、麗子がいきなり現場に遭遇したり。

 小説としては、こちらも相変わらず言葉の使い方がうまいし、それが事件を解く鍵になっていたりする。特に「詳しく説明していたら、日が暮れてしまいます」にはシビれた。

 

●幕末時そば伝 鯨統一郎

 鯨統一郎の新たな作品。有名な落語のネタを結びつけ、一つの長編としているとともに、時の政治にご存知落語の登場人物たちが関係していた、という話。

 落語がわからないとなんのこっちゃ、と思うかもしれないが、落語好きにはたまらない話だと思う。落語のいろんなネタをからみ合わせる技は、映画でも使われているが、やはり面白い。

 落語のネタはそのまま完結している。できればネタそのものの後日談なりの組み合わせも読んでみたい。

 

 

笑う娘道成寺 鯨統一郎

 鯨統一郎の桜川東子シリーズ。童話、昔話、神話ときて、今回は歌舞伎のネタ。もともとある話に現実の事件を合わせて行き、事件の謎を解くワンパターンだが、もはや事件そのものなどどうでも良いレベル。おっさん3人の昔話が懐かしい。「歴史はバーで作られる」に比べると、廻し役のセリフや独り言にあまり嫌な感じがないところが大きな違いか。驚くような謎解きはないが、気安く読める作品。

 

謎解きはディナーのあとで 東川篤哉

 ドラマは見ていたが原作は初めて読んだ。まさに安楽椅子探偵の王道。各話のページ数も非常に少なく、その分推理の条件がしっかりと明示されている。もちろん短い中での話なので、探偵の推理だけではない可能性もあるが、そこは安楽椅子探偵ものの常。まさに先に書いた黒後家蜘蛛の会のヘンリーと同じ。

 これも書いたが、黒後家蜘蛛の解説を東川氏がしているのもまさにぴったり。これはもう続編を早く読まないと。 

 

●拝啓 名探偵殿 藤原宰太郎

 懐かしいの一言。子供の頃に読んだことを覚えている。

 これでいわゆる世界の推理小説の名作のネタバラシをほとんど読んじゃったんだよな。この時代だから許されたんだろうけど。

 

●三博四食五眠 阿佐田哲也

 これも阿佐田哲也のエッセイ集。特に食に関するものに特化している。先の本でも書いたが、やはり何に対しても見る目が鋭く独自の視点を持っているのがよくわかる。

 初めて読むものが多く、特に晩年の自分の病状を記したものを読むのはちょっと心が痛い。彼の死後のグルメブームについて阿佐田哲也なら何を語ったのだろう。

 

色川武大阿佐田哲也ベスト・エッセイ

 二つの名前で書かれた中から、時代・博打・文学・芸能・ジャズ映画・交友・食の7章でまとめられたエッセイ集。阿佐田哲也の小説はほぼ全部読んでいるが、色川武大名義のものは初めて読んだ。あまりにレベルが高い。人を見る目が深い。

 こんな人だから、阿佐田哲也の小説は私なんかにも読みやすく、共感しやすい文章だったのだと改めて思う。また麻雀小説が読みたくなってきた。

 

●歴史はバーで作られる 鯨統一郎

 鯨統一郎、歴史、バーとくれば、当然デビュー作「邪馬台国はどこですか」を期待する。しかも新シリーズっぽいので、超期待して読んだが全くの空振り。

 一つ一つの謎解きがそれほどでもないこと、大学教授の生徒である学生安田の語りが共感できないこと、バーテンダーが魅力的でないこと、など「邪馬台国〜」の超劣化バージョンとしか思えない。どうしちゃったんだろう?

 

黒後家蜘蛛の会4 アイザック・アシモフ

 同作品4作目。ネタがよりマニアックになって来た。それでも初見(20,30年前?)の時から記憶に残る「帰ってみれば」は名作だと思う。また女性のゲストだったり(「よきサマリア人」)、乱入者の話を聞いたり(「飛入り」)、シチュエーションがバラエティに飛んでいるのも見逃せない。

 

黒後家蜘蛛の会3  アイザック・アシモフ

 同作品3作目。ネタはそろそろマンネリになって来るが仕方ない。それより何より今回の新版での目玉は解説。東川篤哉による謎解きはディナーのあとででの解説。あの二人がそのまま黒後家蜘蛛を解説?している。これは最高。

 

淀川長治映画ベスト1000 決定版 淀川長治

 これはスゴい資料。1000作品に対する淀川さんのコメントが読める。有名な作品は当然掲載されているが、レベル中程度のものでも掲載されていないものもある。どういう基準で選ばれたのかが気になるが… それでもどの作品に対しても淀川さんの口調が蘇ったようでとても懐かしい。

 

黒後家蜘蛛の会1 アイザック・アシモフ

 順番が逆だが2に続き1を読む。1だけに色々なパターンを読むことができる。ヘンリーが一人だけに謎解きをしたり、会がいつものレストランではなかったり。それでも何と言っても、記念すべき第1作のラストがベスト。これを思いついたら書かずにはいられなかっただろうなという作品。 

 

山田洋次を観る 吉村英夫

 作者は大学教授であり、大学の講義で山田監督の映画を鑑賞させる。その講義と学生たちの感想をまとめたもの。男はつらいよはもちろん藤沢周平3部作も取り扱っている。また実際に山田監督が来校しての講義もある。

 山田監督と学生たちとのやりとりも面白いが、白眉なのは学生たちの感想。男はつらいよを見たことのない若者がどのような感想を持つのか、何作か見ていくうちにどのように感想が変わっていくのか、が大変面白かった。 

 

●ひとり家飲み通い呑み 久住昌之

 孤独のグルメの原作者としておなじみの久住昌之のエッセイ。一つのお酒と一つのつまみにこだわったお話。一話数ページで気楽に読める。酒とつまみの組み合わせの妙もさることながら、どの話でも脱線して行くさまがおかしい。

 

黒後家蜘蛛の会2 アイザック・アシモフ

 5は所有しているので何度も読み直しているが、それ以外を読んだのは30年ぶりぐらいか。やはり面白いし、そんな昔の作品とは思えない。

 最後のシャーロッキアンの話がアシモフの真骨頂か。ヘンリーの長セリフも珍しいが大いなる見せ場となっている。他の作品も読み直したくなってきた。

 

●新竜の柩(上下) 高橋克彦

 前作の続き。竜に乗った主人公たちがたどり着いたのがどこか。前半に明かされるが、後半さらに…となる。前半で言葉が通じない場面や後半部分など、ちょっと強引さも感じるが、前作の登場人物たちがそのまま活躍する姿は読んでいて心地よい。

 前作の因縁をどう決着つけるかが焦点だと思っていたが、まぁ仕方なしの結末か。さらなる続編もある模様。さぁどうするかな。

 

●落語名作200席上 京須偕充

 下巻に続いて読了。合わせて200話。「落語を読む」と落語を聴きたくなる。これはお薦め。

 

●幽霊塔 江戸川乱歩

  宮崎駿カリオストロの元ネタだとした本。初めて読んだが、久しぶりに長編を1日で読み切った。ストーリーとしてもとても面白かった。事件もさることながら、主人公の心理の揺れの描き方が古いが興味深かった。

 

柳家小三治の落語1 柳家小三治

 落語研究会の書き起こし。1983年から99年までのもの。京須さんの解説付き。名作200選を読んだ後なので、噺が個人によりどういじられているかがよくわかる。

 

●落語名作200席下 京須偕充 

 落語をエピソードごとに短くまとめたもの。短いが各話のポイントはしっかりと押さえてありサゲもわかる。これはためになった。上巻も是非読みたい。

 

●竜の柩(上下) 高橋克彦

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 30年ぶりに読んだ。やっぱりワクワクする。自分が古事記に引かれたのはこの本を読んだからだと気づいた。なるほど。3日ほどかかったが仕方なし。

 この歳になって読むとアラが見えるがそれでもここまで調べているのはすごいの一言。でもラストが?記憶にあるのは同筆者の別作品か?

 

新作落語傑作読本(3) 落語ファン倶楽部編

 シリーズ3冊目。最後の川柳師匠の歌謡落語?は初めて知った。柳家喬太郎の「針医堀田と健ちゃんの石」が一番笑ったかな 

 

新作落語傑作読本(2) 落語ファン倶楽部編 

 シリーズ2冊目。感想は同じかな。最後の圓歌師匠の中沢家の人々がやはり笑える。

 

●日本史世界史並列年表 後藤寿一

 

 読む年表。しかも日本史世界史同時進行。

 やっぱり簡単に全てを理解しようとするのは無理とわかる(笑

 

●落語百選 夏 麻生芳仲

 25話分。枕に使われるような短いネタも多く勉強になった。

 

●銀座噺志らく百点 立川志らく

 

 雑誌銀座百点のコラム。もともと談志がやる予定を志らくが替わったらしい。本当は銀座の話のはずが、ほぼ交友録のようになっている。文章が短く読みやすい。文中にも出て来るが阿佐田哲也の交友録のようになっていて面白い。 

 

●「寅さん」こと渥美清の死生観 寺沢秀明

聖教新聞記者による渥美さんとの思い出。不思議な巡り合わせで知り合った二人の渥美さん晩年の何年かを綴っている。まだ元気な頃と最期が近づいた頃の渥美さんの話の差が大きく、また最後に宗教的な話にまでなっていくのは興味深い。

 

新作落語傑作読本(1) 落語ファン倶楽部編

 何名かの落語家による新作落語。どれもある程度オチが読める中、米朝師匠の一文笛の後半の展開とオチは凄かった。

 

●誰も書けなかった笑芸論 高田文夫

 

 高田氏による「自分の思い出」でのお笑い論、というか芸人評価とたけしとの思い出など。たけしのオールナイトニッポンが始まった経緯は初めて知った。芸人評価も全て個人的な思い出で興味深い。