ワルキューレ

●559 ワルキューレ 2008

 第二次世界大戦下、ドイツは敗色濃厚となる。軍の中の反ヒトラー勢力の一人である将軍がヒトラーの爆弾による暗殺を試みるが失敗。メンバーが逮捕されたことを受け、後任者選びを始める。アフリカ戦線で負傷したシュタウフェンベルク大佐がその候補となる。

 彼らはヒトラー暗殺後の行動を考え、予備軍による首都制圧をするためワルキューレ作戦の修正を行い、ヒトラーの署名を得る。

 1944年、彼らは暗殺計画を実行に移す。ヒトラーを含めた作戦会議の場に出席するシュタウフェンベルク大佐が爆弾をそこに持ち込み爆破する計画だったが、ヒムラーが会議に出席していなかったため、作戦は中止となる。土壇場で作戦実行ができなかったのは、政治家たちの弱気だとシュタウフェンベルクは発言、この後彼に全権が委ねられることに。

 しばらく後、再度暗殺のチャンスが訪れる。大佐は爆弾を会議の場に持ち込むが、予定されていた密室性の高い建物ではなく、窓のある建物での会議となる。大佐は作戦を実行、爆弾が爆破したことを確認、急いでベルリンに戻る。しかし同士である将軍はヒトラー死亡の確認が取れないことを理由に予備軍の出動を躊躇していた。それでも大佐の指示で予備軍が出動、首都を制圧し始めるが、ゲッペルス逮捕のために向かった少佐が生存していたヒトラーからの指示を受け、一気に状況は反転、反ヒトラー勢力は皆逮捕され処刑されてしまう。

 

 初見の映画だったが、見初めてヒトラー暗殺がテーマだと知り、「ヒトラー暗殺、13分の誤算」がすぐに思い出された。あちらは1939年の暗殺を扱った作品だったが、こちらは1944年が舞台。ヒトラーの最期の映画も観ているため、暗殺が成功しないのは知っており、さらに言えば、軍の中でも上位にいる人間たちが組織化され、暗殺を企む本作の設定はさすがに無理があるだろうと、ちょっと冷めた目で観ていたが、後半、ヒトラーを含めた会議の場にトムクルーズが爆弾を持ち込むシーンでは、さすがにドキドキし始めた。そしてあまりに日付や時刻を刻んで表示しているのを観て、これが実際にあった出来事なんだと気づく。このような大掛かりな暗殺計画が実行されていたことは全く知らなかった。

 映画の中でも語られているが、「『彼』以外にもドイツ人はいた」ということを知ることができたのは大きい。現在にも通じる言葉だろう。