引き裂かれたカーテン

●259 引き裂かれたカーテン 1966

 アームストロングは恋人のシャーマンと一緒に船に乗り国際部理学者会議に参加していた。二人はコペンハーゲンに着きホテルに宿泊、アームストロングの部屋で電話を取ったシャーマンは彼の代わりに電話の要件であった本屋へ本を取りに行く。

 彼女は本をアームストロングに渡すが、彼はホテルのフロントで飛行機のチケットを取っていた。彼は一人本に書かれた暗号を解読していた。そのことを彼に問い質すとアームストロングはストックホルムに行くと言い出す。アメリカで中止となった研究をするためだと彼は話し、シャーマンはそれならば一緒に行くと言うと彼はそれを断る。彼女は怒ってアメリカに帰ろうとするが、フロントで彼が東ベルリンへのチケットを取っていたことを知り、その飛行機に同乗する。

 東ベルリンに着いた彼は大歓迎を受ける。彼は亡命をしたのだった。東ドイツの保安省のゲルハルトが彼女をどうするかアームストロングに迫るが、明日結論を出すと答える。彼は記者会見で、亡命し核ミサイル防御の開発をすると宣言する。

 二人はホテルに宿泊する。翌朝アームストロングは一人で外出する。監視役のグロメクが彼を尾行する。彼は美術館に行き、グロメクを巻いてタクシーで農場へ向かう。そこにいたのは諜報部員で、アームストロングは東ベルリンにいるリント教授が見つけた数式を手に入れるためのスパイだった。彼は諜報部員と話をした後、農家に戻るがそこにグロメクが待っていた。グロメクは彼がスパイであることを見抜いており、本部へ報告しようとする。彼はグロメクを襲い、諜報部員の妻とともにグロメクを殺す。死体とグロメクが乗ってきたバイクの処分を任せ、彼はホテルに戻る。

 ホテルではシャーマンが東ドイツに残ることを決めていた。二人はライプチヒの大学に招かれる。そこでアームストロングは足を引っ掛けられ、階段から落ちて怪我をする。足を引っ掛けたのは医者のコスカで、彼女も諜報部員だった。彼女からリント教授のこと、グロメクが行方不明になっていることを聞く。

 その頃、アームストロングを農場へ運んだタクシーの運転手が、グロメクのことを新聞で知り、本部へ連絡してくる。

 アームストロングはアメリカでの知識経験について審査を受けていたが、そこへ連絡が入り、彼は農場へ行ったかどうか聞かれる。そして審査は中断される。しかしアメリカでの実験結果を知りたがったリント教授がアームストロングがダメなら、シャーマンから話を聞きたいと言いだし、彼女が呼ばれる。しかし彼女は実験結果について話すことを拒否する。

 アームストロングはシャーマンに本当のことを打ち明ける。そして彼女も協力的な態度で接することになる。二人は夕食をリント教授とともにすることに。そこへコスカがやってきて、アームストロングと話をする。彼から話を聞いたコスカは早く脱出しないと危険だと話し、明日10時に来るように言う。その後リント教授を話をしたアームストロングは明日9時半に床屋で教授と落ち合うこと約束をする。

 翌日農場でバイクなどが発見される。大学に二人を探しに警察もやって来る。アームストロングはリント教授と実験の理論について話をし、教授から計算式をなんとか聞き出し、コスカの元へ行く。3人は自転車で大学から逃げ、組織の仲間たちのところへ。そこには偽の路線バスが用意されており、それに二人は乗り込む。検問などの危機を乗り越えるが、本物の路線バスに追いつかれてしまい、二人はバスから降り逃げる。

 バスの中で聞いた郵便局を探す二人に現地の女性が声をかけて来る。彼女はアメリカに亡命したがっていて、アメリカ人の保証人を探していた。彼女に郵便局を案内してもらい、そこで旅行代理店に行くようにというメモを受け取る。

 しかし旅行代理店にはもう警察の手が廻っていた。店の前にいた二人に諜報部員が声を掛けて来る。そして二人はバレエ団の荷物に紛れて脱出することに。二人はバレエを鑑賞しに行き、幕間で荷物係に案内される手筈になっていたが、バレエダンサーが客席にいたアームストロングの顔を覚えており、密告されてしまう。警察や保安省の人間が劇場に集まってきて二人はピンチを迎えるが、アームストロングが「火事だ」と叫び、劇場は大混乱に。その騒ぎに乗じて二人はバレエ団の荷物に紛れ込む。

 バレエ団を乗せた船がスウェーデンへ到着する。荷物が降ろされるが、あのバレエダンサーが荷物に話しかける男を見て、また密告する。知らせを受けた船員が荷物を銃撃する。しかし荷物の中は服だけだった。アームストロングとシャーマンは別の荷物に入っており海に飛び込んで難を逃れていた。

 

 毎週ヒッチコックを1本観ているが、だんだんと面白くなくなっている気がする(笑

 で、ネットを見るとヒッチコックの晩年は凡庸な作品が目立つようになってきていた、と書かれていて、この1本はまさにその時期の作品らしい。

 「めまい」でも書いたが、ヒッチコック作品は映画前半がメチャクチャ面白いのに、後半突然息切れしてしまうんだよなぁ。これって話の面白いアイデアは思いついたけど…ってことなのか。この作品でも、ポール・ニューマンが謎の動きを見せて、それが亡命だってわかって、でもホントはスパイだった、しかもそれがバレて監視役を殺しちゃう、ってとこまでは面白かったんだけどなぁ。

 人殺してどうなる、と思ったら、じゃあ早く国から脱出しなくちゃ、ってそりゃそうでしょ、って感じ。相当な準備をしてきたはずなのに、わずか一日二日で脱出って、ダメスパイじゃん(笑

 ネットの評価を見ると、後半から面白くなった、という感想も多いんだけど。確かにバスのシーンやバレエ鑑賞などはハラハラドキドキだけど、自分としては、ちょっと余計なシーンがあったり、そこは突っ込まないのかよというシーンがあったりで拍子抜けしてしまった。例えば、バスの乗客の中に文句ばかり言うおばさんがいて、途中キレちゃって一人降りて行くんだけど、この人でなんかあるかと思いきや何もなしだし。バレエの「火事だ」も、大騒ぎになってそれに便乗したのは良いけど、微妙にニューマンたちが逃げるシーンが長いし、バレエ団の荷物に紛れ込むのは良いとしても、保安省の人間がいるんだから、そこは絶対調べるでしょ、と思ったら、すぐ船のシーンだし。

 バスから降りた二人が出会うポーランドの伯爵夫人のくだりもよくわからなかった。一癖ありそうな顔つきの女優さんだから何かあるかも思いきや、こちらも何もなし。しかも郵便局でアルバートを探すシーンも必要以上に繰り返しが多かったし。

 あぁなんか文句ばかりになってしまった。次は凡庸の作品の始まりとされている「マーニー」か。あぁ。