●599 乱 1985

 戦国時代。一文字秀虎は地方を支配していた。秀虎は息子3人と隣国領主、綾部と藤巻と一緒に巻狩りを楽しむ。綾部と藤巻は秀虎の三男三郎と自分の娘の縁組をすることで秀虎との関係を深くしようと考えていた。

 秀虎はその場で長男太郎に家督を譲り自分は隠居すると宣言。三郎は反対をし秀虎に追放されてしまう。それを聞いた三郎の家臣丹後はかばうが同じく追放される。しかし藤巻は三郎の態度を気に入り、娘の婿として迎え入れる。

 家督を譲り受けた太郎は妻楓の言葉に惑わされ、父秀虎を軽く扱う。怒った秀虎は次郎の元へ行くが、すでに太郎からの手紙を受け取っていた次郎も秀虎を軽く扱う。秀虎は行き場を失い、家臣から三郎の元へ行くように勧められるが秀虎のプライドがそれを許さなかった。

 流浪を続ける秀虎だったが、三郎の家臣たちが三郎を追って城を出たと聞き、三郎の城であった三の城へ行く。しかし秀虎の家臣の裏切りなどもあり、太郎と次郎の家臣たちが三の城を襲う。秀虎の家臣たちは全滅、秀虎も切腹をしようとするが刀がなくできなかった。秀虎は呆然となり太郎や次郎の家臣たちが見守る中、一人城から出て行く。この戦の中で太郎は討ち死にをする。

 三郎に言われ秀虎を見守っていた丹後が一人となった秀虎の面倒を見る。太郎が死んだことを聞いた楓の方は、次郎に接近。楓の方は自分の家族を秀虎に殺されたことを恨んでいた。次郎と愛し合った楓の方は、次郎の正室、末を殺し自分を正室にするように次郎にお願いする。丹後は秀虎が次郎に狙われることを危惧し、三郎のところへ秀虎を連れて行こうとするが、秀虎はそれを受け入れなかった。仕方なく丹後は三郎を呼んでくることに。

 三郎が兵を率いて秀虎を迎えにくる。それを知った次郎は兵を出し、三郎の軍と向き合う。秀虎の居場所を知らないが秀虎を渡すつもりがない次郎は、三郎が秀虎を探し出すのを待ち、それを襲うつもりでいた。三郎の軍と次郎の軍が争いを始めるが、付近には綾部の軍も藤巻の軍もおり、綾部の軍が攻め込んできたとの知らせが入る。次郎は急いで城へ戻るが、彼の家臣が楓の方が次郎を惑わしたとして斬り殺す。

 三郎は秀虎を見つけ会話をし、秀虎は三郎に過去のことを謝る。二人は一緒に馬に乗り三郎の元へ帰って行こうとしたが、次郎の軍の兵に三郎は撃たれてしまう。死んだ三郎の元で秀虎は嘆き悲しむ。

 

 「影武者」を観てからもう1年が経ったのか(笑 あちらが史実に基づいた物語だったのに対し、こちらは完全オリジナル。まぁリア王や毛利の3本の矢がベースになっているらしいが。

 オリジナルであるため期待して観たが、前半はやはり面白かったなぁ。全てを手に入れたと思っている男が息子に家督を譲り、後は悠々自適な暮らしを…なんて現代のサラリーマンに近い考えを持つが、家督を譲った直後からその思いは打ち砕かれてしまう。

 子供たちにないがしろにされる高齢者、の図式というよりは、やはり権力という魔物の恐ろしさなんだろう。楓の方が一癖ある悪女として描かれているが、太郎も次郎も根底では、早く自分たちの時代が来ないかと待っていた感じ。表面的には乱暴で反抗的な三男が、一番親のことを考えていたという、非常にわかりやすい展開。

 後半、城を追われ、流浪の人となってしまった秀虎のシーンがちょっと長すぎたかなぁ。末とその弟鶴丸とのエピソードは、秀虎の過去の残虐を反省するという意味では必要なものだったのだろうが、これも冗長に感じてしまった。

 さすがにラストの戦のシーンは圧巻。どれほどのエキストラが集められたのだろう。wikiに映画制作の資金集めが難航した話が記載されているが、あの戦のシーンにはいくら注ぎ込まれたのかしら。

 冒頭の巻狩りや戦のシーン、非常に素晴らしい風景だったが、あれ日本での撮影なのね。フランスとの合同制作となっていたから、フランスの風景かと思った。