スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ 友井羊

●スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ 友井羊

 前作に続きシリーズ第2作。フリーペーパーを作る会社に勤める理恵がスープがメインのお店しずくに通うようになる。その店の店主である麻野が探偵役となる短編集。以下の4編からなる。

 

「モーニングタイム」

 理恵の上司布美子の新居へ理恵と伊予は訪れる。そこで夫の妹である環奈と出会う。しばらくして布美子の身の回りに起きている不思議な事件を告白されるが…

 

「シチューの人」

 理恵の中学時代の同窓会が開かれることに。理恵は中学の林間学校で起きたシチュー事件のことを気にしていた。それは理恵の初恋の相手秀太が関係するものだったため。

 

「山奥ガール」

 伊予は中学の同級生たちとしずくで食事をする。その際同じ同級生の二神がハンターをしていることを知り、友人の瑠衣とともに彼の狩りを見学することに。瑠衣はハンターに興味を持ち始めるが…

 

「レンチェの秘密」

 大学生梓は高校の同級生で今は引きこもっている忠司のことを気にかけていた。しかし忠司の母からもう家に来ないでと言われてしまう。同級生の詠人に相談し忠司が引きこもった原因を調べ始める。忠司に友人の話から、忠司が警官だった静句と頻繁に会っていたこと、その静句の関係者がスープ屋をやっていることが判明し、梓はスープ屋しずくを訪れるが…

 

 前作同様、しずくの店主麻野が鮮やかに事件を解決していく。麻野の娘露の不思議な感性も前作通り。さらにこれまた前作同様、最終章では麻野の亡くなった妻静句が死亡する直前に会っていた忠司に関する事件から静句の死の真相がわかってくる。最終章は前作でも重い話で本作でも同様。最終章のみが書き下ろしであるのも興味深い。

 2作目にして既にシリーズとしては安定している。今後理恵の麻野に対する思いがどう展開していくのかが気になる。続編も楽しみである。