嵐を呼ぶ男

●285 嵐を呼ぶ男 1957

 美弥子はバンドの女性マネージャ。ある日店に来た国分英次から兄正一をドラマーとして売り込まれる。美弥子は酒場で喧嘩をしている正一を見かける。その夜バンドのドラマーチャーリーが突然公演をキャンセルする。美弥子は正一を穴埋めに使おうと思い連絡すると正一は先ほどの喧嘩のため留置場にいた。保証人となり正一を留置場から出し、ドラマーとして店に出す。そこへチャーリーが持永たちとやってくる。チャーリーは持永にスカウトされていたが、そこには評論家の左京が絡んでいた。店の踊り子メリーを気に入った正一は彼女の楽屋を訊ねるが、メリーはチャーリーと付き合っていた。チャーリーは美弥子に正式に移籍の話をする。美弥子は正一を正式に雇うことに。

 正一と英次は家に帰り、母親に正式にバンドに採用されたことを報告するが、音楽で生きていくことを認めない母親は喜ばなかった。それどころか英次だけはまともな商売人にしたがっていた母親は英次も音楽の世界に引き込んだ正一にひどい言葉を浴びせ、正一は家を飛び出る。

 正一は美弥子の家に住み込み、ドラマーとしての猛練習を開始する。そして正一は正式にバンドの一員としてデビューする。評論家の左京は美弥子に惚れており食事に誘うが、チャーリーの件を知っている美弥子は左京と食事に行かず、正一と行くように話す。2人で店に行った正一は、自分を売り込んでくれれば、左京と美弥子の仲を取り持つと約束する。

 正一の家の大家の娘みどりは正一に惚れていた。ある日英次に誘われ正一に会いに、美弥子の家に行くが、美弥子は正一とみどりたちが出かけるのを妨害する。

 左京は雑誌やTVで正一のことを褒め、チャーリーとのドラム合戦をするようTVでけしかける。ドラム合戦の前日、正一はメリーと店で出会う。そこへチャーリーや持永がやってくる。メリーが正一と出かけようとしていたことをチャーリーは怒る。持永は部下に命じ、正一と喧嘩をさせ左腕を負傷させる。

 ドラム合戦の日、正一は左腕の怪我でドラムがうまく叩けず苦戦するが、突然マイクを引き寄せ歌い始める。ドラマーの歌に観客は熱狂する。左京はTVでこれからは正一の時代だと話す。持永は左京を脅すが、左京は正一がナンバーワンになると答える。

 正一は人気投票で見事に1位になる。正一は喜んで母親に会いに行くが、やはり母親は正一のことは認めなかった。怒って家を出た正一は英次と会う。英次からみどりのことを言われた正一は、英次にお前がみどりと一緒になれと話す。

 その夜正一は酒を飲んで酔っ払って美弥子の家へ帰る。正体不明の正一を部屋へ連れて行く美弥子だったが、正一の部屋で想いを伝え、2人は結ばれる。

 英次の作曲した曲が推薦され新人リサイタルが開かれることに。正一と美弥子との仲はバンド内でも認められるほどになる。左京が正一の前に現れ、美弥子のことの約束はどうなったかと聞いてくる。正一は正直に美弥子とのことを話すが、左京は英次がリサイタルを開く話を持ち出す。正一は左京が英次の邪魔をすることを恐れ、美弥子から手を引くことを約束する。

 英次は母親と大家とみどりとリサイタルが開かれることのお祝いをしていた。その場で大家から英次とみどりとの結婚話が持ち出される。

 酒に酔った正一は美弥子の家に帰り、家を出ると美弥子に話し、家を出る。正一は家に戻る。そこで母親にみどりとの結婚の話を出すが、母親からみどりは英次と結婚することになったと聞かされ家から出て行く。

 美弥子は左京と会う。そして左京に金輪際関わりを持たないと宣言する。左京は持永の事務所にチャーリーと出かける。そして美弥子への復讐のためチャーリーを再起させると話す。チャーリーは持永に持永の女メリーの家に正一がいることをバラす。

 メリーの家で目が覚めた正一は、メリーから銀座で酔っ払っていた正一を家に連れてきた、酔った正一は泣きながら美弥子のことを話していた、と聞かされる。そこへ持永たちがやってきて、正一は連れ出される。正一は左京に英次に手を出さないことを約束させ、持永の部下たちにボコボコにされ、最後に右腕を潰される。

 英次は正一が病院に運ばれたことを美弥子に知らせに行く。美弥子が駆けつけると正一はどこかに姿を消していた。英次はリサイタルの日だった。正一のことを心配する英次。メリーが美弥子の元に訪れ昨夜あったことを話す。それを聞いた母親は正一に謝る。正一はバーにいた。そこから連絡を受けた美弥子や母親が正一に会いに行く。英次のリサイタルは大成功だった。

 

 有名なタイトルだし、主題歌もよく知られているが、映画は初見。

 ドラマー裕次郎の映像は何度も見ているので、そんな映画だと思っていたが、テーマは音楽性よりも親に認められない青年の想いのようだ。となればどうしてもジェームスディーンの映画が思い浮かぶが、やはりあの映画の2年後の作品だそうで。裕次郎はこの10年後にも「夜霧よ今夜も有難う」という迷作パロディを作っているが、当時はこんなこと当たり前だったんだろうなぁ、と。

 裕次郎wikiを見ると、この映画の前年にデビューし1年で7本、この映画の作られた1957年には10本!の映画に出ている。ほぼ毎月公開じゃん。

 この時代の日本映画で何回か同じことを書いていると思うが、この映画の金子信雄さんも全く誰だかわからなかった。高品格さん(出目徳)はわかるのになぁ。

 俳優さんで言うと、芦川いづみさんの映画は初めて見たかも。北原三枝さんよりもキレイじゃん。吉岡里帆に少し似て抜けてる感じが良い。