絶唱

●297 絶唱 1975

 ナレーションから始まる〜谷一番の分限者園田の若様に綺麗な花嫁が来るが、花嫁はその時既にこの世の人ではなかったと聞いた。

 昭和17年、山陰地方のある地方。小雪は実家に帰って来る。驚く両親が理由を聞くと「旦那様と若様が私のために喧嘩をした」と答える。

 園田家では若様こと順吉が奉公人に、旦那様に謝るようにお願いされていた。順吉は小雪との結婚を望んでおり、父親が連れてきた相手の前でそれを言ったのだった。順吉はそのまま家を飛び出してしまう。父親惣兵衛は、順吉の結婚相手にするつもりだった美保子とその父の訪問を受けていた。

 小雪は家で泣いていたが、順吉の足音を聞き、家を飛び出す。順吉は小雪の後を追い、結婚の約束をする。

 順吉は読書会の仲間たちに自分と小雪とのことを話す。皆の応援を受け、順吉はこれからは自分の力で生きて行くと話す。その時、外では戦争へ行く兵隊の見送りが行われる。

 京都の学校に戻った順吉は、美保子の訪問を受ける。父惣兵衛からの手紙を受け取り、順吉は実家に戻ることに。

 その頃小雪は土地を離れるよう両親から言われていた。夜小雪は順吉への手紙を書き、順吉の部屋の窓へ放り投げる。しかし順吉はそれに気がつかなかった。

 小雪が土地を離れる日、小雪はその準備をしていたが、順吉の足音を聞き家を飛び出す。そして2人は駆け落ちをすることに。2人は日本海砂丘に挟まれた小さな街に落ち着く。順吉は運送屋の仕事を始めるつもりだった。2人の下宿へ読書会の仲間たちが祝福にやって来る。

 小雪の両親たちは村八分の扱いを受けていた。それだけではなく、小雪は魔性の女だと噂されていた。

 順吉は稼ぐために他の仕事も始める。そんな2人の元へ読書会の仲間たちにも召集令状が届いたと知らせが入る。戦時下の状況はだんだんと酷くなっていた。そして順吉にも召集令状が届く。読書会の仲間である教師大谷が、惣兵衛のところへ順吉の送別会を実家でやってあげて欲しいと頼みに行く。しかし惣兵衛は、小雪と別れることを条件としてあげる。仲間たちはささやかな送別会を順吉の部屋で行い、小雪は木挽歌を歌う。

 順吉は戦場へ、小雪ヨイトマケの仕事を始めるが、毎日午後3時に木挽歌を一緒に歌うことを約束していた。戦果はどんどんと酷くなって行く。小雪は力仕事も始める。そんな小雪の元へ読書会の仲間たちの戦死報告が届く。

 小雪は看護婦の仕事も始めるが病気にかかり、血を吐くようになっていた。そんな小雪の元へ木こりの吉原がやって来る。そして順吉から手紙が来て、戦争から帰ったら頭を下げて実家へ戻る、と書いて来たと話す。小雪は手紙を見せて欲しいと頼むが、惣兵衛に渡してしまったと答えられる。小雪はショックを受ける。しかし実は吉原は惣兵衛からそう話すように仕向けられ、断れば森での仕事ができなくなるため、話した嘘だった。

 昭和21年、戦争が終わり兵隊たちが帰って来るが、順吉は戻ってこなかった。小雪は重い病にかかっていた。そんな時に惣兵衛が亡くなる。知らせを受けた小雪の母親はこれまで園田家に気を使って小雪の見舞いに行っていなかったが、これで見舞いに行けると喜ぶ。

 小雪の元へ吉原が惣兵衛が亡くなったことを告げに来る。知らせを聞いた小雪は涙を流す。そして吉原がついた嘘も許す。小雪の症状は悪くなって行く。読書会の仲間たちがお見舞いに来て、大谷が結婚することを話す。小雪は自分の子供用に作っていた赤ちゃん用の服を2人に贈る。その時小雪の両親も見舞いにやって来る。母親が作った葛湯を口にした小雪は、順吉の足音が聞こえると言い出す。そして順吉がやって来る。小雪は山へ帰りたいと話し、亡くなってしまう。

 順吉は小雪の葬式と自分たちの結婚式を同時に行うことにする。小雪に花嫁衣装を着せ、園田の家に戻理、式を挙げる。そして夜、小雪を連れて山へ行き、木挽歌を一緒に歌う。

 

 「伊豆の踊り子」「潮騒」に続く百恵友和シリーズの3本目。「踊り子」がストレートな初恋を、「潮騒」がどストレートなハッピーエンドを描いていたとしたら、この映画は、どストレートな悲劇を描いていると言える。身分違いの許されない恋。これがメインテーマなのだろうが、もう一つ、しっかりとした反戦映画だとも言える。許されない恋をした2人は駆け落ちをして、何とか生活を成り立たせるが、結局戦争がその幸せを奪った、とも言えるのだから。

 3本目にして悲劇となるのは、百恵ちゃんの演技が認められてきていた、ということなのかしら。wikiで見るとこのころは1年に2、3本の映画に出ていたみたいだし。ネットで見ると、多くに人が百恵ちゃんの薄幸の美人ぶりを皆絶賛していて、この映画を観てなるほどと納得した。やっぱりこの先のシリーズも観ちゃうよなぁ。

 で蛇足。また中村伸郎さんがちょい役で登場。「日本沈没」でも書いたが、この人は1シーンでも本当に印象に残る。もちろん他の共演者も昭和の名優さんが多いことは承知の上で書くのだが。

 

絶唱

絶唱

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video