ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

●407 ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 2017

 1996年海岸でゲーム「ジュマンジ」が発見される。男はそれを持ち帰り息子アレックスに与えたが、アレックスはその夜ゲームの世界に入り込んでしまう。

 2016年、高校生の4人組、ゲームオタクのスペンサー、アメフトに取り組むスペンサーの幼馴染フリッジ、今時の女子高生べサニー、根暗の女子マーサの4人は学校で問題を起こし、罰として倉庫の書類の片付けを命じられる。しかし4人はそこにあった古いゲーム「ジュマンジ」を始めてしまい、皆ゲームの世界に入り込んでしまう。

 4人はゲームの案内人からゲームの目的を教えられゲームを進める。途中アレックスも仲間にし、皆で協力してゲームをクリアする。元の倉庫に戻った4人だったが、アレックスがいないことに気づき、彼の家へ。そこには長いイアダ行方不明だったはずのアレックスが平和な家庭を気づいている姿があった。

 

 順番が逆になったが、「ジュマンジネクスト・レベル」の前の作品。1年前に観ていたが、今回改めて見直すことに。

 1年前に観たはずなのに細かい部分を忘れていた。「ジュマンジネクスト・レベル」でのいくつかのシーンは、この映画が元になっており、順番は逆だが大いに笑わせてもらった。

 次作に比べて、本作はゲームに取り込まれた4人の慌てぶりやゲームのルールを把握していくところが丁寧に描かれているため、やはり面白い。特にNCPをイジったシーンは大笑い。「勇者ヨシヒコ」にも同じような場面があったが、ゲーム好きにはたまらない。

 現実世界に戻ったラストも良い。スペンサーとマーサの恋よりも、大人になったアレックスと4人が会うシーンがジーンとさせる。まさにお手本のような娯楽作品。

 

家康(四) 甲州征伐 安部龍太郎

●家康(四) 甲州征伐 安部龍太郎

 前作に続き4巻目。章立ては、遠州出陣、勝頼の罠、高天神城、落城、武田家崩壊、信長最後の旅。

 前作最後で信長から息子と妻の自害を命じられた家康が、二人を失う。そしてその仇である勝頼を倒し武田家を滅亡させる。信長の野望は着々と進行していき、信長は甲州から凱旋とも呼べる旅を始めるが、これが信長最後の旅となるのだった。

 

 本作の見所は、家康と息子信康の最後に交わされる会話か。この小説の中では母の手紙を理由に勝頼から脅されていた信康が…というのが、真相とされていて、それに関して家康が信康になぜ自分に相談しなかったと問う場面。家康は妻や息子の助命の嘆願をするが、信長に認められたなかったことや信康の言葉に心を痛める。これが戦国時代の怖さなのか、信長の怖さなのか。

 武田家の最後も非情。正直武士はなぜ負けるとわかっていても戦ったのかというのがこれまで疑問としてあったが、戦わずして逃げた武将の最後がどうなるかをこのように読むと命をかけて戦った武士の理由が少し理解できた気がする。

 もう一つこの小説で驚いたのは、信長の策略。日本を強い国にするために天皇も巻き込んで国づくりをしようとしていた考え。外交でも力を発揮し、万全の体制を築くように思われるが。

 

 いよいよ次は本能寺。信長の言動も気になるが、その時家康は何を考えたのだろう。

 

 

過ぎ行く風はみどり色 倉知淳

●過ぎ行く風はみどり色 倉知淳

 倉知淳の猫丸シリーズ第2作で、前作と異なり長編。

 仕事を隠居した老人が屋敷の離れで殺害される。家にいたのは、老人の子供とその家族、怪しい霊媒師、霊媒師を偽物と疑う大学院生。霊媒師が殺された老人の霊を呼び出す降霊会を開くが、霊媒師が殺されてしまう。そして最後に謎解きをしていた大学院生も殺され…。

 

 久しぶりに推理小説の長編をガッツリ読んだ。6月の読んだ「顔のない男」も長編だったが、あちらはどちらかというと短編集が長編のテイを為しているといった感じだったので。

 屋敷で起こる密室?殺人、降霊の場で起きる不可能殺人、そして謎解きの場で起きる殺人、と3件の事件が発生。いわゆる古いタイプのミステリーの王道。しかも超心理学というワードまで出てきて、そちらの説明にも文章が割かれている。中学生の頃の自分だったら、間違いなくハマってしまう(笑

 さらに前作でも作者がみせた凝った作りは健在。この小説の一番のトリック?が明かされる場面は、まさに推理小説の醍醐味といったところか。ただ前作同様、全体的にちょっと無理のある推理や展開もあるが、このトリックの驚きがそれをカバーしている。小説の章立て?が怪しいので最初からそこが気にはなっていたが、見事に騙された感じだが、不快感はない。

 

 猫丸探偵のキャラも相変わらずで面白い。続編を読んでみたくなるのは仕方なし。

 

ジュマンジ/ネクスト・レベル

●406 ジュマンジネクスト・レベル 2019

 前作でゲーム「ジュマンジ」で仲良くなった4人は大学生になっており、久しぶりに再会することに。しかしその場にスペンサーがやってこなかった。彼はNYの大学に行ったが生活に馴染めず、「ジュマンジ」を修理しその世界へ入ってしまっていた。それに気づいた3人は彼を助けるために「ジュマンジ」の中へ。しかしべサニーは現実世界に残ってしまう。さらに、その時に家にいたスペンサーの祖父エディとその友人マイロも「ジュマンジ」の世界へ。

 べサニーは仲間を助けるため、前作で知り合ったアレックスの力を借り、一緒に「ジュマンジ」の世界へ入る。6人が力を合わせて「ジュマンジ」からの脱出を図る。

 

 前作を去年観たが、ブログに書いていなかったようだ。Amazonプライムでの配信がそろそろ終わりになるということで観た。順番は逆になるが続編の本作から。

 前作はゲームの世界に迷い込んだ4人の仲間が力を合わせ脱出をし、その過程で仲良くなるというもの。今回はその続きだが、前作で主人公的に(ゲーム内で)活躍した彼が実生活で自信を失い、またゲームの中に入り込んでしまうという展開。さらに続編であることから、新しいキャラ(老人2人 笑)が加わり、ゲームの難易度は上がったように思う。映画としては、続編でもあり新キャラもいることをうまく利用し、説明的な部分を省略しテンポよく話が進む。

 一方で、仲違いしている老人2人の思いを描く。遠距離恋愛となった主人公カップルのこともあるが、どちらかと言えば、老人2人の方が主役的な扱いに。仲違いの理由はなかなか明かされないが、それが明かされると同時に、「生きがいとは」「老後の人生とは」というテーマが語られ、ゲーム内の世界というハチャメチャなストーリーに重みをもたらしていて、それが成功している。

 人数が増えた分、あっさりとゲーム内でキャラが死ぬことが多くなった気もするが(笑 残りのライフポイントが1つになってからが勝負だから仕方なし。

 ゲーム内ラストの老人たちの会話や、現実世界に戻った祖父の言動などしっかりと作り込まれている。エンドロールが始まってから描かれるラストのシーンは、さらなる続編への布石か?

 

エアフォース・ワン

●405 エアフォース・ワン 1997

 カザフスタンでラデク将軍が拘束される。アメリカとロシアの合同作戦だった。3週間後、モスクワで開かれた晩餐会でアメリカのマーシャル大統領はスピーチで今後もテロには屈しないと宣言する。

 大統領はエアフォースワンアメリカに戻ろうとするが、機がテロリストたちにハイジャックされてしまう。大統領側近の1名がテロリストに加担していた。テロリストたちはロシアのTVクルーに扮していた。

 パイロットはハイジャックされたことを知り、ドイツの空軍基地に緊急着陸を試みる。大統領は脱出ポッドで機外へ。ホワイトハウスにも幹部が召集される。空軍基地に緊急着陸をしようとした時、テロリストたちが操縦室へ侵入、機を再離陸させる。ホワイトハウスでは対応を協議、核ミサイルのコードの変更も行う。脱出ポッドが発見されるが、中に大統領はいなかった。大統領は脱出せず機内に残っていた。

 テロリストはホワイトハウスと交渉を始める。要求はラデク将軍の解放であり、要求が通らなければ30分ごとに人質を1名殺すと予告する。さらにホワイトハウスには脱出ポッドに大統領がいなかったことが知らされる。

 大統領は隙を見てテロリストの1名を殺し銃を奪うが、銃声により他のテロリストに存在がバレてしまう。大統領は貨物室へ逃げる。ホワイトハウスの副大統領はロシアにラデク将軍の解放を要求するが、断られる。30分が経過し最初の人質が射殺される。

 大統領は貨物室で衛星電話を発見しホワイトハウスと連絡をする。しかし会話しているところをテロリストに見つかってしまう。大統領は電話を繋げたまま、戦闘機にエアフォースワンを攻撃させることを指示。戦闘機がエアフォースワンを攻撃した瞬間にテロリストを倒し、ホワイトハウスに機を着陸させると宣言する。大統領は機の燃料を放出させることを思いつくが、テロリストは機内放送で人質の命を交換に貨物室から出てくるように言う。しかし大統領は出られず二人目の人質が射殺される。

 大統領は燃料放出の手順を電話で聞きながら操作するが、電話の充電不足で会話途中で切れてしまう。それでも燃料放出に成功する。テロリストは燃料放出に気づき、ホワイトハウスへ空中給油の要求をする。

 大統領はテロリストを拉致、人質たちのいる部屋へ入ることに成功する。そこで空中給油をする際に高度と速度を落とせば、人質たちをパラシュートで逃がすことができることを進言されそれを実行するために、ホワイトハウスへfaxを送信する。ホワイトハウスでは大統領解任させる動きが出始める。

 空中給油機が到着し、人質たちはパラシュートで逃げ始めるがテロリストたちに気づかれ銃撃戦となり、機内に残った人間は捕まってしまう。機はカザフスタン領空に近づき、テロリストは戦闘機を帰らせることを要求する。テロリストは大統領と対面、ラデク将軍の解放をロシアに要求するよう指示するが、大統領は拒否。テロリストは大統領の娘を射殺すると脅し、大統領はロシアに将軍の解放を要求、将軍は解放されることに。

 大統領は一瞬の隙をつきテロリストに襲いかかり彼らを倒す。しかしリーダーが妻を人質に逃げる。彼はパラシュートを捨て自分だけが助かるつもりだったが、大統領は彼も倒し、ラデク将軍の解放を停止するように連絡、将軍は射殺される。

 パイロットを失ったため、大統領が指示を受けながらエアフォースワンを操縦する。しかし機をラデク将軍の配下の戦闘機ミグが狙う。ホワイトハウスはF15を向かわせ、ミグを撃退する。それでもエアフォースワンは損傷を受けたため着陸が不可能となった。機のそばを飛んでいた輸送機がエアフォースワン接触、ロープを使って空中救出を行う。しかし最後まで生き残っていたテロリストに加担した側近が大統領の脱出を阻止しようとする。大統領は彼も倒し脱出、輸送機に回収される。

 

 久しぶりにテロリストものというか、ハイジャックものを観た。見事な娯楽作品、といった感じ。最初の30分でドイツ空軍基地での再離陸まで一気に話は進み、話に引き込まれる。大統領が機内に残っていることが判明した後は、ちょっと進行がグダグダしていくが(笑 それでもテロリストとの戦いやホワイトハウスの内情など、展開は面白かった。

 テロリストは極悪に描かれており、テロに屈しないと宣言した大統領との対決が見せ場なのだろうが、家族を人質に取られあっさりと要求を飲んでしまうのはこれもまた見せ場なのか(笑

 娯楽作品として面白かったが、それでもどうしても納得できないのは、大統領側近でテロリストに加担した人間が、機内で人質がパラシュートで脱出する際などにどうしてテロリストに通じなかったのか、という点。冒頭のハイジャックするシーンと、最後の最後の脱出シーンでしか行動を取らなかった理由がよくわからない。

 まぁ細かいことを言っても仕方ないのか。しかしとうとうハリソンフォードは大統領にまでなってしまったのか(笑

 

日曜の夜は出たくない 倉知淳

●日曜の夜は出たくない 倉知淳

 カズレーザーがオススメの本という事で読んでみた。例の「五十円玉二十枚の謎」がらみでデビューした作家さんらしい。

 7編プラスαある短編集。

 とにかく話の組み立てが独特であり、思わず引き込まれてしまう感じ。短編ごとに様々なシチュエーションがあり楽しめる。さらに小説の中でも書かれているが、それぞれの短編の殺人方法が全て異なったり、最後の最後でマニアックすぎる暗号が出て来たり。さらにさらにどんでん返しまである。

 まず話の組みたてについて。最初の短編「空中散歩者の最期」ではSFチックな夢の話から始まるので、そっち系の小説なのかと思いきや、場面は一転、刑事たちの捜査場面に移る。かと思うと次の「約束」では、少女と公園にいるおじさんの話になったり。さらに3つ目の短編では、どこだかわからない方言を使った昔話から話はスタートし、その後若者二人のナンパ話へ展開していく。

 ホント話の作り方が上手いというか何というか。名探偵役の猫丸先輩も常に登場。上記した様々なシチュエーションの話でありながら、そこは統一されており、こちらも安心して読むことができる。

 ただこの探偵がいわゆる安楽椅子型のため、推理にちょっと無理があるなぁと思ったりもするが、そこは宿命であり仕方なしか。

 さらに言えば、小説のラストで明かされるマニアックすぎる仕掛け、暗号はまだしも、その後のどんでん返しはやり過ぎの感じがする。でもまぁこの頃は「新本格」が動き出した頃だから仕方ないのか。

 とりあえず同じ猫丸先輩シリーズがまだ何冊もあるようなので、そちらも読んでみよう。

 

家康(三) 長篠の戦い 安部龍太郎

●家康(三) 長篠の戦い 安部龍太郎

 前作に続き3巻目。章立ては、再起への道、信玄死す、勝頼南下、長篠の戦い、戦の後、伯父信元。

 前作最後で、三方ヶ原の戦いで敗れた家康。武田の動きを恐れるが、武田側から和睦の申し入れが行われるが家康は拒否、信玄の身に何かあったのかと考え始める。そして信玄の死。それでも勝頼が信玄の後を受け、徳川の地へ攻め入って来て、長篠の戦いが起こる。ラストは信長からの信元への自害命令。

 

 本作の見所は、「戦の後」の章。長篠の戦いの後の戦場のリアルが描かれる。対武田との戦いに勝った家康だったが、そこに笑顔はない。さらに信長からは、三河を取り上げられてしまう。そこには信長の目論見があった。

 「戦国時代モノ」の本では、いろいろな戦いを勉強したが、戦いの後のことまで書いたものはなかった。戦場に横たわる多くの死体の描写があまりにリアル。そしてその後始末まで。そうだよなぁ、1500年代後半だけで多くの戦があったが、ひとつひとつの戦でこんなことが行われていたんだと思うと寒気がしてくる。

 しかしその後信長から世界情勢と日本の国内情勢についての話を聞いて驚く家康。どこまでがノンフィクションなのかわからないが、信長の野望〜ゲームみたいだ(笑 〜のスゴい事。先見の明とはまさにこれ。現代の組織でも同じことが言えるのかも。組織の管理者がどれだけ先を見通して事を成すか、という事だろう。

 そして最終章の水野信元への処遇。これも信長の非情さを物語る一方で、家康の苦悩も手に取るようにわかる。これが戦国時代の怖さなんだと実感。

 

 物語の年数もだいぶ進んで来ている。あくまで主人公は家康だが、その家康に大きな影響力を持っている信長の最期まで後数年のところまで来た。さて次なる話は…。