マーニー

●265 マーニー

 ストラットの会社から9967ドルが盗まれる。ストラットは犯人はマリオン・ホランド(マーニー)だと息巻く。勤めて4ヶ月目の雑用係だった。そこへ顧客のマーク・ラトランドがやってくる。彼にも事情を説明する。

 犯人のマーニーはホテルで身分証をマーガレットに差し替え、髪の色を金髪に戻していた。そしてレッドフォックスホテルに泊まり、馬場へ行き、お気に入りの馬フォリオに乗馬する。その後実家の母親に会いにいく。母親は子守の仕事をしており、この日もジェシーが家にきていた。彼女は母親にプレゼントを持ってきていたが、母親がジェシーを可愛がるのに嫉妬をする。マーニーは実家で休んでいて悪夢を見る。彼女はノックの音と赤い色に恐怖を感じていた。

 マーニーは新しい仕事先としてラトランド社を選美、面接を受け合格する。仕事を始め、会社の金庫の様子を探る。赤インクを服にこぼしパニックになるが、トイレに入り上手くごまかす。ある時、マーニーはラトランドから土曜出勤を依頼される。個人的な文章のタイプを頼まれるが、外で雷が鳴りマーニーはパニック状態になる。そして窓を破って折れた木が飛び込んできて、仕事どころではなくなる。ラトランドはマーニーを車で送りながら色々な話をし、競馬場へ行くことを約束する。

 競馬場でマーニーの予想が当たり、ラトランドは馬券を購入し続ける。その時見知らぬ男がマーニーに声をかけるが、彼女は人違いだと話す。彼女は騎手の赤い服を見てまた軽いパニック状態になる。

 ラトランドはマーニーを実家に連れて行く。父親と義理の妹に会わせ、来週も家に来れば良いと話す。

 マーニーは週末会社で社員が皆帰った後に金庫を開け、金を盗む。そしていつもの馬場へ行くが、そこにラトランドが待っていた。彼はマーニーが会社の金を盗んだことを突き止めていた。競馬の時の話から馬場を突き止め彼女に会いに来ていた。そして彼女から事情を聞くが、マーニーは嘘ばかりつく。彼はそれも見抜き、マーニーに惚れていることを告白、今週中に結婚しようと言い出す。彼女は拒否するが、二人は結婚、新婚旅行に行くことに。

 義妹リルはラトランドの金遣いの話を従兄弟の銀行員から聞き、マーニーに疑いを抱き始め、ラトランドの書類を調べる。

 二人は船で新婚旅行をしていたが、マーニーはラトランドに触られることも拒否する。ラトランドはマーニーが何らかの病気だと話すが、彼女はそれも受け入れない。時間をかけラトランドはマーニーに話をするが、ある日キスをした翌朝、マーニーは部屋におらずラトランドが探すと船のプールに飛び込んでいた。

 二人は予定を繰り上げて家に戻る。ラトランドが会社へ行くために朝出かけるときに二人で話した会話をリルが盗み聞きする。マーニーが過去に盗んだ金を返す話だった。リルはマーニーが母親に電話するのも盗み聞きする。リルはそのことをラトランドに話す。彼はマーニーの母は死んだと聞かされていた。彼は探偵にマーニーの母のことを調査させる。

 マーニーは夜また悪夢にうなされる。ラトランドは病気だと話し、マーニーは受けれ入れないがテストは受けても良いと話し、単語ゲームをする。そこでもやはり赤という言葉でパニックを起こす。

 二人のためのパーティが開かれるが、リルの悪巧みで、ストラットが呼ばれる。マーニーと顔を合わせたストラットはどこかで会ったかと話す。マーニーは全てがばれることを恐れるが、ラトランドは自分はストラットの上客だから訴えないように話し合うと語る。翌日皆で乗馬しながら狩りをする。そこで赤い乗馬服を見たマーニーはパニックを起こし、馬を暴走させてしまう。そして愛馬フォリオを骨折させてしまい、銃で撃ち殺すことに。

 マーニーは銃を持ったまま、ラトランドの会社の金庫を開けに行くがどうしても金を盗めなかった。そこへラトランドが現れ、マーニーの母に会いに行こうと提案する。

 二人はマーニーの母の家へ。ラトランドは調査で母親が起こした事件、裁判について話し出す。そしてマーニーが少女時代に会った事件について聞き出す。母は売春婦をしており、嵐の夜、少女のマーニーを客が襲い、彼女は母を助けようとその客を殴り殺していた。全てを思い出したマーニーは母親の愛情を再確認し、ラトランドと一緒に生きて行くことを決める。

 

 ひとつ前に観たヒッチコック作品「ハリーの災難」で、ここ何本かの作品は『面白い導入部に、映画後半がついていっていない』と書いたが、この作品では導入部もさほど面白くない(笑 

 この映画の導入は、女性が会社で採用され、ある程度知識を得たところで会社の金を盗んで逃げる。で、主役のショーン・コネリーがその女性を雇うことになる。うーん、あんまり面白くないよなぁ。

 面白さを感じたのは、コネリーの会社で金庫を開け金を盗むシーン。清掃員のおばちゃんとマーニーが二人画面の左右に写っている画面。そして靴を落としてしまう。だが気付かれない。実は… というシーンが一番面白かったか(笑

 金を盗んだマーニーが瞬殺でコネリーに見つかってしまう。「めまい」でも書いたが、ヒッチコックの狙いって観客の求めるものとズレてない?マーニーがコネリーの会社の金を盗んですぐ捕まるのは展開としてあまり面白くないと思うのだが。もちろん、この後の二人の展開〜マーニーの精神障害の謎解き〜がヒッチコックが一番描きたかったことなのはわかるが、もう少し逃亡するマーニーを追い詰めるシーンがあってもよかったのでは。会話の中で済ませた、競馬場での馬の話題→居場所の絞り込み→馬場の特定、ぐらいは謎解きシーンとして見せても見応えあったと思うんだけど。

 マーニーの少女時代の「トラウマ」、今でこそ自分のような素人でも「トラウマ」という概念を知っているが、この時代は目新しく、それを映画のテーマにしたかったんだろうなぁ。