ようこそ授賞式の夕べに 大崎梢

●ようこそ授賞式の夕べに 大崎梢

 「成風堂書店事件メモ」シリーズの第4作、前作が短編だったが、今回は長編に戻った。これで短編集2作、長編2作に。

 

 前の長編「晩夏に捧ぐ」は、成風堂を飛び出し、地方の書店へまで出向く4日間の話だったが、今回は書店大賞開催日の1日の話。事件の発端から解決までが1日! 前回の4日間ではバタバタとした感じが否めなかったが、今回は章が時刻仕立てになっており、だんだんと書店大賞授賞式開幕の時間が迫ってきている感じがして、スリリングだった。ただ前回長編に比べると、横溝正史っぽさはほとんどなくなってしまったが(笑

 もう一つ展開がスムーズに感じられたのは、終盤までふたつの話が同時進行していったからだと思われる。いつもの杏子と多絵のコンビからの視点と、出版社営業部員たちからの視点のふたつからだったため、ダラダラもせず、しかも読者だけが全ての情報を得られるという側面もあった。

 出版社営業部員達による、覆面作家の正体推理などのエピソードも面白く、なおかつそれが最後の伏線回収にも繋がっていたのはさすが。

 

 この作品が成風堂シリーズの最新作のため、続きは読めないが、今回登場した出版社営業部員の一人井辻智紀を主人公にした別シリーズがあるみたい。

 って、その別シリーズが先に書かれていたのか!で2つのシリーズの主人公達がこの作品で出会うのね。だから「邂逅編」なのか。しまった。読む順番を間違えた!

 

螺旋階段のアリス 加納朋子

●螺旋階段のアリス 加納朋子

 加納朋子の新しいシリーズものを読みたくなって選んだ。

 7編からなる連続短編集。「螺旋階段のアリス」「裏窓のアリス」「中庭のアリス」「地下室のアリス」「最上階のアリス」「子供部屋のアリス」「アリスのいない部屋」の7編。

 早期退職した仁木は私立探偵事務所を開く。そこへ一人の若い女性安梨沙がやってきて、探偵助手になってしまう。

 

「螺旋階段のアリス」〜ダイエットしている妻が亡夫の隠した鍵を探して欲しいと…

「裏窓のアリス」〜妻が自らのアリバイ調査を求めてくる

「中庭のアリス」〜裕福な老婦人がいなくなった愛犬探しを依頼してくるが…

「地下室のアリス」〜仁木の元勤め先の地下倉庫で鳴る電話の謎

「最上階のアリス」〜仁木の大学時代の先輩が妻の頼み事の意味を調べて欲しいと…

「子供部屋のアリス」〜産婦人科医から赤ちゃんの面倒をみることを依頼されるが…

「アリスのいない部屋」〜安梨沙が行方不明に。その夫や父が現れるが…

 

 おっさんの探偵と若い女性の助手という組み合わせ。多くの推理小説で使われる設定で気楽に読めるだろうと読み始めたが、最初の「螺旋階段の〜」を読んで少しガッカリ。事件そのものは全く面白くもなく、まるで映像化を狙ったかのような展開だっため、加納朋子さんもそういう路線を狙ったのかしら、と思ってしまったから。

 しかし読み進めて行くと、有名な「アリス」物語が微妙に話が絡んできたり、安梨沙自身の謎が少しずつわかってきたりで、俄然面白くなってくる。

 現代の探偵事務所で2人組、ということで、乾くるみの「カラット探偵」シリーズを思い出した。あちらもこちらも、持ち込まれる事件はいかにも現代っぽく、いわゆる推理小説っぽくないところが似ている気がする。

 それでも「裏窓〜」「中庭〜」「最上階〜」など、事件そのものやその解決などより依頼人とその人間関係にドキッとさせられる話が多く、さすが加納朋子さんらしい。

 ラスト、行方不明になってしまった安梨沙は戻ってきたのか?続編があるようなので早速読んでみよう。

 

刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #09 地獄の麻薬おとり捜査

●刑事スタスキー&ハッチ 第1シリーズ #09 地獄の麻薬おとり捜査

 

あらすじ

 スタハチは、オブライエンとラファティという偽名を使い、麻薬組織を捜査する。運び屋として捕まったシャールという女性とともにダナーの組織と麻薬取引を始めるが、ダナー本人と接触ができずにいた。2人はシャールの提案で最後の賭けに出る。

 

ストーリー

 スタハチの二人がテキサス風の服装に変装、車も変え、スタスキーは金を数えていた。彼らは路地裏に入り、待っていた車の男に金を渡し、ブツを受け取る。その時警察が来たため、3人は逃げるが捕まってしまう。

 警察へ連れて行かれた3人、ハッチはオブライエン、スタスキーはラファティという偽名を使い、シカゴから出て来たことになっていた。スタハチはボビー主任により解放されるが、地元警察の了解を取らずに動いたため怒鳴られる。地元警察も麻薬取引をしているダナーを追っていたのだった。しかしドビー主任は、今回が初犯で2キロのブツを持っていたため逮捕した女シャール・ウェイトを検察が交渉し、協力を求めていると話す。

 スタハチはシャールを釈放、食事をする。2人はシャールに、彼女が捕まってまだ2時間のためだなーは気づいていない、何もなかったふりをしてブツを届け、スタハチ(オブライエンとラファティ)がブツを欲しがっていると伝えてほしいと告げる。しかしシャールはだなーは売り買いの場に出てこない、自分の相手はコニーという男だと話す。コニーと取引を始め、最終的にはダナーを捕まえる、それが成功すればシャールは執行猶予という筋書きだった。シャールは了承する。

 シャールはダナーの切手とコインの輸出業をする商事会社を紹介、その際ダナーを見かけ側近のショックリーをハッチが捕まえたことがあることが判明する。

 スタハチはコニーに接触、0.5kgを買おうとするが3万ドルとふっかけられる。相場より5000ドルも高いと文句を言うが結局取引をすることに。スタハチは2人と別れる。シャールがコニーに女友達のジョアンヌのことを尋ねるがはぐらかされてしまう。

 その頃ダナーはこの世に2枚しかない切手の1枚を手に入れ喜んでいた。彼は切手を手に入れるため21万2000ドルを支払っていた。それは1859年のハワイの切手だった。ダナーはビリーからオブライエンとラファティのことを聞く。2人がすぐに釈放されたことからバックに大物がいるということ、2人はシャールからのツテで話を持ち込んだことなど。話を聞いたダナーは2人とシャールを見張り、怪しければ消せと命じる。

 スタハチはコニーに接触、次は1キロ欲しいと交渉、6万5000ドルと言われハッチが怒るが、結局今回も買うことに。スタハチはヒョロ松の店でドビー主任と会い、1万5000ドル足りないと告げるが、主任は高額のためFBIの協力が必要になると話す。スタハチはFBIの介入を好まず、5万ドルで話をつけることに。

 スタハチはシャールとともにコニーの家へ。ブツを受け取るが5万ドルしか払わなかった。スタハチはこれ以上関わると危険だと考えシャールを解放することに。シャールの家をコニーは知らないことを確認する。ビリーはダナーに2人のことを報告する。その際ダナーはビリーにシャールのことをしっかりと教育しろと命じる。

 スタハチはシャールの家へ。そこでシャールの身の上話を聞く。彼女は田舎から出て来てビリーと知り合ったと話す。ビリーとはビリー・ハークネスと言いダナーの右腕と呼ばれる男だった。そして運び屋になり途中で逃げ出そうとしたが、女友達のジョアンヌと同居しており、彼女も運び屋をしてヤク漬けにされ、最後は売春までさせられ1ヶ月前から姿を消してしまっており、シャールは怖くて逃げ出せなかった。ハッチはジョアンヌの写真を借りる。

 スタハチは麻薬Gメンに会いに行くためシャールの家を出るが、外ではビリーが待っていた。ビリーはシャールに会いに行く。

 スタハチはヒョロ松の店で麻薬特捜班のカーターと会い、次の取引に必要な25万ドルの協力を申し出て了承されるが、必ず連絡をよこすように言われる。ドビー主任はシャールのことを心配するので、ハッチが身柄の保護を頼む。そしてジョアンヌの写真を見せ調査を依頼する。店を出たスタハチをコニーと仲間たちが待っており格闘となるが、コンビ技でぶちのめす。二人はその足でシャールに会いに行く。シャールはビリーに暴力を振るわれ、これ以上関わるのを恐れていた。ハッチはシャールを自分の家に匿うことに。そしてビリーの家へ行き、脅されてシャールがビビってしまったこと、次回はダナーと直接取引で5キロを25万ドルで買うと話すが、ビリーはダナーは取引場所には来ないと答える。それでも毎週5キロを買うからと話し了承させる。取引場所はマウンテンビューの倉庫、明日朝10時と決まる。

 翌朝スタハチは倉庫へ。しかしハッチは麻薬Gメンに間違った場所を教えてしまっていた。倉庫にはビリーと仲間たちがおり、銃撃戦とな理、ビリーは仲間の銃撃で死亡、2人はなんとか倉庫から逃げ出す。ヒョロ松の店で麻薬Gメンカーターに間違った場所を教えたことで怒鳴られ、25万ドルを返す。

 スタハチとドビー主任は今後どうするか話し合う。スタスキーは右腕ビリーが死んだ今ダナーが出てくると考えるが、主任は別の方法が必要だと話す。さらにジョアンヌの遺体が海に打ち上げられたので、シャールに身元確認をしてもらおうと話す。

 スタハチはシャールとともに身元確認へ。そしてシャールに何か手はないかと尋ねる。するとシャールがハワイの切手が使えると話す。そしてシャールがダナーに電話をしハワイの切手と交換に今後の取引をと話す。ハッチはショックリーのことを心配するが、主任は釈放まで3、4時間かかるだろうと話す。警察がショックリーを逮捕に向かっていた。

 しかし警察に連行されショックリーは弁護士と会い釈放をされることにスタハチとシャールはダナーの屋敷へ。ドビー主任、麻薬Gメンカーター、警官たちが屋敷の前で待機する。スタハチはダナーに会い切手を見せて取引をする。しかしそこへショックリーが戻って来たため、乱闘になる。切っても無事見つかる。

 シャールの家でスタハチは旅へ出るシャールを見送る。

 

今回の登場人物

変装したスタハチと麻薬取引をする売人

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スタハチに協力する運び屋シャール

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シャールへの指示係コニー

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組織のボス、ダナー(左)とその右腕ビリー(右)

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麻薬特捜班カーター

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シャールの友人ジョアンヌ(写真の女性)

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ダナーの側近ショックリー 右はショックリーと弁護士

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今回の捜査

シャールに事情を説明したレストラン

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ダナーの会社が入るビル

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ダナーが入手したハワイの切手(最後にもう1枚登場する)

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ヒョロ松の店を出たところで待ち伏せされ、格闘になる

スタさんが声をかけ、プロレス技のように悪漢をぶつけ合うスタハチ

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今回のスタハチの扮装

番組開始直後に登場する扮装したスタハチ

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麻薬取引を警察に見つかり、逃げる二人

(右 ハッチが買ってきた靴が合わず、手に持って逃げるスタさん 笑)

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扮装バージョン その2

(コニーに2回目の取引を持ちかける場面)

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今回のドビー主任

警察に逮捕されたスタハチ。ドビー主任のおかげで解放され、捜査を続行しようとするが、ハッチが逮捕されたのにすぐ釈放となるとダナーに疑われるのではと心配すると…

 

ハ「俺たちがすぐ釈放されたら、奴らたまげますよ」

ド「ふっ、コネがあると言っとけ」

 

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意外に無茶を言ってニヤッとするドビー主任

 

 

スタハチが警察に顔を出せないため、ヒョロ松の店で会うことに。

極秘任務のため、ヒョロ松を遠ざけるためにワンタンを頼んだが、本当にワンタンが出てきて驚くドビー主任

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ダナーを引っ張り出すために高額の取引をすることになり、麻薬特捜班の協力を求めることになる。特捜班のカーターから25万ドルを出してもらうことになり、スタハチがカーターの言うことを素直に聞くが…

 

ハ「(ドビー主任の顔を見て)おっかねぇ。(スタさんに)顔見な」

ス「持ち逃げすると思ってるのかな」

ド「今日は随分素直だな」

ス「なんだよ親父さん、Gメンに愛想よくしちゃいけないの?」

ド「おいオブライエン、ラファティ

ス「俺ラファティ、こっちがオブライエン」

ド「25万ドル都合してもらうからってペコペコするんじゃない」

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主任にドヤされ見つめ会うスタハチ

 

今回のお笑いシーン

スタハチがオブライエン、ラファティと名乗るが、それを何度も間違えられるシーンがある。このように同じ笑いを繰り返すのが、「スタハチあるある」。

 

スタハチ以外では、ラスト、ダナーをおびき出すために高額の切手を利用するが、格闘によりその行方がわからず、慌てふためいた後、特捜班のカーターがそれを発見する。その時の笑顔がコレ。

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今回の懐かしい風景

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スタハチが最初にコニーに接触をした場面。当時のゲームセンターだと思われる。ピンボールが数多く並んでいるのがアメリカっぽい。

 

 

今回のまとめ

 刑事物の定番?と言える変装もの、潜入捜査もの。スタハチがテキサスから出てきたチンピラのような格好をしているのが可笑しい。ここ2話ばかり、ちょっと暗めの感じの話が続いたので、一気に明るく巻き返した感じか。

 結果的にスタハチを手伝うことになるシャールが登場するが、彼女の友人は殺されてしまうが、実質的にその友人はドラマには登場(写真のみ)しないことや、シャールも暴力を振るわれるが、命に別状はなく、ラストは彼女の明るい姿で終わるところも良い。

 

 余談その1。

 冒頭、捕まったスタハチが警察での質問に答える場面。

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 これは後のOPで使用される場面。現時点で第1シーズンでは使われていない模様。そう言えば、7話のラストで書いた7話に登場するスタさんが走ってくるシーンが、この話ではOPに使用されていた。ってことは、この場面もこの後使われるかも。

 

 余談その2。

 前回の8話のラストで書いた、謎の登場人物「アンジー(Angie)」。ヒョロ松の店のコックだと推測したが、それだと思われる人物が今回無意味に2回も登場している。

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 スタハチとドビー主任が警察で会うわけにいかないため、ヒョロ松の店で会うのだが、会話をする3人の中を割って入るようにコック姿の男性が通り過ぎる。この人がアンジーだと思われるが、今回は劇中名前を呼ばれることもなく、ラストの字幕にも名前がなかった。なんなんだ、一体(笑

 

 

地獄の7人

●431 地獄の7人 1983

 1972年ベトナム戦争前線でアメリカ軍はヘリによる撤退をしていた。フランクは負傷した兵を助けようとしヘリに乗ることができなかった。

 1973年ベトナム戦争が終わり帰還兵がアメリカに戻ってくる様子をローズ大佐はTVで見ていた。息子のフランクは行方不明者となっていた。彼は幼い頃の息子の幻影を見るまでになっていた。

 1977年ローズはタイでフランク探しをしたり、政治家に接触しようとしたがフランクは見つけらなかった。

 1982年ローズは軍関係者から捕虜収容所の写真を見せられ、そこにフランクが所属した部隊の印があることを教えてもらい、フランク救出のために動き出す。

 フランクの仲間を5人集め、同じくフランクと同じ部隊にいて未だ行方不明の息子を持つマクレガーの資金援助もあり、テキサスの地で訓練を始める。5人の他に若い教官も1人仲間に入れる。そして実際の捕虜収容所と同じ配置のキャンプで訓練を続け、救出作戦を計画する。

 彼らはバンコクへ。しかし彼らの動きを知った当局の手により武器は没収されてしまう。ローズは現地の武器商人からなんとか中古の武器を購入、麻薬商人だったイャンとその家族とともに捕虜収容所へ向かう。

 現地でヘリを強奪する予定だったが、場所が移動されており時間がかかり、救出作戦は計画通りに進まない。それでも彼らは捕虜収容所を襲い、アメリカ人捕虜4人を救出する。仲間の何人かが倒れる中、無事ヘリで脱出。しかし捕虜の中にフランクはおらず、ローズはフランクに助けられたマクレガーの息子からフランクの死亡を告げられる。

 アメリカに帰国後、捕虜たちは大歓迎を受け、ローズは妻に迎えられる。

 

 ベトナム戦争の一つの悲劇をテーマにした映画。「ランボー」を思い出させる内容だが、本作の方がランボーより2年先に製作されていた(笑 ランボーはシリアスな作品だったが、本作は定番の仲間集めから始まり、和やかな雰囲気がある訓練風景もあるため、あまりシリアスさは感じられない。それでもラスト30分の救出劇は、なかなか迫力のある映像だった。

 ベトナム戦争終結から10年目ということで製作されたのかもしれないが、反戦のメッセージ性はあまり感じない。ただ途中ジーンハックマン扮するローズ大佐が、国が捕虜救出のために何も動いていないことを話す場面はそれを感じさせるけれど。

 ラストの救出劇が良かったのが、のちのランボー製作につながったのかしら。

 

マラソンマン

●430 マラソンマン 1976

 男が銀行の貸金庫から小箱を取り出し、それを通行人に渡す。男は車に乗るが、街中でエンストし、後続車と口論になる。男がドイツ人だとわかり後続車が煽ってきて2台の車は激突炎上、男は死亡する。

 大学生ベーブはジョギング中にその事故を目撃、家でニュースを詳細を知る。

 パリでドクが男が貸金庫から取り出したと思われる小箱をお菓子箱に隠し宝石店のルクレールへ渡す。ドクが店から出ると待たせていたタクシーの側で爆発事故が起きる。

 ベーブは担当教授に論文について聞かれる。教授はベーブの父に世話になったことを話す。ベーブの父は拳銃自殺していた。

 ドクはピーターと接触、狙われていることを話す。ドクはルクレールに言われたオペラを観に行くが、そこでルクレールは殺されていた。ドクはホテルに戻るが、ずっと彼を監視していた男に襲われてを負傷するが、男を倒す。ドクはピーターの元で医者の治療を受ける。そこでドクはゼルの兄が交通事故で死亡したと告げられる。

 ベーブは大学の図書館でエルザという女性と知り合いアタックする。二人はデートを重ね親密な仲になる。その頃南米から白髪の男性がアメリカへ旅立つ。彼は飛行機機内で髪の毛の一部を剃り変装をする。

 ベーブはエルザと公園にいるときに暴漢に襲われる。そのことを兄に手紙で知らせる。すると兄ドクがベーブの部屋へやってくる。ドクはエルザと会うが、その場でエルザがスイス人と嘘をついていることを見抜く。

 ドクは白髪の男性と対面する。ドクは弟に手を出すなと怒る。男性はゼルだった。ゼルは銀行を出た後の安全についてドクに聞くがドクは相手にしないとゼルはドクを刺してその場から立ち去る。

 ベーブは部屋でエルザから電話を受ける。その後、大怪我をしたドクがやってきてそのまま死んでしまう。警察が部屋に来るが、ピーターも現れ、ドクの仕事のことを話す。ドクもピーターも国の秘密組織で働いていること、ドクを殺した犯人をおびき出すためにベーブに囮になってほしいことを話す。

 その後部屋で一人でいたベーブを2人組が襲う。そしてベーブは拉致され、ドクから何を聞いたかとゼルに拷問を受ける。何も聞いていないベーブは答えられなかった。ベーブをピーターが助けに来て、2人組を殺しベーブを連れて出る。車の中でピーターは、ゼルは元ナチスの軍医で違法に集めたダイヤなどを持って南米に潜んでいたこと、ダイヤは銀行の貸金庫に預けてあったこと、ゼルの兄がその運び屋をやっていたが事故で亡くなったこと、ベーブの兄ドクが組織に潜入したスパイだったこと、などを話し、ドクから何か聞いていないか改めて尋ねる。それでもベーブが何も聞いていないと答えると、車は元の拉致された場所へ。

 さらにゼルにより拷問を受けるベーブだったが、何も答えない彼が本当に何も知らないと判断したゼルは、彼を殺すように指示。2人組はベーブを連れ出すが、隙を見てベーブは逃げ出し、エルザに連絡をする。エルザがとある家へベーブを連れて行く。ベーブはエルザもゼルの一味だと気づく。そこへピーターと2人組がやって来る。話し合いを始めるが、銃撃戦となり、ベーブはピーターを射殺する。

 ゼルは銀行へ行く前にダイヤの値段を確かめようとユダヤ人街を歩くが、そこで何人かに元ナチスだと見抜かれ逃げることに。そして銀行へ行き自分で貸金庫からダイヤを取って来るが、銀行の外に拳銃を持ったベーブが待っていた。彼はゼルを施設へ連れて行く。ゼルの袖口に隠されたナイフで格闘となるが、ベーブはダイヤが入ったケースを投げ、それを取りに行こうとしたゼルは足を踏み外し、自分のナイフで自分を刺してしまう。

 ベーブは施設を出て、拳銃を捨て、ランナーたちの間を帰って行く。

 

 これまた何の情報も持たずに見始めて驚いた。2人の主人公(ベーブ=ダスティンホフマン とドク=ロイシャイダー)の話が並行して描かれるが、関連性がよくわからないまま話が進んで行く。2時間ほどの映画だが、半分経過したところで、やっと2人が兄弟だと判明する。それでもドクがなぜ狙われるのか、相手は誰なのかが何だかよく分からないまま。

 映画の3分の2、1時間20分ほど経過したところで、やっとゼルの正体が元ナチスであることが判明する。あぁそんな話なんだとわかるが、結局兄ドクの役割は何だったのか、その仲間と思われるピーターの役割は?と思っていると、ラストシーンが終わってしまう。

 仕方なくネットの考察ページを読んで、何とか理解できた。アメリカが国として元ナチスすら使っていたのでは、という考察は驚かされる。というか、この当時の政治に対する不信感の大きさがこの映画を作ったのね。

 話の展開が読めずに進行する映画は大好きだが、この映画は伏線を回収していないというか、説明が足りないというか(当時のアメリカ人は納得できたのかしら)、そこが分かりやすければもっと面白かったのに。残念。

 蛇足。ローレンスオリビエで元ナチスって、「ブラジルから来た少年」を思い出した。でも真逆の役なのね。2年差で製作された映画で、両方に真逆の役で出演ってちょっと面白い。

 

 

超現代語訳戦国時代 房野史典

●超現代語訳戦国時代 房野史典

 お笑い芸人房野氏が、メチャメチャ現代語で戦国時代を会話中心のストーリー化した

一冊。序章 応仁の乱、第1章 関ヶ原の戦い、第2章 真田三代の3章構成。

 だいぶ昔に「超訳」というヤツが流行ったがそれを彷彿とさせる内容?それぞれの事象において、通説と言われていることももとにして、それを現代語会話に置き換え、各武将などがどうしてその行動を取ったのかをわかりやすく説明している。

 ここのところ、戦国時代関連本を多く読んできたが、これほど簡略化された本は初めてで、できればこの本からスタートしたかった(笑 歴史嫌いの人にはもってこいの入門書といった感じ。

 ただ上記した通り、この本で語られるのは、3つの事柄のみで、戦国時代をすべてカバーしているわけではないのと、スイスイ読めてしまうので読んだ瞬間は、内容、その時の状況を理解したつもりでいるが、頭の中にしっかりと残るかというと疑問。

 今回頭に残ったのは(観ていないが)、大河ドラマ真田丸」は面白かっただろうなということ、だけ(笑

 それでもこんな本があってくれたら面白い。そんな感じの一冊。

 

サイン会はいかが? 大崎梢

●サイン会はいかが? 大崎梢

 「成風堂書店事件メモ」シリーズの第3作、前作が長編だったが、今回は短編集に戻った。

 以下の5編からなる。

「取り寄せトラップ」〜本の取り寄せが本人たちがしたものではない事件が続く
「君と語る永遠」〜本屋に社会科見学で訪れた小学生ヒロキが不思議な行動を取る
「バイト金森くんの告白」〜バイト金森くんが学生時代に書店で出会った女性
「サイン会はいかが?」〜人気作家のサイン会が開かれるがそこで起きる事件
「ヤギさんの忘れもの」〜常連客がなくした封筒を幼子がしまった場所

 

 前作が意外な?長編だったが、本作は短編集に戻り、期待通りの仕上がり。本作はすべての話が書店内で起きる事件であり、このシリーズの真骨頂といったところか。

 第1作でも書いたが、このシリーズは謎解き後の爽快感が心地良い。第1話の「取り寄せトラップ」こそちょっと後味の悪い展開になってしまっているが、第2話以降はまさに「ほんわか」できる。特に「君と語る永遠」は傑作。この話ばかりは爽快感ではなく、感動させられた。これまた第1作でも書いたように、このシリーズは「おけら長屋」シリーズに匹敵すると思う。

 第3話以降も、「バイトくん」「人気作家」「常連客」と書店にはなくてはならない人たちが謎を提供、いつも通り多絵ちゃんが見事に解決してくれる。安定感もあり、爽快感も味わえる。続編はあと1冊のようだが、やはり読まずにはいられない(笑