笑酔亭梅寿謎解噺 田中啓文

●笑酔亭梅寿謎解噺 田中啓文

 「シャーロック・ホームズたちの冒険」「シャーロック・ホームズたちの新冒険」が面白かったので、田中啓文さんの新しい1冊を読むことに。色々あったが、御本人が落語ファンということらしいので、落語を題材にしたもので、さらにシリーズ物になっているこの1冊を選んだ。

 これがやはり面白い。毎話、落語のネタがタイトルとなっており、そのネタ話と似たような状況の事件が起きる。それを主人公竜二が師匠梅寿に花をもたせながら解決していく、というパターン。正直、事件の謎解きはそれほどでもないが、竜二に関わる師匠梅寿やその周りの人間とのドラマが面白い。

 もともと落語家になりたいとは思っていない竜二が悪戦苦闘?しながら、少しずつ成長していくが、読んでいる側も、イヤイヤこのまま続けられないでしょ、と思っていると、本当に破門となりピン芸人になろうとするところなどは、よくある話にも思えるし、1本のドラマになりそうな展開だし。

 そういえば「しゃべれども しゃべれども」って映画も観たなぁ。あれも若手落語家がもがき苦しむ映画だったけど、この本の方がその辺りはよくできているかな。

 まだまだこの先も続くようなので、これまた楽しみなシリーズが1本増えたようだ。