ハスラー

●449 ハスラー 1961

 酒場で男2人が仕事の話を始める。そのうちにビリヤードを始め、賭けをやりだす。1人が賭けに乗らないのを見た周りの人間がその賭けに乗る。その途端、男は正確なショットを打ち賭けに勝つ。2人はエディとチャーリー、ハスラーとして賭けビリヤードで金を稼いでいた。

 2人はビリヤードで15年無敗の男ミネソタファッツと勝負するために彼のいるビリヤード場へ行き勝負する。エディは目標だった1万ドルを超える勝ちを手にする。相棒チャーリーが勝負を終わろうとするが、エディはファッツが終わりは決めると話し勝負を続行する。25時間が経過、エディの勝ちは18000ドルまで行きサイドチャーリーはやめる様に言うがエディはまだ勝負を続ける。酒を飲み続けていたエディは結局勝ち分を全て吐き出すまで続け負けてしまう。

 エディはホテルを出てバス発着所へ。そこで1人の女性サラと出会う。お互いに気に入り2人は同棲を始める。そこへチャーリーがやってくる。一緒に旅に出て稼ごうとエディを誘うが、エディはファッツとの再戦をするつもりだった。2人は決別をする。

 エディはサラとの暮らしを続ける。ある日酒場でファッツの胴元だったバートと出会い手を組むことを誘われるが断る。エディは1人ビリヤード場で素人を相手に賭けビリヤードをし大金をせしめるが仕返しに襲われ両手の親指を折られてしまう。

 エディはサラに看病をしてもらうことに。親指の怪我が治ったエディはビリヤード場へ。そこでバートと再会、金を稼ぐために組むことを受け入れる。エディはサラをレストランへ連れて行き、しばらく旅に出ると話す。彼女は自分が捨てられると思い込む。結局彼女も連れてバートの提案するルイヴィルへ行き、金持ちのフィンドレーとビリヤード勝負をすることに。

 ポケットビリヤードではなかったがエディは勝負を挑む。しかしフィンドレーに負けてしまい、バーとは勝負を切り上げる。エディはサラに渡していた自分の金を持ってきてさらに勝負を続けるがそれでも負けてしまう。そこへサラがやってきて勝負師たちの非情さを非難する。エディがサラに帰るように言うとバートは勝負続行を宣言する。エディは大きく勝ちフォンドレーから大金をせしめる。

 一足先にホテルに帰ったバートはサラに金を渡しサラと寝る。ホテルに戻ったエディはサラが自殺したことを知る。

 街に戻ったエディはファッツとの再戦をし見事に勝利する。分け前を要求するバートにエディはサラを愛していたことを告げ、バートこそが負け犬だと罵る。バートはビリヤード場に近づかないことを条件にエディを見逃す。エディは1人店から去って行く。

 

 以前「ハスラー2」を観た際に書いているが、2ではトムクルーズの若さゆえの無謀さが目立ってしまっていたが、本作でもエディの若さゆえの無謀さはしっかりと描かれているのね。念願の相手との勝負で勝ち続け油断から酒を飲み過ぎてしまい、勝負の引き際を間違えてしまう。博打打ちにはありがちな世界だが、本作の方がよりリアルに感じる。

 阿佐田哲也の小説や麻雀漫画が好きで若い時からよく読んでいるが、勝負師の世界で大切なことは競技が違っても同じであることに気づかされる。ルイヴィルへ向かう列車の中でバートがエディに話すファッツとの初戦での負けの理由が興味深い。ベテランファッツは自分にとっての悪い流れを断ち切るためにしっかりと仕事をしていたのに対し、エディは勝ちに溺れ酒に溺れ続けてしまった。

 愛する女性の死で大切なものを取り戻したと言う展開が安っぽくも感じるが、ラストでエディが語るバートへの言葉がとても重い。エディが去った後、エンドマークまでの1分弱、ビリヤード場の光景が描き続けられるのも渋い。大勝負の後の余韻、がそのまま映像化されている。