●夜の蝉 北村薫
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私シリーズ第2作。もう言うことはない。傑作で間違いない。
20年ほど前に読んだと思うが、この歳になって、改めて感じるところのある話もあった。例によってこの本の凄さは、解説吉田利子さんが全て書いてくれている。
「朧夜の底」本屋でのイタズラ、「六月の花嫁」消えたクイーン、「夜の蝉」封書で送ったチケット。忘れないようにメモしておこう。推理小説でありながら、女子大生である私の小説にもなっている。第3作も手に入れた。年末にゆっくりと読もう。
●飲めば都 北村薫
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北村薫が酒飲みを主人公に書いた話。偶然手にしたが、これは面白かった。文章、表現の天才北村さんが如何に酒飲みの話を書くかと思って読んだが、もう笑わずにはいられない。就寝前に1話だけ読もうと思って読み始めたが、すっと4話ほど読んでしまい、もったいないと一日4話と決めて読んだが、あっという間の3日間だった。
初めの方は酒飲みの痛快話が続くが、そのうち男と女の話が出てくる。1話ごとに時系列が進み、登場人物たちがしっかりと?成長して行くのも楽しい。
おなじみのミステリーはほぼ出てこないが、そんな中でも主人公が酔った次の日に「あるもの」が見つからず慌てふためき、その「もの」を見つけるシーンは見事な?紛失物ミステリーになっている。
思いもかけず良作にまた出会えた。
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先日、八千草薫さんが亡くなり、追悼ということでこの作品原作のドラマの再放送をしていたものを見て、どうしても原作が読みたくなり読んだ。再放送が第1シリーズだけだったが、シナリオ形式だったので、第2シリーズも役者さんが演技している姿が浮かんできた。
しかし四姉妹のそれぞれの立場がリアルに描かれていて怖すぎる。「勝ち目はないよ、男は」という緒形拳のセリフが身にしみる。
●空飛ぶ馬 北村薫
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ということで北村さんのデビュー作短編集。噺家春桜亭円紫と私が主人公の平凡な生活の中で起きる不思議な事件?を題材にした作品。これがデビュー作、ということにも驚かされるし、女子大生である私からの視点で書かれたみずみずしい文章を男性が書いていることにも驚かされる。
何十年ぶりかに読んだが、どの作品も面白かった。「織部の霊」の夢で見た男の顔、「砂糖合戦」の砂糖、「胡桃の中の鳥」の車の座席カバー、「赤頭巾」の夜の公園に立つ少女、「空飛ぶ馬」の木馬。この本の良さは、文庫本解説の安藤昌彦さんが全て書かれている。しかしこんな素晴らしい解説を書いた安藤さんは誰?
●遠い唇 北村薫
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もう連打で北村さん作品。
短編集なんだけど、なんだか懐かしく読める表題作から、カミさんのことを考えてしまう「しりとり」、ちょっと笑える「パトラッシュ」、星新一?って「解釈」、先に読んだニッポン〜を思わせる「続・二銭銅貨」。後の2作品は他の北村作品を読んでいればもっと感じ方が違ったであろうもの。
全て味付けの違う料理を食べているみたいな短編集。最後にある付記によれば、NHKの探偵Xからの挑戦状の一作まである。文中にあった、(週休2日になる前の)日曜を明日に控えた土曜午後のような気持ち、で一作一作楽しませてもらいました。
●ニッポン硬貨の謎 北村薫
先の覆面シリーズの解説?に載っていた一冊。
子供の頃世界の推理小説シリーズみたいなヤツでエラリークイーンも読んだことあるけど、ここまで掘り下げてなんて当然読んでないし。
というか、例の「五十円玉20枚の謎」と「エラリークイーンのパスティーシュ」と「翻訳物のパロディ」と「エラリーの代表作の深い謎解き」を見事に複合させ成立させている傑作。どれか一つだけ取り上げても十分作品になるのに、それを合わせ技でくるなんて、なんて贅沢な…。北村薫さんにハズレはない。断言できる。
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覆面作家シリーズ第3作にして完結編。
これで終わりなのが悲しい。しかし前作「愛の歌」の3つ目の短編もそうだったが、今回の3つ目の作品も非常に手が込んでいる。日本語を大切にしている北村さんならではの作品。この作品の謎解きには、知識も必要だし、それを結びつける発想も必要だし、洒落たオチもあるし。謎解きの直後には、シリーズを完結させるための大団円も待っているし。それが読んでいて優しい気持ちにさせてくれるし。
シリーズ最後を締めるのにふさわしい1冊でした。
●シャーロック・ホームズ最後の挨拶 コナン・ドイル
ホームズも連続して読む。発表通りの順番通りではないが。
ラストが最後の挨拶の本となる。子供の頃初めて読んだ時にこれが最後の事件だと思っていて、ずっとそうだと思っていたが、実はこの後に事件簿が発表されているのね、知らなかった。ホームズファンなのに恥ずかしい。
こちらも長いことをかけて1作の短編集になったらしいが、各作品のできは悪くない。ホームズが静養に出かけていたり、マイクロフトが政府の仕事をやっていたり(BBCのシャーロックの元ネタ)、パターンも色々とあり面白い。そりゃホームズ物をずっと書き続けることになるよなぁ、ドイルさん。
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あまりに面白かったので、一気に2冊読破。
謎解きは〜でも書いたが、この手の安楽椅子型は、いかに条件を少なくして手早く探偵が謎を解くか、が見所だけど、この2冊は満点。
もちろんそれだけじゃなくて、魅力的な探偵キャラだし、それを取り巻く登場人物も心憎いばかりだし。設定から自然と流れ出て来る話に思えるし(もちろんそんな設定を思いつくのがすごいのだけれど)。
そりゃ一気に2冊読むでしょ。面白いんだもん。
●シャーロック・ホームズの思い出 コナン・ドイル
引き続きホームズを読む。1日1編を読むのを楽しみに。
やはり動機に興味が出る。他国での過去の出来事が事件の鍵を握る話が多かった。そんな中、海軍条約文書事件は子供の頃に読んで鮮やかな解決に惚れ惚れしたものだが、ちゃんと犯人のヒントが隠されていることに今更のように気づき驚いた。
どの話もそれなりのバリエーションがあり楽しめたが、やはり2冊目の短編集でドイルはホームズと手を切りたかったんだなぁと最後の事件を読み思う。ワトソンの筆による文章が悲しいのが印象的。まぁ続編はすぐに読めるが。
このところ新し目の推理小説を読んでいたので、原点に帰ると言うことで久しぶりに超古典を読みたくなったので1日1編を楽しみながら読んだ。ホームズ初の短編集ということになるが、久しぶりに読んで見ると、親が子に財産を渡したくなくて、という犯罪が複数あることに驚く。時代的に普通のことだったんだろうか。あとは緋色の研究でも四つの署名でもそうだが、登場人物が過去に犯した過ちが動機となっているものも多い。子供の頃には全く気づかなかったが、それでも夢中になって読んでいたのは、やはりホームズとワトソンの会話だったり、当時のロンドンの風景が見えて来るかのような文体だったからだろうと改めて思った。
棋士でありライターだった河口氏による王座戦51局の観戦記。ここ20年ぐらいの記のため、今活躍中の若手棋士がもっと若かった頃の棋士仲間内での評判などがリアルに書かれている。今をときめく藤井七段が初段の頃の話も触れられていて興味深い。観戦記としてもすごいが、人を観る眼の凄さが本当に感じられる。
将棋や棋士に関するエッセイをまとめた本。テーマは将棋そのもの、奨励会から棋士の人生やその死を追悼したものまで幅広い。意外な有名な人も多く書いていて非常に良い文章が揃っている。傑作ぞろいだが、一番興味を惹かれたのは、坂口安吾の文章かな。将棋と全く関係ない意外な出だしで始まり、最後はしっかりとまとまっている、短編のミステリーのようなエッセイだった。
●燃える男 A.J.クィネル
映画「マイ・ボディガード」を観て原作が読みたくなり読んだ。設定等映画と異なるが、あらすじはほぼ同じのため違和感なく読めた。5分の2がボデイガードとして、5分の1が体を鍛え、5分の2が復讐劇となる。
映画ではポイントとなる部分が映像化されていたが、原作では詳細な部分もきちんと説明されていて、より引き込まれた。映画における改変については触れないが、主人公の変化が丁寧に描かれている原作の方が自分には好みかな。
しかしこれがデビュー作とは恐れ入る。
●ラブ・ケミストリー 喜多喜久
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このミス優秀賞受賞作品。大学で研究に没頭する学生の恋愛ミステリーといったところか。天才的ひらめきで研究を進められる主人公が一目惚れをしたことでその力を失うが、不思議な存在カロンにより、その恋を成就させることで力を取り戻せることを知り、奮闘する。
途中途中でカロンが何者かと会話するシーンが挟まれ、一筋縄でいかないストーリーだとわかるが、ある程度話が進むと誰と会話しているかがわかってしまうため、最後のサプライズにあまり驚きはなかった。ただ専門分野の話が多いが、素人でも読めるようになっている点は読みやすかった。
●殺人ピエロの孤島同窓会 水田美意子
このミスで特別奨励賞受賞作品。ミステリーと言えるかどうかは別にして12歳が書いたとは思えない文章となっている。大学生が主役のため、言葉や行動が幼い感じがしても不自然さはない。いきなりバタバタと人が殺されるので最初はちょっと嫌な気がしたが、読み進めればあとは一気に読ませる。孤島だけで話が進まず、事件の鍵となる場所で並行して物語が進むのも定番とはいえしっかりしている。
ただやはり犯人の動機が事件そのものに対してあれっと感じるのは仕方ないだろう。
●銀幕のメッセージ 鯨統一郎
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鯨統一郎の桜川東子シリーズ。今回は映画がテーマだが、これまでのものと違い、映画のストーリーが犯罪のストーリーにはなっていないため、映画のウンチクだけを披露される感じで、犯罪があまりピンとこない。
しかも3作の短編ものでこれまでと比べ話数も少ない上、第3作では衝撃の展開が待っている。というかこのシリーズを終わらせようとしている感じ。さすがにネタ切れかな。
●パチプロ・コード 伽古屋圭市
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このミス優秀賞受賞作品ということで読んだが、なかなか面白かった。パチンコ、パチスロはもう長いことやっていないが、裏の話はある程度理解できる。しかし実際には暗号を解く部分がメインとなっていたような。
冒頭から主人公がよくわからない状況に追い込まれグイグイ読ませる面白いパターン。この手のものはそのよくわからない状況を納得できる形でまとめるのが難しいと思うが、この小説はそこをうまく切り抜けている。
続編があるようなので、そのうち読もうと思う。
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鯨統一郎の桜川東子シリーズ。今回はオペラがテーマ。オペラは全くの門外漢だが、心配は必要なし。いつも通りちゃんとあらすじを説明してくれる。話の構造はシリーズと全く同じ。さすがにヤクドシトリオの会話が鼻につくようになって来たが、とびきりの一発が。
秀吉が話題になった時に「どっちの秀吉?」と聞くマスターに「豊臣秀吉に決まってるでしょ〜」と答えると、「あちきはまた都知事選にも出たことがある秀吉かと思った」の返しは腹を抱えて笑った。ってまぁどうでも良い話か。
●密室の鍵貸します 東川篤哉
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謎解きはディナーのあとでの東川篤哉のデビュー作ということで読んだ。長編だがさらっと読めるのは作者のスタイルだと思う。トリックは大小含めこれまであったものを組み合わせたものだが、ちょっとした細かいことから真実がわかるというのは、まさに謎解きは〜の片鱗を示している。ピスタチオの殻の話がまさにそう。
主人公の元カノが殺され、頼りにしている先輩も殺されてしまう、しかも密室それも自分がその室内にいる状態で、というスゴい冒頭から始まる。もちろん釘付けにされるが、最初にも書いたように、雰囲気が軽いのでサクサク読めてしまう。
巻末にデビュー作について自分で語っている文章があり、ちょっと興味深かった。
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シリーズ3作品目。さすがにマンネリ化がひどいが、黒後家蜘蛛の会と同様、このシリーズはトリックなどを楽しむよりも、影山・麗子・風祭の3人の会話を楽しむのがメインということだろう。
怪盗が出て来たり、とうとう風祭警部が転勤となったりするが、相変わらず言葉の使い方がうまい。「成れの果てと書いて、成果と読むのです」はやっぱりシビれた(笑
シリーズの2作品目。相変わらずの設定でありながら、状況は色々と工夫がされている。影山が現場に行ったり、麗子がいきなり現場に遭遇したり。
小説としては、こちらも相変わらず言葉の使い方がうまいし、それが事件を解く鍵になっていたりする。特に「詳しく説明していたら、日が暮れてしまいます」にはシビれた。
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鯨統一郎の新たな作品。有名な落語のネタを結びつけ、一つの長編としているとともに、時の政治にご存知落語の登場人物たちが関係していた、という話。
落語がわからないとなんのこっちゃ、と思うかもしれないが、落語好きにはたまらない話だと思う。落語のいろんなネタをからみ合わせる技は、映画でも使われているが、やはり面白い。
落語のネタはそのまま完結している。できればネタそのものの後日談なりの組み合わせも読んでみたい。
鯨統一郎の桜川東子シリーズ。童話、昔話、神話ときて、今回は歌舞伎のネタ。もともとある話に現実の事件を合わせて行き、事件の謎を解くワンパターンだが、もはや事件そのものなどどうでも良いレベル。おっさん3人の昔話が懐かしい。「歴史はバーで作られる」に比べると、廻し役のセリフや独り言にあまり嫌な感じがないところが大きな違いか。驚くような謎解きはないが、気安く読める作品。
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ドラマは見ていたが原作は初めて読んだ。まさに安楽椅子探偵の王道。各話のページ数も非常に少なく、その分推理の条件がしっかりと明示されている。もちろん短い中での話なので、探偵の推理だけではない可能性もあるが、そこは安楽椅子探偵ものの常。まさに先に書いた黒後家蜘蛛の会のヘンリーと同じ。
これも書いたが、黒後家蜘蛛の解説を東川氏がしているのもまさにぴったり。これはもう続編を早く読まないと。
●拝啓 名探偵殿 藤原宰太郎
懐かしいの一言。子供の頃に読んだことを覚えている。
これでいわゆる世界の推理小説の名作のネタバラシをほとんど読んじゃったんだよな。この時代だから許されたんだろうけど。
●三博四食五眠 阿佐田哲也
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これも阿佐田哲也のエッセイ集。特に食に関するものに特化している。先の本でも書いたが、やはり何に対しても見る目が鋭く独自の視点を持っているのがよくわかる。
初めて読むものが多く、特に晩年の自分の病状を記したものを読むのはちょっと心が痛い。彼の死後のグルメブームについて阿佐田哲也なら何を語ったのだろう。
二つの名前で書かれた中から、時代・博打・文学・芸能・ジャズ映画・交友・食の7章でまとめられたエッセイ集。阿佐田哲也の小説はほぼ全部読んでいるが、色川武大名義のものは初めて読んだ。あまりにレベルが高い。人を見る目が深い。
こんな人だから、阿佐田哲也の小説は私なんかにも読みやすく、共感しやすい文章だったのだと改めて思う。また麻雀小説が読みたくなってきた。
●歴史はバーで作られる 鯨統一郎
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鯨統一郎、歴史、バーとくれば、当然デビュー作「邪馬台国はどこですか」を期待する。しかも新シリーズっぽいので、超期待して読んだが全くの空振り。
一つ一つの謎解きがそれほどでもないこと、大学教授の生徒である学生安田の語りが共感できないこと、バーテンダーが魅力的でないこと、など「邪馬台国〜」の超劣化バージョンとしか思えない。どうしちゃったんだろう?
黒後家蜘蛛の会4 (創元推理文庫) [ アイザック・アシモフ ]
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同作品4作目。ネタがよりマニアックになって来た。それでも初見(20,30年前?)の時から記憶に残る「帰ってみれば」は名作だと思う。また女性のゲストだったり(「よきサマリア人」)、乱入者の話を聞いたり(「飛入り」)、シチュエーションがバラエティに飛んでいるのも見逃せない。
黒後家蜘蛛の会3 (創元推理文庫) [ アイザック・アシモフ ]
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同作品3作目。ネタはそろそろマンネリになって来るが仕方ない。それより何より今回の新版での目玉は解説。東川篤哉による謎解きはディナーのあとででの解説。あの二人がそのまま黒後家蜘蛛を解説?している。これは最高。
これはスゴい資料。1000作品に対する淀川さんのコメントが読める。有名な作品は当然掲載されているが、レベル中程度のものでも掲載されていないものもある。どういう基準で選ばれたのかが気になるが… それでもどの作品に対しても淀川さんの口調が蘇ったようでとても懐かしい。
順番が逆だが2に続き1を読む。1だけに色々なパターンを読むことができる。ヘンリーが一人だけに謎解きをしたり、会がいつものレストランではなかったり。それでも何と言っても、記念すべき第1作のラストがベスト。これを思いついたら書かずにはいられなかっただろうなという作品。
[rakuten:neowing-r:10816435:detail]
作者は大学教授であり、大学の講義で山田監督の映画を鑑賞させる。その講義と学生たちの感想をまとめたもの。男はつらいよはもちろん藤沢周平3部作も取り扱っている。また実際に山田監督が来校しての講義もある。
山田監督と学生たちとのやりとりも面白いが、白眉なのは学生たちの感想。男はつらいよを見たことのない若者がどのような感想を持つのか、何作か見ていくうちにどのように感想が変わっていくのか、が大変面白かった。
●ひとり家飲み通い呑み 久住昌之
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孤独のグルメの原作者としておなじみの久住昌之のエッセイ。一つのお酒と一つのつまみにこだわったお話。一話数ページで気楽に読める。酒とつまみの組み合わせの妙もさることながら、どの話でも脱線して行くさまがおかしい。
[rakuten:book:19128028:detail]
5は所有しているので何度も読み直しているが、それ以外を読んだのは30年ぶりぐらいか。やはり面白いし、そんな昔の作品とは思えない。
最後のシャーロッキアンの話がアシモフの真骨頂か。ヘンリーの長セリフも珍しいが大いなる見せ場となっている。他の作品も読み直したくなってきた。
●新竜の柩(上下) 高橋克彦
前作の続き。竜に乗った主人公たちがたどり着いたのがどこか。前半に明かされるが、後半さらに…となる。前半で言葉が通じない場面や後半部分など、ちょっと強引さも感じるが、前作の登場人物たちがそのまま活躍する姿は読んでいて心地よい。
前作の因縁をどう決着つけるかが焦点だと思っていたが、まぁ仕方なしの結末か。さらなる続編もある模様。さぁどうするかな。
●落語名作200席上 京須偕充
落語名作200席 上 角川ソフィア文庫 / 京須偕充 【文庫】
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下巻に続いて読了。合わせて200話。「落語を読む」と落語を聴きたくなる。これはお薦め。
●幽霊塔 江戸川乱歩
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宮崎駿がカリオストロの元ネタだとした本。初めて読んだが、久しぶりに長編を1日で読み切った。ストーリーとしてもとても面白かった。事件もさることながら、主人公の心理の揺れの描き方が古いが興味深かった。
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落語研究会の書き起こし。1983年から99年までのもの。京須さんの解説付き。名作200選を読んだ後なので、噺が個人によりどういじられているかがよくわかる。
●落語名作200席下 京須偕充
落語名作200席 下 (角川ソフィア文庫) [ 京須 偕充 ]
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落語をエピソードごとに短くまとめたもの。短いが各話のポイントはしっかりと押さえてありサゲもわかる。これはためになった。上巻も是非読みたい。
●竜の柩(上下) 高橋克彦
[rakuten:bookoffonline:10669339:detail]
30年ぶりに読んだ。やっぱりワクワクする。自分が古事記に引かれたのはこの本を読んだからだと気づいた。なるほど。3日ほどかかったが仕方なし。
この歳になって読むとアラが見えるがそれでもここまで調べているのはすごいの一言。でもラストが?記憶にあるのは同筆者の別作品か?
●新作落語傑作読本(3) 落語ファン倶楽部編
シリーズ3冊目。最後の川柳師匠の歌謡落語?は初めて知った。柳家喬太郎の「針医堀田と健ちゃんの石」が一番笑ったかな
●新作落語傑作読本(2) 落語ファン倶楽部編
シリーズ2冊目。感想は同じかな。最後の圓歌師匠の中沢家の人々がやはり笑える。
●日本史世界史並列年表 後藤寿一
[rakuten:bookoffonline:13380670:detail]
読む年表。しかも日本史世界史同時進行。
やっぱり簡単に全てを理解しようとするのは無理とわかる(笑
●落語百選 夏 麻生芳仲
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25話分。枕に使われるような短いネタも多く勉強になった。
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雑誌銀座百点のコラム。もともと談志がやる予定を志らくが替わったらしい。本当は銀座の話のはずが、ほぼ交友録のようになっている。文章が短く読みやすい。文中にも出て来るが阿佐田哲也の交友録のようになっていて面白い。
●「寅さん」こと渥美清の死生観 寺沢秀明
[rakuten:book:17475188:detail]
聖教新聞記者による渥美さんとの思い出。不思議な巡り合わせで知り合った二人の渥美さん晩年の何年かを綴っている。まだ元気な頃と最期が近づいた頃の渥美さんの話の差が大きく、また最後に宗教的な話にまでなっていくのは興味深い。
●新作落語傑作読本(1) 落語ファン倶楽部編
何名かの落語家による新作落語。どれもある程度オチが読める中、米朝師匠の一文笛の後半の展開とオチは凄かった。
高田氏による「自分の思い出」でのお笑い論、というか芸人評価とたけしとの思い出など。たけしのオールナイトニッポンが始まった経緯は初めて知った。芸人評価も全て個人的な思い出で興味深い。