翔んだカップル オリジナル版

●392 翔んだカップル オリジナル版 1983

 田代勇介は九州から上京し東京の高校に入学する。叔父の家を借りて住むことになったが、小遣い稼ぎのため下宿人を受け入れる。不動産屋に男のみという条件をつけたのだったが、下宿人となったのは、同じクラスの山葉圭という女の子だった。勇介は驚き同級生が同じ屋根の下で暮らすことが学校にバレたら退学になることを心配し圭に出て行くように言うが圭の願いで1ヶ月だけ一緒に暮らすことに。

 夜圭の部屋を覗く男たちが。彼らは勇介が入ったボクシング部のキャプテンが圭に惚れたため圭のことを調べている部員だった。怖くなった圭は勇介と同じ部屋で寝ることに。

 勇介は圭と一緒に過ごすのを避けるため友人の中山わたるの家へ遊びに行くようになる。学校での遠足で勇介はクラスの優等生杉村から声をかけられ、その後彼女から興味を持たれるようになる。

 そのうちに1ヶ月が経過、二人はいろいろありながらも同居を続けていた。ある日、圭は中山と、勇介は杉村とデートをする。その途中2組は出会う。デートが終わり家に戻る二人は家の前で別れるふりをする。圭のことが好きな中山が跡をつけていたためだった。二人は夜デートのことで喧嘩をしてしまい、圭は家を出て行く。雨の中圭を探しに出る勇介だったが、圭は玄関の前で佇んでいた。仲直りをしようとしていた二人の前にボクシング部キャプテンの織田が訪ねて来て、一緒に暮らすと宣言。勇介は早朝のロードワークなどに付き合わされる。勇介は勇気を持って織田に家から出て行ってもらうように頼む。

 夏休みになり皆実家に帰る。夏休みが終わって東京に戻る勇介は圭が勇介のことを待ち焦がれていてくれることを妄想する。しかし家にいた圭は2階の部屋に移ることを宣言する。杉村はメガネを外し素顔でいるようになる。勇介は圭に買って来た田舎のお土産を杉村にプレゼントしキスをする。それを隠れて見ていた中山は圭をデートに誘うが、圭には約束があった。勇介は新人戦出場をかけて練習試合に出ることに。勇介と中山はカフェに行く。そこで勇介は中山に圭と同居していることをバラしてしまう。悶々として家に帰った勇介を迎えた圭は今日習って来たと言って一緒にダンスをする。イライラした勇介は圭を押し倒しキスをしようとするが圭に拒否される。勇介は圭に好きだと告白するが、圭は自分たちはまだ3年間高校生だと話し、星田の名前を出す。星田はその日圭がデートをした大学生で、田舎で出会った男性だった。

 圭はまた星田とデートをし、男性はsexをした場合その女性をどう考えるかと言うことを聞く。それを聞いた星田は圭が自分に惚れていると勘違いし、彼女を呼び出し圭に見せつけ諦めさせる。勇介は杉村の家に泊まってしまう。圭は勇介を待っていたが帰ってこない勇介に怒り、スプレーで悪口を書く。

 勇介は練習試合に勝つが相手が手を抜いたことに気づき、杉村の家で怒り狂う。そこへ圭が訪ねてくる。彼女は織田から授かった新人戦へ向けての注意事項を持って来たのだったが、二人は口喧嘩をしてしまい圭は帰ってしまう。杉村は勇介に圭が家で待っていると思うと話し勇介を帰らせる。家に戻った勇介は窓にスプレーで書かれた悪口を見て圭の部屋へ。圭は化粧をして勇介を待っていた。二人はお互いの気持ちに正直になる。

 中山は学校に電話をし勇介と圭が同居していることを密告する。圭は勇介の家から出て行くことに。一人になって寂しさを実感した勇介はいつかのカフェへ行く。そこにいたマスターの娘と酒を飲み一夜を共にしてしまう。

 学園祭が行われる。杉村は圭に明日留学のために旅立つことを告げる。明日は勇介の新人戦の日だった。杉村は圭に勇介の応援を頼む。ボクシング部の出し物であるモグラ叩きに勇介がいると中山がやってくる。勇介が一緒にやろうと誘うとそこへ杉村と系もやってくる。モグラ叩きを始めるが中山は泣き出してしまう。そんな中山を勇介は叱る。そして勇介の新人戦が始まる…

 

 原田知世の「時をかける少女」を観たのでセットで鑑賞。薬師丸ひろ子の主演デビュー作(映画デビューではない)。公開は1980年だが、その後の「セーラー服と機関銃」があまりにヒットしさらに本人が休業宣言をしたため、1980年公開のこの映画のオリジナル版が3年後に公開されたらしい。

 漫画を原作に持つこの作品は当時TVドラマも製作され大ヒットした。その影響で原作も読んでいるが、当時やはり大ヒットしていて同様に高校生の恋愛を描いていたあだち充の作品が「さわやか系」の恋愛だったのに対し、この作品の原作は「ドロドロ系」だったのを覚えている。圭に惚れるボクシング部の織田はもっとしつこかったし、同級生の中山は最後精神を病んでしまうのではなかったっけ?しかしこの映画ではそんな「ドロドロ系」は影を潜め、自分の気持ちに素直になれない主人公の二人のモヤモヤを描くことに重点を置いている。

 独特の映像で有名な相米監督のデビュー作でその通り長回しの場面が多い。主人公二人に重要な役ところの杉村、中山を加えた4人のシーンはむき出しの演技といった感じがする。映画を見終わりキャストを観て初めて中山役が尾美としのりであることに気づいた。うーん、忠吾、凄すぎる怪演(笑