ガントレット

●575 ガントレット 1977

 ベンはアリゾナ警察の刑事。相棒のジョセフィンが昇進する中、ベンは現場廻りの刑事のままだった。そんなベンが新しく赴任して来た長官ブレイクロックから、ラスベガスにいる裁判の証人護送を命じられる。

 証人はマリーという娼婦。しかし彼女は命を狙われていると叫び護送を拒否し、ベンに町中で賭けの対象にまでなっていると話す。手続きの間に街に出たベンは確かにマリー不着という馬が賭けの対象となっていることを知る。

 ベンはマリーをレンタカーで護送しようと地元警察に依頼、そのレンタカーまでパトカー連れて行ってもらうが、その車が爆破される。パトカーで逃げるがさらに追っ手に襲われる。マリーが銃撃し難を逃れ、マリーの家へ。そこでベンは長官に事情を説明し、応援を要請、飛行機の手配をする。しかしマリーの家に到着した多くのパトカーや警官はマリーの家に向かって一斉射撃を行う。地下通路から逃げた二人はパトカーに乗っていた警官を脅し、途中長官に再度連絡し州境に向かう。パトカーの中でマリーから連絡した長官が裏切り者ではないかと言われたベンはマリーとともにパトカーを降り、警官一人で合流場所へ向かわせる。そこで待ち構えていた警官たちがパトカーに一斉射撃をして去って行く。

 二人は砂漠の中を歩き洞窟で一晩を過ごす。そこでベンはマリーが長官を客として商売をしたことを聞く。翌朝洞窟そばにいた暴走族からバイクを奪い、公衆電話でジョセフィンに連絡するが、そこをヘリに狙われ逃げる。ヘリを高圧線に接触させ爆破墜落させ、貨物列車に乗り込む。そこに乗っていた暴漢たちに襲われるが、マリーが身を呈してベンを救う。

 二人は街に行き高速バスに乗ることに。乗客たちを脅しバスを鉄板で要塞化する。そしてジョセフィンにバスで帰るルートを伝える。ジョセフィンは検事に相談するが、その検事は長官と内通していた。長官と検事は、ジョセフィンに説得させる案と警官をバスルートに配備しバスを襲う案で計画を立てる。

 ベンとマリーが乗ったバスが帰ってくる。説得に当たったジョセフィンの話を信用しバスを降りたところを銃撃されジョセフィンが射殺される。二人はバスに引き返し市中心部へ向かう。一斉射撃がされるが、バスはなんとか持ちこたえる。静かに警官たちが待ち構える中へ歩いて行ったベンとマリー。長官と検事がそこへやってくる。ベンは検事を捕まえ真実を述べるように話し、検事は全てを白状する。長官は検事を射殺、ベンのことも射殺しようとするが、マリーが拳銃で長官を撃ち殺す。

 

 随分昔に観たことがあり、ラストのバスへの数千発の一斉射撃が記憶に残っていた。

 ストーリーは単純で、裁判の証人護送をする主人公の刑事とそれを内部から裏切る警察関係者の話。スタハチで(第1シリーズ第2話)でもちょっと状況は異なるが、証人関係者護送の話があったのを思い出した。「ダーティハリー」などもその後の刑事モノに多大な影響を与えたが、これもそんな1本になったのだろう。

 若い頃のイーストウッドの作品ながら、ヒロインとのラブシーンがないのもひょっとしたら本作の特徴か(笑 ヒロインの役柄が娼婦だからなおのこと、なのかもしれないが、途中でマリーのヌードが出てくるのはお愛嬌。

 何れにしてもラストのバス銃撃のシーンがあまりに印象的でそこが記憶に残りがちだが、刑事モノとしての定番ストーリーを樹立した一本と言えるかも。

 

マイ・インターン

●574 マイ・インターン 2015

 ベンは70歳。妻に先立たれ老後を一人で過ごしていたが、やりがいを求め、ファッション通販サイトのシニアインターンとして応募し採用される。ベンは女社長ジュールズの担当となるが、ジュールズは忙しく、必要な指示はメールでするとだけ話す。

 社長からのメールを待つベンだったが、ジュールズは忙しくベンへのメールはしなかった。しかしベンは若い同僚たちとの間で信頼を得て、だんだんと会社の中で居場所を作って行く。

 ある時ジュールズの運転手が待機中に酒を飲んでいるところを見たベンは彼にそのことを告げ運転を辞退するように言い、その結果ベンがジュールズの運転手となる。ジュールズの家庭にも出入りするようになったベンだったが、ジュールズはベンの気遣いを重く感じるようになり、彼を別の部署に回すように部下に命じる。

 しかしジュールズはベンと話すことで彼の良さに気づいていく。部下がベンの異動を実行して運転手が変わってしまった際にジュールズはベンの元へ行き、運転手として復帰するように頼み、ベンも受け入れる。

 ある時母親と電話をしていたジュールズは母親の言葉に嫌気がさし、友人に母親に関する愚痴をメールしたつもりが、母親本人に送ってしまったことに気づく。そのことを打ち明けどうすれば良いかを皆に相談すると、ベンが母親の家に忍び込みPCからメールを削除することを提案、ベンと若手たちで母親の家に忍び込み、見事にPCからメールを削除する。

 ベンは会社にマッサージ師と来ているフィオナと仲良くなり交際を始める。ベンはある日、ジュールズの娘が友人の誕生会に参加できなくなりそうと聞き、親の代わりに娘を連れて誕生日会に参加する。その帰り道娘を送ろうとしたベンは、ジュールズの夫が浮気しているのを目撃してしまう。ジュールズに話をするかどうか迷うベン。彼は会社のCEO候補である男性に会いに行くジュールズのお供をして一緒に旅行することに。

 旅行先のホテルでジュールズと話をするベンは、彼女が夫の浮気に気づいていることを知り、アドバイスを送る。旅行から戻ったジュールズは夫に全てを打ち明ける。翌日会社で夫との離婚を決断したジュールズだったが、会社に夫が来てジュールズに謝罪、仕事を続けてくれるようにお願いし、ジュールズは受け入れる。

 

 これまた全く内容を知らずに見た一本だったが、心に残るものとなった。デニーロが70歳の普通の男性を演じるが、これが見事にハマっている。物静かで落ち着いていながら、必要であれば若者に適切なアドバイスをする、という理想の高齢者。50代の自分から見ても、あぁなりたいと思わせてくれる男性だった。

 ストーリーは、高齢者のインターンがやり手の女社長とタッグを組む、というのがわかった時点で予想ができる展開だったが、この二人の信頼関係だけに焦点が当てられるだけでなく、映画の後半は女社長の生き方がテーマとなって行く。ラストも女社長がこれからの人生をやり直すことを決断するのだが、それについて話を聞かないままエンディングを迎える静かな終わり方も良かった。

 健さんでこんな一本を撮って欲しかったなぁと思える一本。

 

源氏物語 桐壺~賢木 大塚ひかり

源氏物語 桐壺~賢木 大塚ひかり

 大塚ひかりの「カラダで感じる源氏物語」を読んで、彼女の訳本ならば、と本作を読んでみた。桐壺から賢木までの10帖分。

 読んでみてわかったのは、当時の習慣、風習などをまず理解しておかないと状況がさっぱりわからないということ。例えば結婚。男が女の家に通い毎日手紙を出して3日それが続いて結婚が初めて成立する、だとか。他にも驚きの習慣が多かったが、妻と死別すると、二人の子供が家にいてもその家との繋がりが基本的には無くなるというもの。現在では考えられない話。源氏が様々な女性と性愛を繰り広げることを事前に「カラダで〜」で知っていたが、それすらも当時は当たり前であることが一番の驚きであることに変わりはないが(笑

 途中に「ひかりナビ」として訳文の中で不明な点を丁寧に解説しているのは、初心者である私には非常にわかりやすかった。というのも、当時の知識人が知っていて当たり前のことを前提に源氏物語は書かれているため。現在の落語も、江戸時代のことがわかっていないと笑えない場面があるのと同じことなのだろうが、それにしても知識量がスゴい。もちろん訳者である大塚ひかりの知識量にも圧倒されたが。日本の古典だけではなく、中国の古典にも精通しており、様々な解説がされているのが本当にスゴい。

 ただ難点は10帖分のこの本を読むのに1ヶ月かかってしまったこと。年末年始が挟まっていたとは言え、普段1冊の本を1週間弱で読む私にとっては、少し苦痛でもあった。この人の訳本ならば54帖分読めそうな気もするが、この本を読んでいる間は他の本が読めなくなるのが問題かも。

 

 

 

スペースカウボーイ

●573 スペースカウボーイ 2000

 1958年、アメリカ空軍のチーム、ダイダロスは宇宙へ向けた訓練をしていた。しかし無茶な操縦により飛行機を破壊することを繰り返し、上官ガーソンを怒らせてしまう。宇宙については空軍からNASAへ移行され、初の宇宙飛行をするのもチンパンジーになってしまい、ダイダロスは解散することに。

 現在。ロシアの通信衛星が故障、操作不能となり地球への落下が危惧されるが、設計があまりに古いため現在の技術者では修理不能と思われた。ダイダロスの設計者だったフランクの元へNASAの担当者が来て、事情を説明、ロシアの通信衛星はフランクが設計した装置が使用されていたため、協力を求められる。フランクがNASAへ出向くと待っていたのはかつての上官ガーソンだった。フランクはチームダイダロスで宇宙へ行かなければ修理は不可能だと伝える。最初は彼らが高齢なことを理由に断るガーソンだったが、仕方なく受け入れることに。

 フランクはチームのメンバーを集める。牧師となっていたタンク、ジェットコースターの設計者となっていたジェリー、曲芸飛行士となっていたホーク。

 4人は宇宙飛行士としての訓練を受け始める。高齢のため問題もあるがなんとか乗り切る。しかしガーソンは4人から技術を受け継いだ現在の若者を宇宙へ送るつもりでいた。そのことを若者から聞いたフランクは激怒、ガーソンに掛け合う。4人のことがマスコミにバレ、彼らは人気者となっていたため、ガーソンは4人を宇宙へ送ることに。しかしホークの体にガンが見つかる。それでもフランクはホークと一緒に宇宙へ。

 ロシアの通信衛星接触に成功、しかし衛星は核兵器を積んだ攻撃衛星だった。フランクは作業の中止を決めるが、同乗していた若いイーサンが任務だと作業を継続し、その結果攻撃衛星が暴走をしてしまう。仕方なくホークが攻撃衛星を操作し安全圏まで運ぶことに。一方フランクたちのシャトルも被害を受けていたため、手動操作で地球への帰還を目指す。シャトルからの脱出をNASAが命じる中、フランクたちはシャトルに残り手動操作で地球へ帰還する。フランクは妻とともに月を見上げ、そこにいるはずのホークに思いを寄せる。

 

 タイトルからイーストウッドがとうとう宇宙へ進出するのか、ハチャメチャなアクション映画かと思って観ていたが、衛星の修理と国家の秘密主義がリンクされた、宇宙でもイーストウッドらしい一本となっていた。

 「らしい」と言えば、老人4人のチームワークも見どころの一つか。仲が悪いフランクとホークのお互いを信じる友情もちょっと見ものだったが、全体的にコメディ色も強く、ラストのホークの見せ場も少しスベった感があったかも(笑

 それにしても、チームのホーク役のトミーリージョーンズにも驚いたが、タンク役がジェームズガーナーだったのには映画を観終わってwikiで見て初めて気がついた。「大脱走」での調達役も記憶にスゴい残っているが、何と言ってもこの人は「ロックフォードの事件メモ」。飄々とした探偵が良かったなぁ。

 

燃えよドラゴン

●572 燃えよドラゴン 1973

 少林寺を極めたリーは師匠から少林寺の名を汚したかつての門弟ハンを倒すように命じられる。客として来ていたブレイスウェイトからハンが自ら所有する島で3年ごとに武術大会を開き、その時しか姿を現さないと聞かされ、島でのハンの犯罪の証拠を探して欲しいと頼まれる。島には事前にメイリンという女性が侵入捜査をしているとも聞かされる。父から妹がハンのボディガードであるオハラに襲われ追い詰められ自害したと聞かされたリーは大会への参加を決意する。

 島で行われる大会に参加者が集まってくる。借金だらけのローパー、黒人差別を指摘た警察官を倒したウィリアムズなど。参加者たちは歓迎を受ける。リーはメイリン接触に成功するが、メイリンも島の内情は探り切れていなかった。

 大会が始まる。ローパーやウィリアムズが順当に勝ち上がる。その日の夜、リーは密かに部屋から出て島を探索するが、侵入しているところを発見されなんとか部屋に逃げ帰る。外出が禁止されているのに外でトレーニングをしていたウィリアムズがその姿を目撃していた。

 翌日島を内定する人間がいることに気づいたハンは激怒。リーは大会に登場し、妹の仇であるオハラと対決。見事に倒す。ハンはウィリアムズを自分の部屋に呼び前夜のことを聞くが、ウィリアムズは自分以外の人間も外に出ていたとしか答えず、その結果ハンに倒されてしまう。ハンは次にローパーを呼び、島の秘密を見せる。島では麻薬を製造しており、女性たちを麻薬漬けにしていた。さらにウィリアムズの死体を見せ、アメリカでの仕事を手伝うように強要、ローパーは仕方なく受け入れる。

 その夜。リーはまたも島を内定。地下の設備へ侵入し、無線でブレイスウェイトへの連絡に成功する。しかし見つかってしまいハンの手下たちと格闘になる。なんとか手下たちは倒すが部屋に閉じ込められてしまう。

 翌日捕まったリーはローパーとの対決を命じられるが、ローパーが拒否。ハンはローパーの相手にボロと戦うことに。ローパーがボロを倒すとハンは手下たちにローパーとリーを倒すように命じるが、手下たちでは二人に敵わない。逃げるハンを追ってリーはハンの屋敷に。鏡の部屋での勝負となるが見事にリーはハンを倒す。大会会場では、メイリンが逃した囚人たちとハンの手下たちとの激闘が終わっていた。そこへブレイスウェイトたちが駆けつけてくる。

 

 文句なしの名作。子供の頃に観て以来、何度観たことか。しかし今回改めてしっかりと観ていたら、何度も見ていたのは後半のブルースリーの格闘場面ばかりだったことに気づく。

 前半、と言っても全体で約100分の映画の最初の40分程度?、リーを初めとする大会参加者たちのその理由が明かされるが、ほとんど記憶になかったものばかり。そうか、リーは妹を殺されていたのか。

 後半、島に上陸してからは何度も観たストーリー。全体を通してストーリー展開は陳腐なものに思えるが、本作はそれはもうでも良いと言っていい(笑

 リーの格闘シーンの素晴らしいこと。本人のアクションももちろん良いが、終盤上着が破れ裸になっていく過程もしっかりと描かれていたり、あの一世を風靡したヌンチャクを手にする過程も描かれていたり。ラストの鏡の部屋のシーンは圧巻。リーやハンが1枚1枚の鏡に映っていくシーンは何度観てもゾクゾクする。

 今回初めて本作のwikiを読んだが、様々なカンフースターたちが出演していたことを知りビックリ。いつもなら観終わった映画は消去するが、こればかりはそれぞれのスターの出演シーンを再確認せずにはいられない。

 

シン・ウルトラマン

●571 シン・ウルトラマン 2022

 日本に禍威獣が現れ、政府は禍特対を設立し対応する。7匹目の禍威獣に対応している時にウルトラマンが現れ禍威獣を倒す。禍特対では、浅見が配属され神永とバディを組むことに。

 ウルトラマンが禍威獣を倒す中、ザラブ星人が現れ地球と友好関係を結ぼうとするが、実はザラブ星人は日本を破滅に追い込もうとし、そのためウルトラマンである神永を拉致、その間に偽ウルトラマンを出現させ街を破壊させる。拉致されていた神永を助け、ウルトラマンザラブ星人を倒す。

 今度はメフィラス星人が日本にやってくる。圧倒的な力を見せつけ、政府と密約を結ぶメフィラス星人は人間を支配することが目的だった。ウルトラマンメフィラス星人と戦うが、途中ゾーフィが現れたため、メフィラス星人は去っていく。

 ゾーフィは人間が危険であると判断し地球を滅亡させるためゼットンを配備。しかし神永ことウルトラマンは人間を信頼しゼットンを倒そうとするが破れてしまう。神永のメモリからゼットンを倒すためのヒントを得た禍特対は海外の学者達と協力しゼットンを倒すための計算式を手に入れる。

 ウルトラマンはその計算式に基づきゼットンを他次元へ移動させることに成功。しかしウルトラマンも他次元へ連れて行かれてしまう。ゾーフィがウルトラマンを助けにくるが、ウルトラマンは地球に残ることを決意、神永となって地球に生還する。

 

 今年話題となった一本をAmazonで鑑賞。

 昭和のウルトラマン世代としては、シンゴジラと同じように期待して観てみたが期待外れというのが正直な感想。ゴジラは怪獣映画でありつつ、現在の日本政府をリアルに描いた点が非常に面白かったが、本作はやはりウルトラマン=ヒーローもの、であることがネックだったか。それとも、同じAmazonで観た庵野監督の「帰ってきたウルトラマン」に象徴されるように、庵野監督の思いが詰まりすぎていたのか。

 3本目の「シン」シリーズとなる仮面ライダーに期待するか。

 

ケープ・フィアー

●570 ケープ・フィアー 1991

 少女が回想を語る。ある夏の出来事について。

 男が刑務所から出所してくる。弁護士ボーデンは順調に仕事をしており、妻と娘と平和に暮らしていた。映画を観にいった一家は、目の前の席の男が葉巻を吸い大笑いしていることを不愉快に思い席を移動する。カフェに行った一家は、自分たちの代金を男が支払っていると聞かされる。

 その男マックスがボーデンの前に現れる。彼はボーデンに14年前に弁護してもらったが、有罪となり刑務所に入ったことを不服に思っていた。ボーデンは強姦の罪で捕まったマックスを有罪にするため、有効な資料を破棄していたのだった。

 ボーデンの家の犬が毒殺される。マックスの仕業だと考えたボーデンは対抗措置を取ろうとするが、その間にボーデンの浮気相手で同僚のローリーがマックスに襲われ大ケガをする。ボーデンはローリーにマックスを訴えるように言うが、裁判に詳しいローリーは二次被害に合うことを恐れ訴えない。

 ボーデンは私立探偵を雇いマックスの動きを調査する。マックスはボーデンの娘ダニエルに電話連絡をし、学校の授業の講師のふりをしてダニエルに接触。彼女の信頼を得る。それを知ったボーデンは私立探偵の勧めで、マックスを3人組の男たちに襲わせる。しかしマックスは3人組を返り討ちにする。3人組に襲わせる前にマックスに脅しの警告をしていたボーデンは、その時の会話を録音されており、逆に訴えられてしまう。

 探偵はボーデンが訴えに応えるために家を留守にすることを逆に罠を仕掛けるチャンスだと捉え、ボーデンの家でマックスを待ち構える。しかしマックスは探偵と家のメイドを殺す。それに気づいたボーデンは妻と娘を連れ、ケープフィアーへ逃げる。船を借り逃げるが、マックスはボーデンの車の下に隠れ尾行をしていた。船にも乗り込み、一家を襲うマックス。しかし娘ダニエルの機転でマックスに重傷を負わせる。それでも復讐に燃えるマックス。嵐が船を襲う中、マックスと一家の死闘が続くが、ボーデンはなんとかマックスを川へ落とし倒すことに成功する。

 

 これまた全く知らなかった一本。デニーロ演じるマックスの狂気と怖さが存分に感じられたホラー映画。復讐相手の弁護士の前に現れたデニーロの知的な部分が前面に出てくる前半、しかし3人組に襲われたあたりから、デニーロの狂気の部分が発揮される。

 デニーロの演技に魅了される一本だが、これもリメイク。オリジナルの主役だったグレゴリーペックとロバートミッチャムが脇役で出演しているのも見逃せない。さらに言えば、娘とデニーロの接触シーンや、ボーデンが過去にも浮気をしておりそれを妻になじられるシーンがあるのも、展開を予想させないエピソードとなっているのも面白い。

 しかしストーリーは本当に怖さを感じさせるものだった。弁護士に非があったとは言え、ここまで復讐に燃える人間がいるとは…と思わせる一本だった。