潮騒 - zanole

●260　潮騒　1975

　新治は歌島の漁師。ある日漁から帰った島で見慣れぬ若い女性を見かける。翌日の漁の際に漁仲間から、その女性が村の金持ちである宮田照吉の娘初江だと知る。

　ある日船の故障で早くに帰った新治は母親に薪を取ってくるように頼まれる。観的哨に来た新治はそこで初江と出会い話をする。二人は村の噂にならないように二人だけで会ったことは秘密にすることに。

　その夜組合の会合で新治は村の若者安夫が初江の婿になるという噂を聞き、初江の家まで様子を見に行く。初江の家での宴会に安夫が参加しているのを見て、新治は不機嫌に。翌日給料をもらいに組合に行った新治は帰りに女たちだけで船を陸揚げしているところを見かける。その中に初江がいたため、新治は手伝うことに。しかし作業が終わった後、新治は初江に声もかけずに帰ってしまう。

　家に帰った新治は給料袋がないことに気づき、海岸に探しに行く。入れ替わりに新治の家に初江が給料袋を届けに来る。そして初江は海岸に行き、新治に声をかける。新治は安夫が婿入りする噂が本当なのかどうか初江に聞くが、それを聞いた初江は笑ってしまい、それは嘘だと答える。新治は初江にキスしようとするが、初江は帰ってしまう。

　島に千代子が帰って来る。彼女は新治が世話になった灯台長の娘で東京で大学生をしており、新治に惚れていた。初江は灯台長の家に刺繍を習いに来るが、娘千代子が帰って来たことでそれは中止となっていた。帰ろうとする初江を千代子の母が呼び止め、初江にもらったナマコの調理を頼む。そこへ新治がオコゼを持って現れる。新治にライターを買って来た千代子はプレゼントしようとするが、新治は受け取らずに帰ってしまう。

　帰り道で新治と初江は一緒になる。初江は新治に千代子とのことを尋ねるが、なんでもないと答える。初江はさらに灯台長の家に魚を持って行く理由を聞き、新治は学生時代に灯台長に世話になった話をする。そして二人は次の時化の日に会う約束をする。

　時化が来て漁が中止となった日に二人は観的哨で会う。雨の中やって来た新治は焚き火をして居眠りをしてしまう。初江がそこにやってきて乾かすために服を脱ぐ。その時目覚めた神事にも服を脱ぐように求め、近寄ろうとする新治に火を飛び越えて来てと話す。

　観的哨から出て来る二人を千代子が目撃してしまう。千代子はそのことを安夫に話してしまい、二人のことが村中の噂になる。そのことが初江の父照吉にまで知れ、初江は家から出ることを禁止される。初江は新治に手紙を書き、新治の漁仲間が手紙の運搬係になる。噂は広まり、千代子は島に居づらくなり東京へ帰ってしまう。

　二人は会えない時期が続く。照吉の家に客があり、宴会があるので夜神社で会う約束を手紙でするが、それも邪魔されてしまう。

　島に日の出丸の船長が呼ばれ、新治と安夫は日の出丸に乗ることを提案される。新治の母親は照吉の仕業だと激怒し、照吉の家に抗議しに行くが、相手にされず初江にも怒りをぶつける。しかし新治は船に乗ることに。

　初江は海女の仕事を始める。そこで得た商品を新治の母親に渡し、父の態度を謝罪、母親も受け入れる。

　日の出丸が嵐に遭遇、船をつなぎとめる縄が切れてしまい、誰かが泳いでつなぎに行かなくてはいけなくなる。新治が手を挙げ、見事に成功させ船を助ける。

　その頃灯台長の家に千代子からの手紙が来て、手紙には噂の元になったのは自分であること、二人が結ばれるようにして欲しいと書かれていた。千代子の母は照吉の家に乗り込み話をするが、照吉は日の出丸での一件で、初江は新治と結婚させることを決めていた。

　百恵友和シリーズの第2作。もう「どストレート」なハッピーエンド。登場人物の変な関西弁も、明らかに場面に不似合いなBGMも、全部昭和的で許せるって感じだった。

　「伊豆の踊り子」もそうだが、この映画も平成や令和の時代にはもはや映画化はされないんだろうなと思う。話が古い、とか、使い古された原作、とか、いうことではなくて、今やっても興味を持って見るのは、いたとしても自分のような昭和世代だけ、だろうから。自分も山口百恵世代ではないので、今回初めて観たが、前作に続き、昭和のアイドルとしてはちょっとキワドイと思えるシーンがいくつかあって、映画化と言ってもそんな売りがなくちゃいけないような状況だったのかしらと疑問に思う。

　それでもこの時代に観ても、不思議とこの二人の主演作はその次の作品を観たいと思わせるから、大したものだと思う。やっぱり主演の二人が結婚した、というのが一番のハッピーエンドなんだろうなぁ（笑

　最後に蛇足。新治の恋のライバル？扱いの安夫、どこかで観た俳優さんだと思って調べたら、「女王蜂」のお茶会で殺されちゃう赤根崎役の人でした。最近観たばかりだと思ったら…。この頃の東宝によく出てたのかな？