不死身の保安官

●603 不死身の保安官 1958

 ジョナサンはイギリスで銃器販売をする伯父から今後の経営について問われ、販路を拡大するためアメリカで銃を売ると宣言、アメリカ西部に向かう。

 アメリカで駅馬車に乗っていたジョナサンは先住民に襲われるが、アメリカのことを何も知らなかったジョナサンは、駅馬車を取り囲んでいた先住民の一人に近づき、彼の持っていた斧を取り上げ、馬車を襲わないように説得し斧を返す。

 街に着いたジョナサン。しかしその街はTとSという2つの集団が覇権を争っていた。ジョナサンは会社が発明した腕の中に隠し持つ小型拳銃のおかげで、早撃ちガンマンだと誤認される。TとSの一派は、ジョナサンがどちらの味方をするのか注目。

 酒場で声をかけられたジョナサンは相手と酒を飲むが、それが元になり相手が撃ち殺されてしまう。ますます誤解されるジョナサン。町長はそんなジョナサンに保安官になるように依頼、酒に酔っていたジョナサンはそれを了承してしまう。

 保安官となったジョナサンを倒すために街に来た凄腕ガンマンに対しても、ひるむことなく説得を試み、小型拳銃のおかげで成功してしてしまう。それらを見ていたホテルの女性支配人ケイトはジョナサンに惚れ、拳銃の扱いを教える。

 ジョナサンは元々の目的であった銃の販売のため南の農家へ。そこでもTとSが撃ち合いをしていたが、ジョナサンは彼らに止めるように説得をする。その帰り道、ジョナサンは先住民に捕まってしまう。しかし前に助けたのが先住民の族長だったため、助かる。お礼にジョナサンは先住民に銃を売ることに。

 街に戻ったジョナサンはそのことをケイトと町長に話す。二人は先住民に銃を売れば街が彼らに襲われると恐れ、ジョナサンを非難する。その頃T一派が保安官とSを倒すために街へ集団でやってくると情報が入る。町長はTとSの戦いを恐れ、町民に街から逃げるように呼びかける。ジョナサンは彼らを説得しようと試みる。しかしジョナサンは、TとSの集団に囲まれてピンチに陥る。それを見ていた先住民が集団でジョナサンを救いに来る。ジョナサンは先住民と話し、TとSに武器を放棄するように話す。彼らはそれに従い、ジョナサンは彼らを留置する。TとSは今後争わないことを誓う。

 ジョナサンはケイトと結婚、ケイトの親として先住民の族長が式に参加する。

 

 ストーリーとしては上記の通りだが、本作は完全なコメディ。英国紳士でありながら、アメリカ西部の実情を全く知らない主人公が、イギリスの常識で西部の荒くれ者たちに立ち向かっていき、なぜか全てが上手く行ってしまう、という話。

 西部の人間たちがバカにして話す言葉をその通りに受け取ったり、撃ち合いをする人間の間に立って説得を始めたり、と荒唐無稽な展開が続くが、冒頭でなぜか銃器販売の会社でありながら発明好きな人間が揃っている?会社の発明品、腕に隠し持つ小型拳銃のおかげでそれがうまく行ってしまう可笑しさ。

 1950年代終わりの映画であるため、まだまだ西部劇が全盛の時代であっただろうに、イギリス人と先住民が正義の味方となり、街にいる荒くれ者たちを成敗してしまうというある意味コメデイの黄金パターンでもある。ヒロインであるケイト役の女優さんはまるでモンローのようで、お色気色もある。その他、ポーカーでなぜか犬の手助けを借り大勝ちしてしまうシーンや、主人公の身長体重を尋ねるのが葬儀屋だったり、とコント的な定番シーンもある。

 ある意味不思議な映画だと思ったら、監督がラオール・ウォルシュ。このブログでも取り上げた「決斗!一対三」や「遠い喇叭」など、ちょっとユニークな作品を作った監督さんだった。

 西部劇とコメディは相性が良いようだ。底抜けシリーズなど観てみたいが、できれば広川太一郎愛川欽也の吹き替えが良いなぁ。