遊星からの物体X

●467 遊星からの物体X 1982

 1982年南極大陸。1匹の犬をヘリコプターが追いながらライフルで狙っている。犬は逃げアメリカ基地へ到着するが、ヘリはしつこく犬を追いアメリカ基地のそばに着陸する。アメリカ基地の人間たちが外で出てくると、ヘリから降りた人間が犬を狙ってライフルを発砲、その弾がアメリカ基地の人間に当たってしまったため、ヘリの男は射殺される。基地の人間たちは、犬を基地内に確保、ヘリを調査する。ヘリはノルウェー基地のものだった。

 ヘリ操縦者のマクレディたちはノルウェー基地の調査を命じられる。そこで見たのは何者かに破壊された基地、外で燃やされた生物、彼らの調査記録だった。マクレディたちはそれらを基地に持って帰る。

 基地内で確保された犬は犬小屋にいたが、やがて正体を現す。それは異生物で他の犬を襲う。人間たちは犬を射殺し燃やす。医師が犬を解剖するとそれは犬に変化同化していたことが判明する。

 その事実を知った医師はさらに調査、人類がそれに制圧されるのに27000時間しかかからないことを知り、医師は基地を破壊し始める。他の人間たちは医師を拘束するが、それに同化されることを恐れ、お互いを疑い始める。

 マクレディの服が燃やされていることに気づいた人間が彼を拘束しようとするが、マクレディは爆弾を持って皆を制圧。それは血液の状態でも防衛反応をすると推測したマクレディは皆の血液を調査する。そこでそれに同化されていた人間が判明、皆で彼を燃やして殺す。やがて拘束していた医師も同化されていることに気づき探すが、医師は逃亡していた。

 残ったマクレディたちは基地全体を爆破しそれを殺すことを計画、見事に爆破させる。生き残ったマクレディの元へもう一人の人間がやってくる。お互いがそれに同化されているかを話すが、もう確認する方法も相手を倒す方法もないことを悟ったマクレディはもうどうでもいいと話す。

 

 有名なタイトルなので昔から知っているが今回が初見。最初の30分でストーリーにどっぷりと引き込まれてしまった。

 異常と思えるヘリの人間の行動、ノルウェー基地の異常な状態。基地に戻ってしばしの静寂が訪れるが、犬小屋で異常が発生するまで、が30分。この間も不気味なカメラアングルがあり、これから起こるであろうことが予想される見事な30分。

 ここで初めて犬が異生物に変貌をするが、40年前の特撮技術のためちょっと興ざめもするが、それでも「それ」の不気味さは変わらない。火炎放射器であっさりと倒されるが、真の恐怖はここから。見た目ではわからない同化、それがこの映画の本筋と言える。閉じられた空間である基地の中で、人間たちがお互いを信用できなくなるという恐怖。見事なストーリーだと思う。

 後半はアクションシーンの連続となり、どのような結末が待っているのかと思っていたが、ラストはなんとも言えない終わり方。まさに賛否両論ありそうなエンディングだが、これも40年前の映画にしてはなかなかよくできている。

 「エイリアン」などはこの映画からインスピレーションをもらったんだろうなぁと思えるし、異生物の造形ものちの映画に大きな影響を与えたのだろう。

 

 久しぶりに傑作と言える一本を観た。