人生の特等席

●224 人生の特等席 2012

 ガスはメジャーリーグブレーブスのスカウトマン。しかし寄る年波には勝てず視野の中に見えない部分が出て来ていた。

 ガスの娘ミッキーは弁護士。事務所の共同経営者(パートナー)になる昇格試験を受ける立場にあった。

 ミッキーはガスに会いに行くが、二人の話は噛み合わずミッキーは食事の途中で帰ってしまう。

 ブレーブスGM室では選手の選考をしていた。フィリップはPCを使いデータ重視をする。ピートはガスのやり方を信用していた。GMはガスがスカウトした傘下チームのビリーが最近不振なのを気にしていた。ドラフトが9日後に迫っていた。

 ガスは車をガレージでぶつけてしまう。それほど目が見えなくなっていた。彼はビリーの試合を見に行く。スランプであることを知り、家族と会えるように手配をする。

 ピートがガスの家に来て、GM室での話をしてガスの体調を心配するが、ガスは相手にしなかった。ガスは病院へ行く。そして緑内障の疑いがあることを告げられるが、医者には来なかったことにしてくれと頼む。

 ミッキーは恋人と食事をしていた。正式に付き合うよう誘われるが、ミッキーは答えなかった。家に帰ったミッキーは留守電を聞く。会社からで次の裁判に勝てば昇進だと言われる。それを聞いたミッキーはガスに電話をするが、不機嫌に電話に出たガスに対し、ミッキーは何も言わず電話を切ってしまう。翌日ミッキーの会社にピートがやってくる。ガスに会いに行くよう勧められるが、ミッキーは仕事が忙しいと言う理由で断る。

 ガスは若くして亡くなった妻の墓にいた。墓の前で娘のことを愚痴るのだった。

 ミッキーはガスのかかりつけ医に電話をし、失明の恐れがあることを知る。そしてガスの家に向かう。ガスは肉を焼いていたが焦がしてしまい室内は煙が充満していた。ミッキーは医者から聞いた話をするがガスは相手にしない。怒ったミッキーは帰ってしまう。

 ガスは妻の写真と共にロースカロライナに来ていた。ミッキーは会社にしばらく休むことを伝える。ガスは高校生ボーの試合を見に来ていた。そこにミッキーが現れる。ガスは帰るように言うがミッキーは聞かなかった。ボーが活躍をして試合が終わる。帰ろうとする二人にジョニーが声をかける。彼はかつてガスがスカウトした投手だった。しかし酷使され肩を壊して引退していた。3人はバーで飲む。そこでミッキーはビリヤードを始めるが、声をかけた男に言い寄られそうになる。その男をガスは殴り倒す。ミッキーはガスの行為に怒る。そして父親の体を心配していることを告げるが、ガスは大丈夫だとしか言わなかった。二人はモテルのそれぞれの部屋へ帰る。ミッキーは仕事をし、ガスは昔の出来事を思い出していた。

 ボーの次の試合も3人は見ていた。ガスはミッキーに近くに行ってボーを見るように頼む。試合が終わった球場でミッキーはガスにボールを投げさせ、それを打ち返す。二人の距離が少し縮まった。仕事で携帯を触っているミッキーの代わりにガスが車を運転するが、事故を起こしてしまう。ミッキーはもう少し休むことを会社に連絡する。

 ガスはジョニーと話をする。ジョニーは今レッドソックスのスカウトをしていた。次にはTVのアナウンサーの道も見えて来ていた。

 ボーは相変わらず活躍を続けていた。ガスはもう1試合見てから判断すると本社に伝える。しかしフィリップが送り込んだスカウトは、フィリップにボーは間違いないと伝える。ミッキーに恋人から連絡が入る。彼はミッキーの気持ちを知りたがっていたが、ミッキーは今は考えられないと答えると彼はそれが答えだと言い、電話を切ってしまう。ミッキーはバーに行く。そこにはガスもジョニーもいた。ガスは二人でどこかに行けと言い、二人は従う。他の店に行き二人は意気投合する。ジョニーは自分の選手時代の話をする。良い感じになる二人だったが、ミッキーに仕事の連絡が入りそこまでとなる。

 翌日ガスはミッキーと朝飯を食べに行く。ガスがミッキーが食べないのを指摘すると

彼女は子供の頃ほとんど一緒にいられなかったことを責める。ガスは戸惑う。

 ボーの優勝を決める試合。ガスとミッキーは並んで試合を見ていた。ガスがボーは変化球を打てないことを見抜く。次の打席は側でスイングがぶれていないか見てみろと話す。ミッキーはボーの最後の打席を側で見る。ボーは決勝ホームランを打つが、スイングはぶれていた。見えないはずなのにと不思議がるミッキーにガスは音を聞けばわかる、と答える。

 ミッキーは明日帰ると会社に連絡をする。しかし会社では替わりの人間を立てたのでゆっくり休んで良いと話す。ジョニーにグチるミッキー。そこへガスがきてボーは変化球が打てないから指名しない、レッドソックスも気をつけろと話す。ジョニーはミッキーを誘って湖に行く。そこで二人はキスをする。

 ドラフトの日、全体1位であるレッドソックスはジョニーの言葉通りボーを指名しなかった。ピートはガスの指示通りボーの指名を辞めるように進言するが、フィリップはボーの指名を譲らない。GMはフィリップの言葉を採用、ボーを指名することに。このことを知ったジョニーはガスとミッキーの前に現れ騙されたと怒り去って行く。

 モテルに残った二人。ガスは引退の考えをミッキーに伝える。ミッキーは昇進がダメになったことを伝える。驚くガスに弁護士になったのは認めて欲しかったからだと話すミッキー。父と一緒にいた幼い頃が特等席だったと話す。そして幼い頃から離れていた理由をガスに問いただす。ガスはミッキーが6歳の時にあった事件について語り謝罪する。

 翌朝早くにモテルから旅立つガス。ミッキーはピートに連絡する。その時外からキャッチボールの音が聞こえてくる。そのキャッチングの音を聞く。そして彼のボールを自ら受け感触を得る。そしてピートに入団テストの打診をする。

 そしてボーを相手に入団テストが行われる。あざ笑うフィリップだったが、彼の速球、カーブともボーは打てなかった。GM室で話した二人は一緒に外へ出る。そこに待っていたのはジョニーだった。

 

 イーストウッドの作品はこのブログで15本目となる。2012年の作品なので、これまで観た中ではもっとも新しい作品。これまで観たイーストウッドの晩年?の作品は、映画後半あたりから話が一気に変調するので(「ミリオンダラー・ベビー」や「チェンジリング」など)、ちょっとドキドキしていたが、この映画は大きく変調することなく、平和に観ることができ一安心。むしろあまり重いテーマの話ではなく、最後にカタルシスが待っているので、観終わってスッキリした。

 さすがにイーストウッドが恋愛する話はなくなり(笑 娘ミッキーの恋愛がメイン?まるで男はつらいよの晩年の作品みたい(笑

 ガスがミッキーを離していた理由がストーリーのキーポイントとなっているが、他の話が色々と詰め込みすぎで、ちょっとこの点がボケちゃったかな、という感じ。

 しかしアメリカは野球が本当に好きなんだなぁ、と感じられる作品でもあった。平和なイーストウッド作品、良いんではないだろうか。